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『HHhH プラハ、1942年』(ローラン・ビネ/東京創元社)


*ネタバレ、結末まで触れています。


『HHhH プラハ、1942年』(ローラン・ビネ/東京創元社)


今年の8月か、映画「ハイドリヒを撃て!」を見た。その公開時、この本のことを
よく目にしていて、この本刊行時にも結構評判よかったような。と気になり、
ようやく読んでみました。
この本は2013年刊。本国は2010年刊かな。映画「ハイドリヒを撃て!」は2016年製作。

最初、タイトルも読めないしなんの話なのかわからず手を出せないでいた。
プラハ1942年ってことなので、まあ、第二次世界大戦かとは思ったけど。
映画を見たことで、ああ、そういう事件があったのか、そういう人達がいたのか、
ナチスの圧政、暗殺計画、パラシュート部隊、等々のビジュアルを得たので、
その事件の小説なのだろうと思って読み始めた。
ら、小説というか、エッセイ? 作者がこれを書こうとし始めた、書いている、
書き方に悩んでる、関連書籍を読んでみたり感想述べたりする、そういう、小説。
小説?
司馬遼太郎風というか。この作者の姿が書かれていること、も、フィクション?
そこはエッセイって思えばいいのか?
暗殺計画実行する実話に基づいたスパイ小説的なものを勝手に思っていたので、
おお? と、読むチューニング合わせるのにしばらく戸惑った。


ナチスの虐殺とか敵国への圧政というのはざっくりとは知っているつもりだけど
小説とか映画の悪役、というイメージで、私はあまりきちんとしたことを知って
いるわけではない。ものすごく大まかな世界史は知っているけれども、何かを
実感として知っているわけではない。
この作者はこの事件の現場、を、たまたま知ってしまったことから、色々な事を
調べて読んで聞いて書き綴っていく。
論文ではない。
資料の羅列ではない。
この事件の登場人物を描いている、ということはやはりこれは小説なんだろう。
この時に。その場所に、いる。目の当たりにしてる、という感覚に連れて行って
くれる。
映画というフィクションを先に見たので、私の中でのイメージはその映像になる
けれども、この本を読みながら、主人公といえる二人ばかりでなく、そこは人の
暮らす国で土地で今現在と地続きで、ということを深く感じた。

わりと最近「否定と肯定」の映画を見た時こともあって。
フィクションの中の悪い敵役としてのナチス、ではなく、本当にあった歴史の、
今現在と地続きとしての、出来事、ということをちゃんと認識しなくてはと思う。
フィクション、小説、物語は普通に面白く見たい、見るけどね。


この本は標的であるラインハルト・ハイドリヒについても丁寧に書き記されている。
タイトル「HHhH」は「Himmlers Hirn heißt Heydrich」
「ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる」 というフレーズからだそうで。
(ドイツ語書き写せてるのかわからない)
<第三帝国で最も危険な男> <金髪の野獣> とか恐れられた男だって。
やっぱなんかいちいちかっこよく呼ばれてて、ほんと、ナチスこわい。

人を人と思わない。効率よく殺戮していく。そういうの、ほんと、なんで、そう、
なっちゃうかなあ。まあ、いろいろ麻痺していくとか精神遮断しちゃったりとか、
うーん。なってしまうことがある、というのが、戦争という事実であったわけ
だから。うーん。またならないとも限らないわけで。

命がけで抵抗する、暗殺計画立てる、そういうのも、ほんと、あった、今もある、
わけで。
どうすればいいんだ。

文章は読みやすく、短い断片がさくさく積み上がっていって、そしてその日に
向かっていく。向かいたくなくても向かっていく。
普通の小説とはだいぶ違うなあと思うけれども、本当に、その現場に連れてかれた
感じが凄かった。
どうしていいのかわからなくなるしどんな言葉を感想として書いていいのかも
わからないけど、読んでよかったし面白かったよ。


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