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『眉月』(月子/風媒社)


『眉月』(月子/風媒社)


2017年10月刊。第一歌集。

作者のお名前、月子。歌集タイトルが『眉月』。読んでいるとうさぎも
しばしば出てくる。月が好きな人なのだなあと思う。
白い表紙、淡いグレイの月。中の見返し(?)にも月の絵? の、写真が、
あって綺麗な本で素晴らしい。

山田富士郎さんの結構長い解説がついていて、しかし作者のあとがき等は
なく、どういう作者像なのかはわからない。けれど、月が好きで、美意識
やこだわりがあって、という感じはよく伝わってくる歌集でした。
月の歌がほんとたくさんあるなあ。うさぎは実際にうさぎがいるのか、
そして自分の姿を重ねているのか、という両方かな。いろいろな道具立てが
優雅さがあって素敵。でも私の個人的好みはちょっと違うなあと思う所が
多くて、ん~なるほど、と、思いながら読みました。

いくつか、惹かれた歌。


  あの人はとうの昔に死にました。れんげ畑ももうありません。 (p27)

この歌集の中ではわりと乱雑な言葉の歌。端的で散文的、だけどその迫力と
いうか、不意に投げ出されたようなことばがむしろ目をひく。そして詩的。
好きだな。


  まつげすら青しと覚ゆ茂りたる若葉ふたりを包み尽くせば (p43)

若葉につつまれて睫毛まであおく、きれいな緑に染まる。清冽で幻想的で
美しい。私の個人的好みとしてはこの二人は青年二人だといいなあ。


  ティーバッグに湯をぞんざいに注ぎかけ男は飲みぬ色つきの湯を (p58)

紅茶か緑茶かわからないけど、多分紅茶かなあ。こんな適当なことをする
男に呆れているというか、ちょっと眉を顰める感じで見ていたのかなと思う。
「色つきの湯」という、それ美味しいの、美味しくないでしょう、という
感じ。でもこの適当なことする人物像面白かった。


  長雨の降り残したる眉月のおぼろに消えむいづかたとなく (p98)

すんなりと綺麗な歌で、素直にいいなあと思いました。

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