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映画「ブレードランナー 2049」


*ネタバレ、結末まで触れています。

映画「ブレードランナー 2049」

10/29(日)に、3D、IMAXで見た。


その前に、前作の時間2019年の後から、この2049までの間の出来事って
ショートフィルムがウェブ公開されてましたね。私はそれ、見ないで行きました。
前作も直前の復習はしなくて行ったのだけれども、まあ見てなくても個人的には
大丈夫、って思った。

けども、今日、ショートフィルム見てみたよ。
アニメは「大停電」でいろんなデータが失われたっていってやつ、の事件の断片
を描いたもの。これもまたすごく前作踏襲したシーンがあるなあって感心した。
なるほどこういう事件があったことが背景にあるのね。
「ネクサス・ドーン」はジャレットレト出ててゴージャス気分。ウォレスが
従順なレプリカント作っちゃう宣言みたいな感じ。凄い。これはさすがの雰囲気。
天使。。。めちゃめちゃかっこよかった。
「ノー・ウェア・トゥ・ラン」はほんと今作直前。あの農場やってたおっさんが
見つかっちゃう。だからKがきたのか。

てことで、背景が多少はわかりやすくなるので、ショートフィルムも見てよかった。
まあ長くなるしあんまりがっつり描く余裕はないってことなんでしょうけれども、
こういう、ウェブ公開で番外編あるよっての、どーなのかなあ。まあ、親切な
気もするけど。


で。
2049は上映時間3時間近く。長い。正直、長くて眠気が、って瞬間寝たとこも
ある。けれども、ほんとうに、本当に本当に、この長尺でもとことん凄まじく
隅々まで圧倒的にうつくしく、物凄い、ブレードランナーな世界だった。
どのシーンとっても完璧に絵になる。IMAXの巨大さで見られてしあわせだった。
音も。ほんっと、音を浴びて酩酊する。すごい、「世界」だった。

一度失われたレプリカント。タイレル社は滅びたが、新たにウォレス社が従順な
レプリカントを作り上げていた。レプリカントのみならず、ヴァーチャルな技術
や農業、産業なんかでも圧倒的に支配力持ってるのかな、ウォレス社。
かつての生き残りレプリカントと狩る、ブレードランナーもまたレプリカント。
Kは淡淡と仕事をこなし、ヴァーチャルな恋人と暮らしている。
ある時、謎を知ってしまう。
かつてデッカードと共に消えたレプリカント、レイチェルが、出産していた。
レプリカントの子どもが、いるのか。レプリカントは繁殖という奇跡を手に入れ
たのかどうか。
Kは謎を追ううちに、デッカードの隠れ家へたどり着き、自分の記憶、心、魂に
ついて苦しむことになる。

Kは実はレプリカントの子どもなのか? と思わせておいて、違うわ、女の子よ、
ってあっさり残酷に告げられる。
この、ほんと、レプリカントに魂はあるのか。心はあるのか。それは「本物」
なのかどうか。というね、哲学なんだよなあ。
結局は人間とはってことだし、生きるとは、ってことだし。

ウォレスや、タイレル社もだけども、人間はついには神になりたいのか。
リドリー・スコットってことでこの前のエイリアンコヴェナントでもそーだった
けれども、人間が命を生み出し、その命が繁殖していくことになれば、人間は
神と等しくなれるのかどうか。ってのがテーマの根底だと思う。
Kは懸命に生きていたし、レプリカントに心は宿っていた。
生きている。みんな誰かのために、というのはむしろ人間よりも人間らしく
生きてる。
ホログラムな彼女と娼婦(?)を重ね合わせてセックスするのも生き物としての
欲動って感じかなあ。幻同士のセックスという、なんて、苦しく切ない変態なのか。
物凄いなあ。
つくりものこそが理想の中に生きてる、って感じ。

デッカードは年老い、それでもやっぱり強くかっこよくって、物語のキーマンで、
みんなが彼を取り合う、姫ポジションでまたもうすごい可愛いったらありゃしない。
娘って誰だろうと思ってたら、あの記憶作り出す博士なのね?
自分の記憶をKに植え付けた? 無自覚? ちょっと娘関連のことが私には
きちんと把握できなかったんだけど、見逃したことがあったかなあ。
そして、デッカードを送り届けて、Kは、あれは、雪の中で死ぬ、というラスト
だったのかな。死ぬ、とまでは私は思わなかったんだけども、あれはあのまま
眠るように死ぬってことなのかなあ。んんん。見逃してることがあるのかな。
雪の中で眠る、ということに、したい、私は。

ブレードランナーの、まさに続編で、35年を経て、ってことで、それってでも
ハリソン・フォードがしっかり現役で渋く俳優やってるからこそってことでも
あると思う。スターウォーズといい、なんか、凄いなあハリソン。かっこいいよ。
可愛いよ。
こんなにも素晴らしく「世界」が出来上がっていて継承されているというのが
まず何よりの驚きだし、そんな中でまた今作の圧倒的な美しさは感動だし。

蜂、養蜂の巣箱があったのが個人的にうあーってなったりもして。何だろう、
養蜂って西洋人的にはなんかやっぱ夢と浪漫なのか。暗喩的だったりもするか。
一匹の女王に生み出される新たなコロニーって感じはレイチェルとレプリカント
の繁殖と見立てていいのかな。
レプリカントにも命が続いていく。
人間は、神になったのか? 神と成りうるのか?
相変わらず詩的で哲学的で、SFで、凄い。
また見に行きたい。落ち着いてもっとよく見たい。好きになるしかないよなー。


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