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映画 「プラハ」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画 「プラハ」


昨日、15日見に行ってきました。
トーキョー ノーザンライツフェスティバル2018 でのジャパンプレミア。

Prag / Prague
監督:オーレ・クリスチャン・マセン Ole Christian Madsen / 2006年 /
デンマーク / デンマーク語(Danish), 英語(English), チェコ語(Czech) /
92min /

2006年の映画ってことは12年前、で、マッツはちょうど40歳くらいかな。
マッツ・ミケルセン目当て~でチケットとったけど、普段の自分は好んで
見るタイプではなさそうな映画で、どんななのかなあと思ってたけど、
じっくり面白くてすっかり引き込まれて見ました。よかった。

列車でプラハへやってきたクリストファーとマヤ。夫婦。クリストファーの
父親がそこで亡くなったらしい。
夫婦の仲はすれ違いの雰囲気。
不慣れな異国での遺体引き取りの手続き。父親の弁護士だったという男に
会い、父が残した家を訪ねると、若い女性が娘と住んでいる。
父の愛人なのか、妻なのか。クリストファーの子どもの頃に父は家を出て、
12歳の頃には母から父は死んだと聞かされていた。15歳の時にその父が
会いにきたことがあって、混乱した思い出。父はここで新たな暮らしをして
いたということなのか。

妻が浮気をしていることに気づいていたクリストファーはこの旅でじっくり
話し合いたいと思っていた。が、うまく話すことも出来ない。
14年の結婚生活。幸せだと思っていたのはクリストファーだけなのか。
一人息子ともあまりうまくコミュニケーションがとれていないクリストファー。

弁護士の老人から、父は実はゲイだったと知らされ、彼とこそ恋人だったと
知らされる。
父の家にいたのは家政婦だよ、と。彼女はバーのシンガーでもあった。
なんとなくの流れで彼女と寝るクリストファー。
妻は浮気相手との子どもを妊娠していることがわかる。

飛行機での手違いで一時行方不明になっていた父の遺体が戻ってくると、
クリストファーは母の隣に埋葬するはずだったその遺体を弁護士に任せた。
妻はいない。
一人、帰路につくクリストファー。

という感じで、まー、メロドラマっていえばそーなんだけれども。
父の死、妻との別れ、それが一度に起きてしまったただの一人の男の人生の
一場面という映画。
クリストファーは、弁護士事務所経営してるとかで、一人前に立派に働き、
家庭を持った、はずなんだけれども、妻はずっと寂しくて夫から何も与え
られていない、待って待ち続けていたのにあなたはいない、みたいな
不満爆発してしまった。

クリストファーがなんか不器用な男なんだなあというのは最初から提示
される。列車の個室の番号をすぐに見つけられずに、妻にこっちよ、って
教えてもらったり、ホテルのカードキーがうまく開けられずに普通の鍵に
してほしいよな、ってぼやくけど、マヤがはすっとちゃんと開けられる。
この男はこういう、なんか日常の些細なことがうまくいかない不器用な
人なんだなあって思う。

妻とやり直したい、話し合おう、ってする時に、じゃあ自己紹介からやろう、
僕は42歳、弁護士で、テレビはスポーツ観戦が好きでみたいなことを
わーっとまくしたてる。ビジネスミーティングみたいなことならそういうの
やるかもしれないけど、なんかこう、家族の、夫婦の、話し合いを、
そういう方向からやろうとするか? なーんかこう、日常の他愛のない会話
だとか、愛情を示すこと伝えること、穏やかな雑談とかが苦手なんだなあと
すごく、愛しく、辛くなる。息子とスカイプかなんかで話すのも、息子は
ゲームに気もそぞろ、みたいな感じ、妻が息子になんかいうのをただぼそっと
繰り返すだけ、みたいなクリストファー。
あんまり息子とも喋ってないんだろうなあって感じ。
仕事仕事で忙しくしてて家族の時間を持っていない、という感じ。
それなのに、マヤに結婚してずっと幸せだったとか、子どももっと欲しいとか
言うの。
それ、今こんな状況になる前にちゃんと話して、愛してるって、安心を
与えていれば、よかったのに。
できなかったんだろうなあ。

父がいなくて、母に死んだとか聞かされてて、母との関係とかわかんない
けれども、まあでもたぶんいろいろと寂しい子ども時代だったのかなあって
思う。愛情を知らない、与えられてなくて、自分の感情を人に与えることが
うまく出来ない、という感じ。
まあそんな単純な事ではないのだろうけれども。

父の遺品の財布には、クリストファーの子どもの頃の写真が入れてあった。
父の家の壁にはクリストファーの子どもの頃の写真が沢山飾ってあった。
父がいなくなったことに対して少しは理解が及んで、クリストファーは
多分、最終的には受け入れたんじゃないかな。
マヤと激しい喧嘩もしちゃって。
なんか、こう、あの二人の、夫婦のぐずぐず感とかもどかしさ、二人の
歳月はある、息子がいて大事、妻の狡さとか許すって言いながら許さない
夫、なんかもうほんと、うう~~~ってくるんだよなあ。
マヤがズルくて嫌な女って感じはするんだけど、(だって夫がマッツだぜ、
いや違うけど、あの姿かたち声で~)でも、別の恋と出会ってしまった。
そして妊娠したってわかって、その相手はそれ知って大喜びするような
男で、うーん。なんか、もう、ほんと、夫婦って。恋って。人の想いって。
ズルいとこ嫌なとこいろいろと含めて、見せてくるんだもんなあ。
やり直そうかというかなんというか、抱いて、とかって何度もやるし、
でもあんまり満足はできなかったのか、とか。ぐずぐずすぎる。
クリストファーはあてつけだか勢いだか気を紛らわせるのか、若い女と
やってみたって感じだし開き直るし。

何を与えて欲しいんだ、金か!? 与えるよやるよ全部やるよ!って、
道端で夫婦の大喧嘩! すごい酷い。金とかバッグとか上着とかまで
投げ捨てばらまいて周りの人が群がってくる感じとか、ひどい。怖いし。
でも、クリストファーがやっと、感情をあらわにできた。

多分夫婦は、クリストファーの今の家庭は、終りってことになるんだろう。
たぶん。息子は妻がつれていきそう。
でも、クリストファーに、きっとこれから、きっと、また、幸せがある
はず、と、思いたい。。。クリストファーはきっと変われるはずだと、
思いたい。

超人でもなんでもなく、ただ苦悩する一人の男を演じてるマッツ。
あまり感情を見せないクリストファーの中に揺れ動くたくさんの想いが
あることを、ほんとうにわずかな動きとか雰囲気でちゃんと見せてくる
マッツ。すごい、さすが、ほんと、上手い。感動です。
マッツさー、ほんっとにめっちゃかっこいい。普通の人で、まあ普通に
きちんとスーツ着てたりな感じなんだけど、ほんっとスタイルがいい。
ほんっとなんだろうあの美しさ。姿勢が綺麗、歩くのも綺麗。立ってる
だけで最高にかっこいいの~。すごい。
ちょっと不器用さん役でぎこちなかったりするのも可愛いし。
ワインとかビールとか飲む口も可愛いし。ほんと、目にご馳走。素敵。
映画よありがとう。マッツの姿をうつして残してくれて。

プラハという街の、異国だなあという感じとか、言葉が通じなくてあやふや
な感じとかもすごくよかった。
夫婦はデンマーク語。弁護士とか共通語として英語。シンガーちゃんは
チェコ語、か。英語あんまりわかんない感じで、クリストファーとろくに
話は通じないけど、なんかそれはそれで二人勝手に勝手なこと話してるの
すごくよかった。
コーヒー頼むとビール出てきたの、あれは。チェコ語だとそうなる感じ?

その、概ねシリアスなリアルなんだけれども、途中ちょこちょこと、
何で??ってわからないヘンなシーンとかもあって、不思議。
遺体安置所へ行く時、医者とか看護師? 急にすっごい早足でガンガン
行くのなんで。
遺体、シンガポールへ間違っていっちゃったかも、でもナイロビだった
帰ってきたよとか。なんか、なんで。暑い所いったから遺体の状態が
心配だよっ。
入口があかなくて、窓から入りなさい、っておばーちゃんに言われたり。
何それ? って見てる私は気になったけど映画のなかではさらっと流されて
なんか、なんか、なんで。それでいいの? デンマーク映画の味わいか。

なんだかんだささやかな細部がさり気なく上手いというか、ふわーっと
流れる感じがいい塩梅だったりして、よかった。好きになれた。
見に行けてよかった。
ありがとうノーザンライツフェスティバル。いい映画、世界中にたくさん
あるよね。見られる機会があってよかった。


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