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映画「ダンケルク」


*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ダンケルク」


9日、土曜日にIMAXで見てきた。ネタバレっていってもお話としてはダンケルクから
の撤退、その史実の、ほんとにそこだけを描いた作品でした。
説明とかほとんどない。もう当然みんな知ってるでしょ、というところ。
一応私がちょこっとは知ってるのは、コニー・ウィリスの小説読んだことある
のと、「刑事フォイル」見てる、ってくらいかな。

画面本来の大きさは大阪?、日本では一か所でしか見られないとかなんとか。
まーそこまで出かけていくほどの気力はないので、いつも行くところのIMAXで。
それでも画面は小さいのでしょうが、でも私には十分の大きさです。
そして音響。
銃撃爆撃、飛行機、等の戦闘の音はもちろん、ずーーっと緊迫感いっぱいに
追いつめられ急き立てられてる音の響きを体感するのはたまらなかったです。

唯一、ほっと緩むのは、海岸に民間船沢山、ほんとに、小さい漁船やおばちゃん
たちまでが、助けにきてくれた、というシーンね。わずかの間だけ音がやむんだよ。
まんまと泣かされてしまった。

そして時間軸。

海岸での一週間。
小さな船での一日。
スピットファイアの一時間。

だったかな。まだ若い兵士、トミー、かなあ。名前とかほんとあんまわかんない
んだけれども。ダンケルクの海岸へ逃れてきた若い兵士についてく視点。

海軍の要請を受けて遊覧船?でダンケルクへ向かう、ドーソンさん、マーク・
ライランスと息子のピーターと手伝いのジョージ、かな。老人と子どもって感じ
の、船の時間。

そして空軍。スピットファイアっていうらしいね。やっぱり~飛行機乗りは~~
かっこいいいい~~~っ。
出撃して、帰りの燃料残しておけよ、という指令はあったものの、ドイツの
メッサーシュミットと交戦になり、隊長機は沈み、コリンズも海へ不時着。
残ったファリア、トム・ハーディは海辺から去ることはできず、敵機を追って
追撃、そして自分の燃料はつきていて、着陸して自機を燃やすのだった。
って、も~~~っ。かっこいい。トムハ、さすがだよトムハ。ほぼずっと
コックピットの中、マスク姿で、でも戦闘機は空を駆け巡るんだよ。かっこいい。
戦闘機そのものが重要なキャラクタであり、その中で静かに一人決意を固める、
ほんのわずかな呼吸音、小さな仕草しかないのに、そういうのがっつり伝わって
きて、泣かされた。凄い。
最後に機体燃やしてる前での後ろ姿とか。捕まる時の全身のスタイルとか。
最高かっこいいわ。くー。トムハかっこいい;;

セリフがほんとに少なくて、ほんと極限状態。戦争映画とはいえ、怒鳴り合うとか
絶望して泣き叫ぶとかは少ない。逃げろ。生き延びろ。なんとかして生き残る、
ただそれだけに向かう兵士たち。

綺麗ごとの正義だけじゃなくて、英国優先だーってフランス兵は後回しで通して
くれなかったり、同じ部隊の仲間じゃない、って追い出そうとしたりのシーンも
あった。
1Dのハリー・スタイルズが出てるって、どんな役かと思ったら、そういう、
必死でエゴむき出しにしたりするやつやってて、あ~そっかあと思った。
普通ならハンサムで感じよい若者、なんだよね。それでもああいう時にはあんな
酷いやつにもなっちゃう。でも必死だもん。死ぬかもしれないんだもん。つか
死にそうなんだもん。綺麗ごといってられっか、ってなる。
そして、それでも、正しくあろうとしたり、助け合おうとしたり、するんだよ。
うつくしく尊いことで。
でも、こんな美談も英雄譚も、あってはならないことで。

キリアン・マーフィは海で独りぼっちの所をドーソンさんの船に助けられる、
名もなき英国兵。
広い広い海にぽつんと、沈没した船だったっけ、そのわずかに浮かんだものに
ぽつんと取り残されている兵士。
船に助けられても、ショックから立ち直れずに暴れたりして、そのあおりで
ジョージくんは船底に落っこちてしまう。頭を打ってしまって、そして、死亡。
あまりに辛い。助けにきたのに。助けられたのに。
心に受けたダメージを取り戻せないかもな、という兵士も、純粋に善意で
やってきた少年も、どっちにもやりきれないほど辛い。兵士を責めることはなく
それをその時は隠したドーソン親子も、凄い。

も~怯えてるキリアンが~すごい~綺麗で。切ない;;
そりゃもう助けるしかないよな。辛いよな。助かったらそれでオールオッケー
ではないのだ、ということを体現する人物で、それでも少し回復すると、あの子
は大丈夫だったのか、って心配したりもして、もう、ほんと、凄い辛い。
最高素敵だったよキリアン。びしょ濡れキリアン。キリアンもまた兵士たちと
助け合っていたのにね。だからこそ目の前で続々と仲間が死んで一人ぼろぼろに
なってしまって、心こわれそうになるのも、当然で、辛くて。

ドーソンさんの船に、海に不時着したパイロットのコリンズも助けられる。
海から、空をゆくファリアの機体を見上げて、そっと名前を呼ぶ。
他の兵士たちは、わーいスピットファイアだ!やってくれー!ありがとー!って
感じにしか見ないけど、コリンズだけは、燃料は残り少なくなってきてるし
もう帰れないけど覚悟を決めたファリアのことが、わかるんだよなあ。
空軍パイロットってやっぱ花形って感じですごくかっこよくって、でも選ばれた
エリート仲間って感じのライバル心とか絆とか、少数精鋭なだけにいっそう
互いにわかりあってるって感じかなあと思う。
ファリアとコリンズ、届かなくても名前呼び合うの、ほんっとぐっときた。好き。

桟橋に立ち続けた指揮官、ボルトン海軍中佐、か。ケネス・ブラナーね。
も~これもまたかっこよくってたまらん。
船はなく、海岸に兵士はあふれ、あまりにも無力な、でも責任背負わなくちゃ
ならない男。逃げずに、立ちづづけたんだよなあ。そしてまだ残った。凄い。
もーーー。かっこいい。かっこいい。

この映画はとにかくダンケルク撤退のその一場面のみ。そして全員がかっこいい。
辛かったり卑怯だったりしても全員がかっこいい。
小さな漁船でやってきてくれたおっちゃんや、紅茶もってきてくれるおばちゃん。
看護師の女性も、トーストにジャムぬって渡してくれる人も。
みんなが、助ける、生きる、そのために行動した人達で。

やっと英国に帰りついて、俺たちは負けたから、冷たい視線にさらされるだろうって
兵士は思っちゃうんだけど、でも、市民みんながら、歓迎して飲み物や食べ物
差し出してくる。生きて帰ってきたことが英雄である、と。

事故で死亡した少年もまた英雄だと、小さな新聞記事になる。

これは体験だ、みたいな宣伝文句いっぱいだったけど、ほんと、体験だった。
音も、美しい青い海も空も、全部体験みたいに迫ってくる映画。
何度も船は沈み、役者さんたちどばどば海に落ちて沈んで。あれ、めっちゃ
大変すぎるだろう? 現場修羅場だろう?って思ったなあ。凄い。

こういうの、でも、映画、第二次世界大戦の映画ね。
ほんとやっぱり、彼らは辛くて大変な思いをして、っていうのすっごくわかるけど、
そしてでも彼らのこれは輝かしい勝利の中の出来事なんだよなあと、すごく思う。
日本の感覚とは違うんだよなあと思う。
勿論普遍の思いとして、戦争の惨禍っていうのはあって、それでもその先に
見るのが、輝かしい勝利、か、どうか、って、ほんと違うなあと思う。

ともあれ。戦争、絶対厭だ。こんなの嫌だ。
かっこよさもうつくしさも、フィクションの中だけあってくれ。
散々予告で煽られて楽しみにしてったけど、すごくよかった。すごくすごくよかった。

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