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映画「ハートストーン」


*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ハートストーン」


舞台はアイスランド。おそらく夏休みの、男の子たち。女の子たち。
クリスティアンとソールはカップルとからかわれるほどにいつも一緒に遊ぶ仲良し。
ソールはベータという女の子のことが気になってきている。ベータはハンナと
いつも一緒。女の子たちのほうが少し大人っぽい。
ソールはどうやら母子家庭。姉二人と母とに囲まれて末っ子ならではのやりきれ
なさを抱えている。
クリスティアンの父親は暴力的。村でも喧嘩っ早いみたいだし家庭内暴力もあり。

小さな村。限られたコミュニティ。噂はすぐに広まり、保守的で排他的。
ソールが主人公、かな。カメラは少年たちとの距離が近い。汗ばむ肌。性に
不慣れな反応の清潔さと生々しさが映し出されていて、見ていてものすごく
ドキドキするし痛々しい。

始まり、魚がいるぞ!って桟橋にいる男の子たちがざくざく釣り上げてく中で、
カサゴを釣り上げると、こいつ醜い、ってぐっちゃぐちゃに踏みつけるの。
クリスティアンみたいだ、って。
クリスティアンは、男の子たちの中ではすらりと背が高い方だし金髪のカールも
美しい、顔だちももちろんとても綺麗で、なんで醜い扱いみたいに言われてるのか
わからなかった。むしろひと際綺麗だから排除されようとしてるみたい。
ソールはやめろよ、ってぐちゃぐちゃにするなよ、ってとめる。
二人は仲良しで、廃車置き場みたいなところでやたら叩いたり壊したり。ただ
何をするでもなくなんとなく歩くとか投げるとか蹴るとか。
最初の、魚を獲ったらガツガツ頭殴って殺して、とか。
こう、暴力というか、荒っぽいっていうか。
雄大な景色の中、自然の中、生きていくのは荒々しさを伴うっていう感じかなあ。

カノジョが欲しい、ってなったり。ちょっと年上の不良たちがやったとかやらない
とかだったり。
ソールたちって、15歳前後くらいなのかなあ。
これといって何も説明されないままに、そこに暮らしてる彼らが映し出されて、
私、アイスランドについて何にも知らないなって思った。ただただ、そういう
ものなのか、と、スクリーンに広がる世界に圧倒される。

終りに、「親友と義父の思い出に」みたいなのが出たので、監督の体験ベース
なのだろうと思う。時代は、多分今現在より少し前。

クリスティアンはソールの恋を応援するようにしながらも、うっすらと、自分は
ゲイなのではないかと、多分悩んでいる。多分自分でも自分の思いに気づくこと
のないように、自分から目を逸らしている。
でも、ソールとふざけ合ってるうちに、ついキスをしてしまったり。
からかわれたりするのが嫌なソールが普通にしてろよ、とか言ったりして、傷つく。

ソールのおねーちゃんのうちの一人が、腐女子なのかしら~。弟たちをモデルに
絵を描いたりしてるのね。
で、多分本当に善意で、クリスティアンに、ゲイでも気にしないで、って声を
かける。
クリスティアンの父はゲイの噂があった村人と喧嘩して追い出すかのように
したこともあって、クリスティアンは自分がゲイなのかも、っていうのに絶望
して自殺未遂しちゃうんだよ。

もう少し、時代が違ったら。もう少し、いろんなタイミングが違ったら。
もう少し、ちゃんと彼らを守る大人がいたら。
もう少し、もう少し、なんとかなったのではないか。苦しくて切なくて仕方ない。

クリスティアンに内緒で彼女と一晩すごしちゃった、って翌日に、彼の自殺未遂
のことを知ったソールはやり場のない怒りに荒れ狂う。

ソールも、クリスティアンも、子どもで。どうにもならないことばかり。
自分の感情だってどうにもうまくコントロールできない。
男の子たちだよなあ。

クリスティアンは助かったけれども、両親は多分離婚。引っ越していくことに
なるらしい。
ソールは会うことができたけれども、でも、どうしようもない。
会えてよかった。

ベータとハンナの女の子二人組より、クリスティアンとソールの男の子二人の
ほうが断然綺麗な子たちだったと思う。
ソールの長いくるんとしたばさばさ睫毛の可愛いことといったらもう。
ソール役の子はこれがデビュー作の新人らしいし、実際彼らは10代なんじゃ
ないかな。すごいこれよく撮ったなあと感動する。そのまんまそこにいる男の子
なんじゃないかって感じ。子どもだよ。自然でとてもリアル。素晴らしかった。
いけないもの見てるんじゃないかってドキドキしてしまったよ。ごめん。

子どもたちがもっと守られていて欲しかった。
子どもたちにあの村だけじゃない広い世界があると知ってほしい。
世界が今はもう少し、よくなっていてほしい。でもそうでもないのかもなあ。。。
切なくて苦しくて、でも見にいってよかった。

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