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映画「ドリーム」


*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ドリーム」


原題「Hidden Figures」

邦題が関係ないアポロ計画みたいなのくっつけられててもめてたやつですね。
彼女たちがかかわったのはアポロ計画に繋がる前段階のお話。
1961年。ソ連が宇宙開発、有人飛行の先をいき、成功させつつある中、NASAは
アメリカとして遅れをとるわけにはいかないと、有人飛行へ、月へとむかって
懸命な開発を進めていた。
宇宙飛行士を打ち上げ、地球周回軌道にのせ、そして地上へ無事帰還させること。
あらゆる技術、理論を駆使し、さらに未知なる計算を成し遂げてそのミッションを
成功させるには。


始まりは、黒人の小さな女の子、キャサリンが、その数学の才能を見出されて、
学校の教師たちの後押しを得て、飛び級で進学すべきですって勧められている所。
これ、もう、すごいうるっときてしまう。
子どもがね、ちゃんとまともに大人に大事にされて、才能伸ばすようにちゃんと
導く世界って、ほんとうに素晴らしいと思う。それでも、黒人が行ける中では、
最上の学校です、という勧められ方をするんだよね。
分離政策だとか? 私はアメリカのそういう歴史とかほとんど知らなくて、
キャサリンが歩む道がどれほどの厳しさなのかは、うっすらと想像するしか
ないのだけれども。どんなに優秀でも、厳しいのだろうと思う。

そして、大人になったキャサリン。女性三人が車でNASAへの出勤途中、
エンストしてしまって立ち往生してると、パトカーがやってきて職質みたいな
感じになる。助けにきてくれるんじゃないのね。黒人の女三人、というだけで
まず見くびられ不審に思われる。そういう、世の中。
彼女たちがNASAで働いていると言うと、警官はどうやら認めてくれて、
遅刻しそうなら先導してやるよ。って車を飛ばす。空を見上げて、ソ連に
宇宙をとられるのは嫌だ、って感じ。冷戦期、こういう社会の空気があったんだ
なあとわかる。宇宙開発は夢で、軍事覇権のせめぎ合いで、もっと単純な所では
ソ連に負けるなんてダメだろ、って感じ。

で、NASAの一角には計算係という部署? があって、優秀な数学者たちが
あちこちの部署に派遣されながら働いている。身分は不安定っぽい。
黒人女性ばかりの部署のリーダーであるドロシー。技術開発の部署へ引き抜かれた
メアリー。キャサリンは軌道計算? とかをする部署へ要請されていく。

キャサリンたちの学歴は文句なく優秀、つか、天才レベルなんだけれども、
そもそもNASAで働いて開発してるみんながスーパー有能なんだよね。。。
この映画、うっすらと紹介知った頃には、虐げられる存在であった黒人で女性な
主人公たちがそれでも負けずに宇宙への夢の一端を担った、みたいな、真面目と
いうか、こう、社会問題的なのかなあと勝手に思っていたのだけれども、でも
ともあれすっごい面白いらしい、って感じで見にいってみたら。

これ、おっそろしく天才な人々が宇宙への夢をいかに実現させていくか、
スーパーエリートのスーパー天才の、すさまじくプロフェッショナルな物語だった。
ものすっっっごくかっこいい!!!

なにかにつけて、キャサリンがまともに扱かわれずにぐさっと来るんだけれども、
ここで生きてる彼女たちは、ムカついたりしながらもそこそこトラブルへの
対処もこなしていて、何よりも本人たちの実力、能力、成果を出して見せるという
やり方で自分の道を勝ち取っていく。

今見ると、こんなの酷過ぎるだろ、って思う。カラード用のあれこれ。でもさあ、
賢くエリート様たちであってさえも、なんなら善意で、黒人用も用意してあげたよ、
ってやってるんだろうなあというのが、ほんと。。。コーヒーとかね。
そして、キャサリンが使うトイレが遠い西エリアにしかない、ってことで、
仕事中席をあける時間が長い、ってことを、キャサリン、一度だけ声を荒げて
訴えるの。

ケビン・コスナーが上司役だったんだけど、それがもうほんと、熱い情熱持って
いるけれども極めて冷静、平静、クールでかっこよかったわあ。
キャサリンが有能ってわかれば仕事をちゃんとさせる。
でも数学とか研究開発馬鹿でトイレのことだとかキャサリンが不当に扱われて
いることとか気が付くタイプではないのね。でも、キャサリンが声をあげて、
そのことがわかったら、ちゃんと対処した。
ごめん気づかなかった、じゃあ黒人用トイレを作るよ、ってなるのかと思ったら、
西エリアへいって黒人用っていう表示を壊したんだよね。すごい。
どこのトイレであってもそれはただのトイレ。黒人白人の区別そのものをなくした。
平等ってこういうことなんだなって。
じゃあ君の権利も認めてあげるよ、じゃない。不当な差別区別そのものをなくす。
かっこよかったあ;;

キャサリンのプライベートの、幸せも描かれて、女友達、仲間との関係もすごく
よくって、あー、めっちゃ天才たちの物語だけど、かれらも普通に生活をして
生きているんだと思う。それはちょっとできすぎなくらい素敵な家族であり
友達であり。彼女たちのファッションがカラフルで素敵だったり、街や、空や
きれいな色があふれているの、とてもよかった。
なんか、国が若いっていいなあって思ったり。
これから社会は変わる、よくなっていくはず、という、希望があると思った。

黒人であること、女性であること、それは単なる事実であって、でも変えられない
事実であって、ぱっとみのそれだけのことで見くびられるとか不当に扱われるとか
おかしいことなのに、差別なんかしてないわ、という無自覚さで傷つけられる。
見たくないものは人はほんとに見ないんだなあ。。。私もそうだよな。

キャサリンの能力がわかってきても、むしろ働かせてあげている、って感じ。
前例がないとか規定がないとかで、そこにある才能をないものにされてしまう。
この実話ベースの映画では、問題や苦しみがあることはちゃんと感じさせながら、
でも素晴らしいバランスで明るく仕上げている。
過去は変えられない。黒人や女性への差別は今でもなくなっているわけじゃない。
それでも、彼女たちが成し遂げてきたこと、いろんな人がいて、いろんな人生が
あって、いろんな才能や努力がいろんな風にあることを素晴らしく見せてくれた。


宇宙開発、人間の手動計算なのかよー。とか、IBMのどでかいコンピューターが
ドアから入らなくて入口ぶち壊す、とか。ああでもコンピューターが出来ると
計算係りが不要になるのか。でもでもやっぱり、最終確認は人間じゃなきゃ;;
宇宙飛行士ってやっぱり夢のヒーローだなあかっこいい、とか。
ほんっと、夢とリアルのクールさと、かっこよかった。面白かった。
数学に関しては全然、私はなーーんにもわかんなくて、多少でもわかるともっと
楽しいのかもしれないけど、でもわかんなくてもすっごくよかった。
最上級のエンタテイメント作品だと思う。見に行ってよかった。

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