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映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」

(ドキュメンタリーでもネタバレって注意? まあ、内容全体的に触れてます)


映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」


19歳の時、史上最年少で英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとなった
セルゲイ・ポルーニンを追ったドキュメンタリー。トップとなりながら突然の
退団。身体には多くのタトゥー。異端児といわれる天才ダンサー。
とはいえ、1989年生まれの彼はまだ20代。早すぎる伝説の存在。

私はバレエって素敵、という憧れはあるものの何にも詳しくないので、この映画で
初めて知ったことばかりでした。それでも何も知らなくても、この、彼の、
物凄い圧倒的な美の力はわかる。時々現れる本物の天才だろっていうのはわかる。
わかってしまうほどに、物凄い美しいダンサー。

本番前にきつそうなドリンク剤、鎮痛剤を飲みハイになってからいく舞台裏。
子どもの頃のビデオには、最初は体操ジムで、それからバレエを習いにいって
才能を開花させていく様が残っている。
母が語るには、赤ちゃんの時に看護師さんに関節がちゃんと動くかチェックされた
時、どこまでも開いて怖がられるほどで、生まれつき体が柔らかかったという。

息子の才能、将来のために、ウクライナの小さな町からキエフだっけ、えっと、
どっか街の学校へ通わせようと母は決意する。学費のために出稼ぎに行く父、
祖母。セルゲイは評価され、母はさらに外国の学校へ行くべきだと考える。
英国ロイヤルバレエ団のスクールへのオーディション。無事受かったものの、
母親のほうは滞在許可がなく、まだ11歳だっけ、えっと、ローティーンの
セルゲイと離れるしかなかった。

ロイヤルバレエ団のスクールなんて、全国から、世界中から、ダンサーを目指す
子どもが集まって選ばれてレッスンつむ所。レッスン風景の映像があったけど、
そんな、選ばれし子供たちの中で、セルゲイはもうすでに圧倒的に凄いのが
わかる。ジャンプの高さ、優雅さ、ターンは誰よりも沢山周り、姿勢も美しい。
こんなに圧倒的なのか。

親と離れて孤独も深まるセルゲイ。もう遊びは終りだ、と、自分のために働き
バラバラになった家族の期待、希望を一身に背負って、誰よりも多く練習する
セルゲイ。

バレエ団へ入ってからも、ソリストから、あっという間にプリンシパルになる。
観客はセルゲイに夢中になり、彼の存在は格が違う、と言われる。

でも、トップであるということは窮屈なこと。
レッスン、舞台、レッスン、舞台。観客の期待。バレエ団の期待。子どもの頃から
どれほどのプレッシャー受け続けてきたのか、私には想像もつかないレベルの
重圧だったろう。
あまり詳しくは語られなかったけど、ドラッグやったりうつ病だったりみたい。
身体にタトゥー増やしていくのも、自傷行為ということなのでは。
それでも、彼が踊るとあまりにも素晴らしくて、もうほんっと何もかもを
圧倒する美しさで。
リハとか練習とかでも彼が踊るのを舞台そでや端っこで他のダンサーたちが
そわそわとじーっと見てるのが印象的。彼の踊りを目の当たりにして、幸福も
絶望もあるのでは、と、思うけど、どうなんだろうなあ。

世界中のダンサーの熱望するであろうプリンシパルの座を捨てたセルゲイ。
ニュースとなってテレビ報道あったりしたみたいで、あんまり多く説明はなかった
けども、まーたぶんいろんなバッシングとかあったんだろうなあ。

アメリカでは受け入れてくれるところがなかった、と。リスキーだと判断された
のだろう。
セルゲイはロシアへ行って、テレビのオーディション番組みたいなやつで、
ボリショイバレエ(だったっけ?)のゲストになったりする。
そこで尊敬できる師に出会い、また一からダンサーとなっていく。

それもやがて飽きて、って。
ホージアのグラミー賞ノミネート曲「Take Me To Church」に、友達に振付を
頼んで、一流カメラマンに撮ってもらってYouTubeへ動画をアップする。
もうこれで引退、というつもりだったみたい。
動画は評判を呼び、多くの注目を集めた。それが2015年。

そして、彼は、ダンサーという枠にとらわれることなく、アーティストとして
活動していくようだ。
俳優とか。
学校とか? 作りたいとか。

まだ子どもで、ロンドンへ初めて行って、公園の中の学校をハリーポッターの
世界にきたみたい、って言ってたり、寝てる所、友達に顔に落書きされたり
してるのをスマホ動画で撮られてたり。もうほんとつい最近じゃん???って
私なんかはびっくりしちゃう、そんなにも若い青年のドキュメンタリー。

圧倒的な美って魔法みたい。あまりにも強い美の力は、家族や周囲を、本人をも
苦しめ翻弄してしまう。本人がただ普通の家庭の愛情が欲しい、という切ない
願いを持っていても、彼の踊りはあまりにも、あまりにも素晴らしくて、彼に
踊ってほしいと、熱望されてしまう。期待かけられてしまう。

「Take Me To Church」は私、前から大好きな曲で、セルゲイがこれを選んで
もう引退って思う最後に選んで、踊ったのに打たれた。あのダンスを映画館の
スクリーンで見られて幸せ。涙がぽたぽた落ちてしまった。
帰ってからもちろんYouTube探したよ。ほんと素晴らしい;;

https://www.youtube.com/watch?v=c-tW0CkvdDI


見に行ってよかった。このドキュメンタリー作ってくれてありがとう。
インタビューに答えてくれてありがとう。
セルゲイにはこれからの人生、思うがまま生きて、幸せになるといいのにねと、
願う。
正直言うと、踊るのは好きだよ、ジャンプ最高、みたいに言ってちょっと笑った
顔を見られてよかった。踊るのが好きだよ、って、これからも、できれば、
笑って欲しい。
子どものころ最初にバレエ習ったところの先生に会いに行くシーンがあったけど、
最初にちゃんと踊るの楽しい、好き、って教わって、成長していったの、
よかったねって思う。
ほんとにほんとに、素晴らしいもの見ました。大満足。


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