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映画 「君の名前で僕を呼んで」


*ネタバレ、結末まで触れています。

映画 「君の名前で僕を呼んで」


27日(金)初日に見に行きました。
原題「CALL ME BY YOUR NAME」あまりよくわからないながらも、ツイッターで流れてくる写真の数々ことごとく美しくて、物凄く見たいっと待ち望んでて、やっと。
アカデミー賞だとかのいろんな賞で主演ノミネートされてたり。脚本が受賞だっけ。
そんなこんなのともかくで、早く公開にならないかなあと待ってました。


舞台はイタリア。1983年の夏。エリオ(17歳)の父はギリシャローマの歴史?美術?研究者らしい。そこへお手伝い?インターンにやってきた大学院生ですか、アメリカ人のオリヴァー(24歳)。6週間の滞在。エリオの部屋を使って、と部屋に案内した途端、ベッドにどかっと倒れ込んで熟睡するオリヴァー。
もうね~最初っからオリヴァーの姿にひきつけられる。まずそもそもアミハマちゃんがでっかくて超ハンサム、で、なんだか行動が予想外という、不躾な侵入者な感じが上手い。エリオがなんだか反発しちゃうのわかるし、でもそうしていきなり心波立たされる感じ~。ほんと最初からつかまれますね。

 そうして、オリヴァーがいる夏、が始まる。エリオが街を案内したりなんでもない毎日の細細したシーンの積み重ね。オリヴァーは両親が出すテスト、なんか、アプリコットの語源がどーのこーのの、優秀さを試す感じの会話もしっかり合格。街を案内したら、なんだかすぐ馴染んでカフェだかバーだかの常連にあっという間に混ざってしまうコミュ力の高さ。映画スターみたいって言われるし(そりゃそうだよね^^)行動が余裕ありそうでマイペースで自信たっぷり。オリヴァー完璧超人かよ~。
エリオがオリヴァーのこと、なんか最初癪に障るって思いつつ、文句つけるにしても「Later」って口癖失礼だよね、ってからかって言うくらいしかなくて。でもどうしてもオリヴァーのことを見てしまう。気になる。気になる。気になる。オリヴァーがいることに気持ちがかき乱されてしまうってなっていくの。セリフではなく二人の存在で、そういう気持ちのぐらんぐらんする感じが伝わってくるのがほんっとに美しくて素晴らしい。

 エリオはちょっと気になる女の子がいて、というかまあ、あんな風に毎日過ごす中で、やりたいさかりのお年頃、で、ま~つきあっちゃうってなるよな~という感じ。って私が下世話な言い方しかできなくてすまない。でも、こう、流れとか勢いみたいな感じも、そうだよな~そ~なるよな~~という感じ。女の子の方がエリオよりもうちょっと真剣なんだけど、エリオは、なー。彼女が好きっていう気持ちはもちろんあってのことだと思うけど、だいぶ勢いって感じがする。女の子はさあ、その辺の男の子より格段に賢そう美少年異邦人なエリオのこと好きな気持ちは本物っぽいんだけどねえ。

エリオ一家はわりと最近この家にきましたという感じだっけ。わりと最近でもないかもですが、まあずっと前からってわけじゃない感じ。
ハイソというんですか教養高いおうちで、リベラル。いろんな言語飛び交う。エリオ17歳なのに、ママの読み聞かせをパパとママとソファでくっつきあって聞くのな~。ドイツ語の恋物語を翻訳してもらいながら。なんなんでしょうこのご家庭。でもこういう理想的別世界な感じが素敵すぎて、だからこそエリオはこんなにも健やかに育って。恋する気持ちにまっすぐになれるんだなあと納得する。
同性愛タブーというのは世の中的にもっとあったと思うのだけれど、イタリアだし。80年代、リベラルならばそういうのもありって感じかなあ。ゲイカップルなお友達がいて食事にきたりもしていたし。エリオもそこに嫌悪感とかない感じ。単純に大人な人付き合いみたいなのめんどくさいよーってティーンなちょっとした反発くらい。

オリヴァーの方が、ちょっとは悩んでいたかも。基本的にエリオ視点なので、オリヴァーはとても大人で完璧なハンサムで、どう思ってるのかわからないという感じなんだけれども。
論文書きに悩んでプールにドボンしちゃうのもエリオの思い通りにはならないように距離置こうとするのも、やっぱ一応、ダメだよなあって随分迷ったんじゃないかと思う。
エリオのママにエリオのことが好き、って言ってたらしいけど何だよいつだよ。何いってるんだ。それなのにエリオにはなかなかオッケー出さないって何なんだよー。
オリヴァー的には最初から、わ、すごい美少年がいる、ってときめいて、あのバレーボールの時か、随分不躾にエリオに触ったりして反応見てみたけど、反発されてるみたいだから反省、距離をおこう、ってしてた、という所かなあ。それでもやっぱりエリオのことが気になってろくな論文も書けない、とかなってたら、エリオがやっぱ好きみたいな感じ言ってきて、どうしようどうしようほんとにいいのか。いいのか?ダメだろ?でも、って感じだったんじゃないかなあ。
プールの脇で寝転びながら論文、あれ多分自分の論文だよな? エリオに一節読み聞かせてみて、何言ってるかわかるか?ってきいて、わかんないみたいな反応されて、ごろんざぶーって水に落ちるのめちゃめちゃ可愛かった。あー書けないって感じと、あーエリオ好きって感じとぐちゃぐちゃになっていたのではないかオリヴァー。オリヴァーもまた気持ちぐらんぐらんになってるんだろうなあ、と、私は思うわけです。ちゃんと普通にふるまうように心がけてるけど。大人だけどほんとはそんなエリオに思われてるほど完璧な大人じゃないよねえ。

二人の距離感が、本当に丁寧に描かれていて、近づいたり離れたり、もどかしくて仕方ない所からついに、ってなる、も~~~ほんっと、見てて胸きゅんしすぎて息をのむことしきり。すごいうつくしい。二人の存在そのものも、イタリアの夏も。夢の世界だった。

「真夜中に会おう」ってメッセージを交わしてから、その日、時計が気になっちゃう二人とか可愛くてたまらない。
そしてようやく、っていう真夜中に。それでもまだほんとうにいい? 緊張してる。キスしていい? って。もおおお~~そんな~二人とも~~~可愛くてたまらない。
で、抱き合って、の、朝。なんか気まずいというか、二人どうしていいかわからないみたいな感じとか、エリオの機嫌がどうなのかハラハラしちゃうオリヴァーとか、すごいもう何もかも可愛くてたまらない。オリヴァーが完璧な大人に見えても、ま~24歳って全然若いものね。
オリヴァーも、多分、モテモテ人生だったに違いない中で、こんなにも恋してしまってどうしよう、みたいになったのは初めてなんじゃないかなあと、想像する。あの見た目であの賢さで、運動神経もよくってって感じで、多分恵まれた人生で。多分エリオもオリヴァーもよく似てる。たっぷり愛されてきてる。そして、初めてこんなに「愛する」ことになって戸惑い、迷い、悩み、どうしても、恋する気持ちをとめられない。そういう、初恋なのだと思う。

桃のシーンのドキドキは最高だった;; 結構前から桃がどーのこーの的なツイートを見かけてたりしてたので、んん? 桃で自慰かな~と思ってたものの、ほんとに、そうで。で。で。最初は桃ちょっと食べる的に指つっこんで種取り出して、してるとエリオの肌に果汁が当然零れたりしちゃうんだよね。あ~ベタベタになっちゃうよーも~とか見てると、思い出しなのか、多分最初からやるつもりでもないと思うんだけど、でも、その、桃をそっちにもってって、っていう。きゃ~~~。で、多分僕なにやってんだよ、って自己嫌悪。そこにオリヴァーがきちゃうんだな~。で~、オリヴァーってばエリオにキスして身体も、フェラもしちゃって、あれは桃の味がしたんだろう~。わあああ。
で、その桃をとって食べようとしちゃう。エリオがやめてなんでそんなことするの、って泣いちゃうのが最高に可愛くて参った。恥ずかしくてしんじゃうって感じなんだなあ。オリヴァーがちょっとしたからかいで、でもムラムラ~って感じもあっての、ちょっと意地悪のつもりなのがエリオには泣くほど恥ずかしいっていうの、そんでまたオリヴァーがごめん、っておろおろしちゃうの、ほんっとに、二人とも可愛すぎて見ててこっちがしんじゃう気がした。最高。

深読みするなら、二人は同性愛で、どんなに愛し合っても実りを得ることはない、という感じかなとも思う。したたる甘い果実、果汁を味わうことはできても、種は捨てるしかない。
まーでもそんな深読みは変かな。極上の甘美なシーンとして胸に刻みましょう。食べ物とエロスは親密な関係だよね。桃最高。
そういや、オリヴァーは食欲旺盛で、最初の食事シーンでも卵を上手く割れなくて、でもお代わりもらったりしてぱくぱく食べてた。あれは長旅でそのまま何も食べず一晩たっぷり眠って、という所で、そりゃお腹減ってるね、というシーンだけど。まともにエリオを見たのもあの朝からだよねえ。あ~。えろす。

80年代らしく、夜、パーティで、音楽で、ノリノリで踊るオリヴァーやエリオたち。しっかしそれが絶妙にダサくて可愛かった~!アホ可愛い。あ~思い返すどのシーンもすべてうつくしくて可愛くて困る。
オリヴァーとエリオと二人での旅の夜にも、なんか音楽につられてオリヴァーがはしゃいで踊るシーンがあった。エリオはややひいてたな。吐いちゃったり。オリヴァー、浮かれてエリオにもがんがんお酒を飲ませたのではないかと。オリヴァーお前な~。ちゃんとしろよ、と、あそこはダメオリヴァーな感じだった。大体ずっと、エリオの気持ち最優先に、エリオを傷つけたくない、後悔して欲しくない、ってエリオを大事にしてるオリヴァー。
でも、アメリカへ帰っちゃうオリヴァー。

エリオの家から別の場所でもうちょっと調査かなんか? して、ミラノから帰国するオリヴァーに、一緒にいけばって言ってくれる両親。すごいわ。かくて数日の二人の旅の時間がある。
そんな行き届いた夢のようなシュチュエーションある~? でも二人のいちゃいちゃをもっともっともっと見たかったよ;; 出発、二人並んでバスに座った時の見交わす笑顔のなんて幸せそうなことか;;
そして、別れはやってくる。オリヴァーを駅で見送って、エリオはママに電話するんだよ~。迎えにきてくれる?って。泣いちゃって。
ママの車で戻ってきたところで、彼女に会う。彼女ほんといい子。悲しそうな時にごめんね。ずっと友達って。エリオに対してもっと怒っていいのに~。善人しかいない世界なのか;;

おかえり、ってパパはエリオに話しかける。別れは辛いだろうけれど、オリヴァーと特別な友情を得たこと、友情以上、そのかけがえのないひとときを持ったことを、大事にしなさい、というようなことを言ってあげる。こんな理解ある父親ってあるーー?
でも、パパの秘密を打ち明けられると納得なんだよね。パパもかつて友達以上に思った相手がいて、でも、踏み出すことができなかった、と。
私の勝手な連想だけれども、パパは「モーリス」のクライブと同じなのではないかと思う。世間体だとか何より自分自身の臆病さに負けて、踏み出すことができなくて、後悔を抱えて年を取ってしまった。もちろん今、妻を、家族を愛している暮らしは幸せそうで素晴らしいんだけれども。胸に抱えた後悔を消すことはできないんだなあ。青春なんだろうなあ。この苦い思いを、息子はしなくていい、と。二人の想いは素晴らしいものなのだよ、と、別れの哀しみのあまりエリオ自身が自分を否定したりしないように、ちゃんと息子を丸ごと愛してるんだよ。ほんとに、エリオがこんなにも健やかに、自分の気持ちに素直なままに育ってきたのはこの家庭だからこそ。理想的愛のある家庭。


夏は終り、冬の景色。クリスマスの頃ですね。オリヴァーから電話がある。エリオは、多分ちょっと怯えながら、でも軽い冗談のように、結婚でもするの? と聞く。実は、そうなんだ、婚約した、という知らせの電話だった。うう~~;;
オリヴァーがエリオと恋した時間は本物だし気持ちも嘘じゃないけれど、夢のようなイタリアから帰国して、なんとなく続いている彼女がいて、という、現実の中で、エリオとの将来だとかは考えられないだろうなあというのもすごく、わかる。時代。それでも精一杯の真実として「何一つ忘れない」と言うオリヴァー。

「エリオ、エリオエリオエリオ」と、電話口でエリオは呟いて囁いてオリヴァーを呼ぶ。
君の名前で僕を呼んで、僕の名前で君を呼ぶよ、と言ったのはオリヴァーの方なんだよね。オリヴァーのほうがエリオが思うよりずっとエリオを好きみたいと言ったのはママだったけど、多分それは本当で、オリヴァーの恋もほんとうにどうしようもなく焦がれてて、そんなことを言っちゃうんだと思う。セックスをしても互いを隔てる互いの肌すら邪魔、という感じのことよくあるけど、そういうことなんだろうなあと思う。二人で一つになりたい。二人で溶け合いたい。同じになりたい君になりたい僕になってというくらいどうしようもなく好きで好きで仕方ないんだと思う。だけど、どうしようもなく、夏は終わる。
あの電話抱えてエリオってオリヴァーを呼ぶシャラメくんの演技には胸締め付けられた;;
あんな切ない囁き。

電話を終えて、暖炉の前でじっとうずくまるエリオのアップをずっとうつしだすエンドロール。夏、無防備な裸さらけだしていたエリオは、冬、もちろん服を着ている。自分を抱いてうずくまる。涙が滲み、多分見つめているのは自分の中。二人の夏。過ぎた季節。
でもきっとエリオは沢山悲しんだ後、思い出を大切にできるだろうと思う。大事な大事な恋。本当に、本当に、恋だった。何よりも輝く思い出になるだろうって、思える。なんて美しい世界だったんだろう;;

もともと、アーミー・ハマーは好きだ。かなり好き。この映画からティモシー・シャラメを覚えました。凄い。
アカデミー賞だとかいろいろと、主演ノミネートされたりしてるのでどういうことなだろうと思ってましたが。ガンガン写真だとか流れてくるたびに、信じられないすっごい美少年って思ってたけど、映画見て、ほんっと、ほんっとこれ、演技も凄い。
というかもうほんとに、エリオがそこに生きてる。
撮影前にイタリア入りして監督とかみんなで合宿っぽく準備期間があったらしい。シャラメたんとアミハマちゃんが仲良しだなあというのもわかるし、スタジオ入りしてはいカット、みたいな感じとは違う特別なひと時を過ごしたんだろうなあというのもわかる。
エリオ。
ほんと、少年期の、あの、儚い美がこの映画の中に残された本当によかった。ありがとう。こういうのって奇跡のタイミングなんだよねえ。実際シャラメたんは22歳、この映画の時はどうなんだろ、二十歳か二十一か知らないけど。でもほんと、ひょろっとした身体でさー。猫背っぽくナイーブでくるくる癖毛で。目が、潤んだり。じっと見つめてたり。
キスしそう、したい、する、っていうときに口ひらいていくんだよねーっ。何だよもううううっ。エリオ。なんて無防備に自分をひらいちゃうんだ。たまんね~~。ああいうの演出?演出だけなわけないと、たぶん、うーん、わかんないけど、けど、ほんと、エリオが、シャラメたんが、キスしたいっていう口するのすっごい最高に可愛くてセクシーでたまんないね。アミハマちゃんにすっぽり包まれてしまう、身長差、体格差、ね。
でもシャラメくんも背高いほうだと思うんだけど。182らしい。けどアミハマちゃんがでっかいもんな。196らしいな。うん。でっかい。でっかいのに繊細で可愛い顔とかもしちゃうからなあ~~~。ほんと、この二人のキャストで見られて幸せだった。どこまでも美しい世界だった。

原作小説が翻訳もされてるみたいだから、読もうかな。小説だともうちょっと続きがあるらしい。二人は再会するとか? マジかー。どうなるんだろう。うう。
このままこの世界だけで終わってくれていいし素晴らしいけれども、続きがあるなら知りたい、気も。
見たいなあと思ってからずっと待って、期待して、そして期待よりもっともっとうつくしくて素晴らしくて。大好きな映画だった。これからもすっと、エリオ、オリヴァーと、二人の名前が私の中で巡り続けるだろう。見にいけてよかった。永遠に見つめていたかった。
大好きだ。


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