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映画 「君の名前で僕を呼んで」 (4回目)

*映画、本のネタバレ、結末まで触れています。


映画 「君の名前で僕を呼んで」


 昨日、4回目見にいってきた。近くにきたので、また。一応、これで最後にする。早くブルーレイ出てほしい。見たい。何回でも見たい。

 で、もうどうでもいい心のままの好きを書いておく。見ればみるほどエリオとオリヴァーの世界にただただうっとりしてハマる、溺れるなんだよ。何回見ても満足感最高だし、そしてまたすぐに見たいとも思う。ことに、夏真っ盛りになりつつある青い空のこの頃になってきて、いっそう。
 昨日は映画の後、暑い~と思いながらも歩いて歩いて、伊勢佐木町モールから関内へ、馬車道いってちょっと一休みして桜木町から帰ってきた。暑かったよ、バカ。で、その勢いで本屋に寄ったので、こう、積んである英語のペーパーバックもつい、買ってしまった。1398円+税、ってお手頃価格。ま~そんなもんか~。洋書ってなんかもっと高いイメージだったけど、ほぼ買ったことないから意識してみたことなかった。絶対読めない読まない、と、思うのに、なんか。眺めようかな、って思ってしまった。ぱらっと見たら、一度翻訳読んでるから、なんとなく、わかるところもなくはない、感じ。時々眺めよう……。

 見ればみるほど、どんどんオリヴァーにはまってしまう。本も読んだことだし、エリオ視点を強く思うから、オリヴァーに恋してしまうのは仕方ない。アミハマちゃんだし~~。
 
 オリヴァーの方が、苦しさはある、と、思うんだ。エリオは、真っ直ぐに恋して愛して、別れて、という、苦しさ切なさたまんないんだけれども、あの環境、まさに理想郷なあの家庭で、パパもママも、友達も、エリオを愛してる。エリオは恋の傷は受けたものの、生きることには傷つかないと思うんだ。
 オリヴァーは、エリオよりは大人で、ずるい大人であると思う。実はなんだかんだ二年続いている彼女が本国にはいるんだ、とか、結婚するんだ、とか、そういうの、何もないふり、ふりというか、そういう本国でのこと、自分のことは何も言わないで、あの夏のバカンスにいた。キアラとひと夏あそんじゃう、みたいなこともやっただろうなと思う。
 エリオと恋におちてしまわなければ。ちょっとしたお楽しみのひと夏の旅行、って感じのつもりでイタリアにきたのだろう。もちろん教授のアシスタントをして。自分の論文、本、のアドバイス受けて、ちゃんと勉強も重ねて。
 オリヴァーはとてもインテリジェンス。スマート。賢い以上の人だよ、と、パパもエリオも言ってる。本当に、頭良くて、自分を律して、羽目を外す分にもこのくらい、という風に、生きてきたのだろうなあと思う。父に知られたら矯正施設行きだ、と最後にちょっといってたように、親の期待とか世間の期待とか、相手や世の中にちゃんと自分を合わせることが出来るし、その中で適度に自分も楽しんできたのだろうなあと、思う。それでちゃんとうまくやってきた。きっと、このまま人生うまく乗り切っていける。
 ただ、エリオと恋におちてしまった……。

 本によると、あの夏の後、オリヴァーはちゃんと人生うまくやっていって、はた目にはたぶん何一つ不満のない素晴らしい人生を築いていってるみたい。ちょっとした愚痴や喧嘩や悩みはあるだろうけれどもそれはもちろん、誰にでもあるような、こと。
 あのイタリアの夏の思い出、も、それって人生の宝、みたいな、切なくも甘い思い出ってことで自分の心の中だけに大切に秘めていることとして、人生うまくいってる、って感じかなあ。ほんとずるい大人。

 でもそんな風に、ずるい大人として生きるしかない、というのも、たまらなく切ないことである。賢いから、自分の心のままに生きるなんてしない。
 だってエリオのようには恵まれてない。夢のように美しい景色、両親の中で育っていない。
 本当に本当に、オリヴァーにとってもあの夏はあまりにも特別でかけがえのないものだったんだと思う。うまくやっていかなきゃいけない本国から離れて、やってきたら思いがけない理想郷だった。エリオと出会った。互いに恋におちた。

 映画の中で何度か、オリヴァーは立ち止まり、振り返って、あたりのを見回す、というシーンがあるなあと、昨日は心に残った。この旅を、この夏を、この世界を、何一つ忘れない、という風に、オリヴァーは周りを見る。エリオは別にそんなことしないんだよねー。エリオはそこに暮らしてる男の子だし。見つめるのはオリヴァーのことばかりで、オリヴァーしか見てなくて。オリヴァーは初めて自分の心のままに踊ったり恋したりできたこの場所、この瞬間を、心に焼き付けているんだろう。
 終りがくることはわかっている。エリオも最初からわかってるとはいえ、オリヴァーのほうがもっとずっとわかってる。ずるい大人だものな~~~。

 後悔して欲しくない、苦しめたくないんだ、ってオリヴァーはエリオに言う。エリオは、うん、誰にも言わないしって答えて、そんなことじゃない、ってオリヴァーは返すんだけど。あれって、エリオは、なんでそんなこと言われるんだろう、あ、同性愛ってバレたくないんだよな、って感じなんだと思うけど、オリヴァーが言ってるのはこのかけがえのない恋を自分がどんなに大事に思ってるか、この恋そのものが奇跡のような幸せなんだっていうことをエリオにもわかって欲しい、んじゃないかな。だからエリオが望まないなら自分はすぐに身を引くし、という感じ。初めてセックスしたあと、オリヴァーのほうがめちゃめちゃ不安そうで、可愛くて可哀想。
 エリオも、やってしまったけどどうしよう、って混乱しちゃうのもわかるし。それでオリヴァーが本当によかったのか?って確かめたくなっちゃうのもわかる。やりたい、って勢いだけじゃなくて、心から望んでのことか、という。
 それを何度も確かめるようにゆっくり進めていくのもよかったし、欲望のままに!って勢いもよかったしーっ。ときめきすぎて見ててしにそうになる。何度も見てるわかってるのに、あの初めての夜、その、朝のメモの交換からの一日中、見てるこっちがドキドキしすぎてたまんねーわ~~。

 あの秘密の泉、泉かな? あそこへエリオがオリヴァーを僕の特別な場所に案内して、とかもう可愛くてたまんないし。草原で初めてのキス、からの、エリオの勢いと、それを受け止めながらダメ、って止めるオリヴァーの、余裕ありそうででも絶対内心無理―ってなってるだろーって自制が、ほんっと、すごい。
 オリヴァー、エリオよりはずっとずるい大人とはいえ24歳よ。若僧よ。ダメだよ、って、よく何回もとめられたなあ。えらいなあ。さすがスマート。
 でも~あんなにエリオがぐいぐい、ぐいぐいぐいぐい、あなたが好きだあなたに恋してるキスしたいキスして、今すぐやりたい、って、言葉はなくても目で、態度で、ぐいぐいぐいぐい、あんなに美青年にせまられて、耐えられるわけないよねーっ。

 君の名前で僕を呼んで という、オリヴァーの願いはエリオの願いにもなって。オリヴァーにとってエリオって、かくありたい子ども時代、青年時代、って感じだったのかなあと思う。うまく賢く、自分を律しながら振舞ってうまく生きてきた自分だけど、エリオのように心のままに愛されてただ愛されて育ってきたかった、という、感じかなあ。エリオにとっても最初癪に障るって思ったけどそれって最初から気になる存在あまりにも完璧に見える眩しいオリヴァー、って感じ、かなあ。最初は、多分オリヴァーにそう言われて、単に二人の秘密って感じのうれしさだったと思うけど。
 でも二人ともにとって、あまりにもかけがえのない恋だった。それは、その後の長い時間を経てもなお、あまりにも特別な。完璧な、夏だった。

 本のラストもね、この「君の名前で僕を呼んで」で締めくくられていて、本当に素晴らしいの。この、二人にとって、互いが互いでなくてはならないという、心からの恋。

 夢で、理想の世界だった。完璧な夏の恋だった。早くブルーレイとか出てくれ。見たい。まだ永遠に何回でも見たい。エリオとオリヴァーの永遠が、映画の光と影に閉じ込められている。映画って最高ですね;;

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