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『混沌の叫び3 人という怪物』下 (パトリック・ネス/東京創元社)


*ネタバレ、結末まで触れています。


『混沌の叫び3 人という怪物』下 (パトリック・ネス/東京創元社)


スパクルと和平を結ぶ話し合いの場に、首長やミストレル・コイルを行かせる
わけにはいかない。と、代表していくのはヴァイオラと、ブラッドリーになった。
それぞれの思惑が入り乱れ、単純にはいかない和平の話し合い。

プレンティスのノイズを操り探る力は増大し、トッドもまたその力を得ていく。
ヴァイオラを思いながらも、改心した、というプレンティスの言葉も信用して
いいように思い始めていた。

和平の手柄をプレンティスに奪われ、ミストレル・コイルはプレンティス諸共
自爆しようとした。間一髪の所、トッドはプレンティスを助けてしまう。
自分でも戸惑うトッド。感染症に苦しみながらも、ヴァイオラはトッドを信じ、
平和の道を探る。

スパクルに助けられていたベンがついにトッドと再会する。一気にベンのもとへ
駆けていくトッドの姿に、トッドを息子と思い自分の良心とも思っていた
プレンティスは、父として息子を奪われたと感じてしまう。
プレンティスの暴走。スパクルへ一人攻撃をしかけるプレンティスは、それでも
トッドとの最後の対決の時には、トッドに殺人を犯させることなく自ら海の怪物に
喰われることを選んだ。

やっと、終わった、と思った瞬間、スパクルの新たなスカイとなっていたリターンの
誤解によって、トッドは撃たれてしまう。
トッドを殺されたと思ったヴァイオラは銃をとるが、ベンの説得に応じてついに
銃を捨てた。そして、死んだと思っていたトッドには僅かに命の兆候があった。
やがて新しい入植者がやってくる。ヴァイオラはトッドが目覚めるのを待っていた。

付記として、ヴァイオラがニューワールドに不時着してくるまでの短いお話が
あった。あんまり気のりしない感じで両親の都合でやってくることになって
しまったんだねーヴァイオラ。希望を託されまくって。

三部作完結。
希望。
希望。
どんな困難にも諦めずに希望を、よりよい世界を求めること。
そういうテーマのお話だったなあ。
しかしその世界の希望を、15歳くらいの子どもに背負わせてんじゃねーよ、と、
結構辛い。
ほんと最初のころはヤングアダルト小説~で、男の子と女の子ががんばって生きる
のね、って思ってたけど、二部、三部とくるともう完全に政治、戦争の世界を
ヴァイオラとトッドの二人だけが希望ってことで描いてて、ほんと辛い。過酷。
まあな~~~。主人公になっちゃうとそうなのかなあ。そうなんだけどさあ。

トッドの母の日記は全部読めはしなくて、プレンティスが言ってたことが本当
ってことでいいのかなあ。ミストレル・コイルとの対立みたいなことがやっぱり
あって、どっちも引かずであの村からは女がいなくなったのか。

ノイズをいずれ誰もが操り、スパクルとも共有して相互理解ができるように
なっていく、という、希望のある終りだった。トッドもきっともうすぐ目覚める。
トッドとヴァイオラは、トッドが望んだように二人で静かに暮らしていけるの
だろうか。やっぱり英雄として担がれてしまうんじゃないだろうか。
まあ新たな入植者はこういうのお話としてしか知らずにやってくる圧倒的多数、
ってことで、伝説の二人も案外あっさり自由になれるのかな。
でも新たな人の中にも、プレンティスみたいにノイズのカオスに飲まれて
暴走しちゃったりしないんだろうか。
平和って、難しい。

三部は上下巻ともにけっこう分厚い感じだけども、もうすっかり慣れてて
さくさく読んだ。それに気になりすぎて、ホントだったらもう全部一気読みしたい
作品でした。一部を乗り越えると面白かったなあ。

プレンティスが~やっぱかっこいいですし。こんなにも酷い男でありながら
トッドを大事に思う気持ちは本物だったのか、という感じが、まあ歪んだ愛情
つーかまあやっぱサイコパスみたっぷりなんだけれども、もえるわ~。
もう私の脳内キャストマッツでずっと読んだから。たまんないね。
映画化はとりあえず第一部?
でも是非とも二部三部もやってほしい。だって一部だけだったらプレンティスの
出番ほとんどないよねー?せっかくマッツをキャスティングしてるのに、
勿体なさすぎるよねー? トムホくんとあんなこんなに絡んでくれなきゃやだ~。
映画でどんな風に描かれるのか。実際公開されるような頃には私は多分いい塩梅に
話も忘れてるだろうから(^^; とても楽しみです。


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