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映画「銀魂」


*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「銀魂」


私は原作漫画もアニメもほとんど見たことがなくて、なんか、新撰組っぽいのとか
いるらしい、でも宇宙人とかいるらしい。どういう世界?? って、もうほんと
知らないんだけども、なんか面白そうな期待が高まる……と思って見に行きました。

いやー、面白かった!!!!!
すごい! 知らなくてもすっごく楽しい親切設計!
尊王攘夷じゃなくて、宇宙人排除ーみたいな不思議ワールドみたい。るろ剣的な
感じだな~てことはもちろんベースには幕末物があるんだな~とわかる。

かつて白夜叉と恐れられた志士が今は万事屋をやってる。銀さん。坂田銀時。
桂さんと高杉と銀さんと、松下村塾もどきみたいな所で松陰先生もどきみたいな
人を慕い、学んでいたんだけれども。先生は捕らえられてしまった。

そして維新の動乱があり。今は人間はなんとか宇宙人?と、折り合いつけつつ
暮らしている、江戸。不思議ワールド。

もー、いちいち全部のキャラを褒めたい。みんな目いっぱい本気でふざけて
やりきってるな~~と思う。
橋本環奈、めっちゃ可愛い。けどすげーヘンさも盛り沢山。衣装とか、絶妙に
ダサいダメダメっぽさ。多分もっとすっと綺麗に見せることもできるだろうに、
絶妙のお笑い感で、すごい。
新八くんも可愛い~し~~。
船に乗り込んで行った時、いや、勢いで、一人できちゃった。。。ってだんだん
不安になってぐずぐず言うのめっちゃめちゃ可愛かったっ。

えーと、お話としては、今の表面上の平和に納得いかない、先生を奪われたことに
未だおさまりつかない高杉くんが、反乱起こそうとしてる所、って感じ。
妖刀、紅桜という刀、みたいな生き物みたいなやつが、以蔵っぽいやつを
乗っ取っているかのようにくっつき増殖し、寄生した宿主を弱らせてしまう、と。

反乱を阻止するぞーというのが大きな物語。

小さな物語としては、なんかもうしょうもない、いい意味で、少年誌の
雑な漫画だな~みたいな笑いがガンガン入ってくる。中の人ネタもガンガンくる。
これ原作はどーなんだ、と、漫画読みたくなってしまう。時事ネタとかあるのか。

で。
主役は銀さん。てことで、のっけから胡散臭い小栗旬ガンガンくる銀さん。
でもめっちゃかっこいい~!キメキメなシーンのかっこよさ、ほんとさっすが
小栗旬~~! アホっぽいギャグの間合いも最高なら立ち回りのかっこよさも
最高で、ほんと凄いな。かっこよかったあ。

なんかもう、知らずに行ってもすごいいっぱい笑ったし、劇場内声上げてみんな
面白がって見てる~って感じもまたすごい楽しかったし。

おおもとのネタとしては幕末物で。新撰組も好きで、長州びいきな私としては
いろいろ勝手に思い入れ持って、ぐーっと勝手な深読みもしちゃったりして。
すっごい楽しかった。
高杉の先生への愛が重い。仲間への屈折っぷりも最高。
桂と銀さんが二人凄腕っていうのもめっちゃかっこいい。

新撰組方面もすごかった。柳楽君やっぱすごい色気あるしかっこいいし。
勘九郎くんよ。。。素晴らしい全裸だったよ。。。近藤さん~~~w
沖田くんが、デカいランチャー砲?かついでるのおかしい。沖田くんといえば
剣の使い手、って思うのに。
かっこよかった。

剣を作る兄と妹。という。ちょっと感動ものでありつつ。
なんかほんとすごい何もかもヘンであり、絶妙にうまく組み合わさって一本の
映画として成立させていて、すっごいな~と感心する。
どう決着つけるんだろうと思ったら、高杉は宇宙人たち? と逃げ去ってしまった。
銀さんたちはまた穏やかな日常に戻る、かな。

原作ファンだったらもっと、どうなんだろうね。違いとかイメージとか、気になって
駄目なのかもしれないけど。
でも私は見に行ってめっちゃ楽しめてすごくよかった^^。
この映画を作り上げてくれた皆さんにありがとうを伝えたい^^。笑ったよ~。
かっこよかったよ~!

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映画「ライフ」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ライフ」

12日水曜日に見に行きました。

火星からのサンプルを持ち帰った無人機をISS国際宇宙ステーション、かな?
でキャッチして、ラボで分析を開始した。ステーションにいるのは6人。
火星の土の中に細胞が見つかり、大発見として喜びに沸くが、徐々に成長する
それは、電気ショックに反応して、人間に貼り付き、砕いてしまう敵となった。


閉鎖空間でのSFホラーってことかな。基本「エイリアン」的な。
一人、また一人とやられていくクルー。奴を地球に行かせるわけにはいかない。
地球から隔離された宇宙空間。さらに隔離し、見放される運命のクルー。
なんとか、生還したい、でも出来ない、という切羽詰まった状況。

宇宙ステーションの中という状況で、無重力状態。あ~ニュースで見たこと
ある感じ~と思う。撮影どうしたんだろうと思う。すごいなあ。もうああいう
宇宙空間での暮らし、というのがリアリティあって、ああ、ああいう感じ、って
すんなり当たり前にわかる感じ、未来に生きてるな自分。

展開は、まあそうかなっていう予想つく感じ。最後、救命艇が二つあって、
一つは奴をつれて宇宙の彼方へ、もう一つは君が乗って地球へ帰れ、っていう、
その計画を聞いた時に、ん~? そのややこしい二つのルート、失敗して奴を
連れた方が地球に落ちちゃうことになるのでは。と思ったら案の定でした。
海に落ちた救命艇のドアが開き、あーっ駄目だーってところでエンド。
バッドエンドパターンだけども、地球で軍とか出てきたら武力でなんとか
なりそうかもな~と。どうなのかな~。

真田広之がメインキャストの一人として、違和感なく普通に出てた。
かっこよかった!さすが~。別に超人などではなく、まあもちろん選ばれし
宇宙飛行士なんだけども、エイリアンと対決して勝つわけもなく。単なる
人間だなあ。無力だな、というのが辛かった。。。

ライアン・レイノルズは最初の方にやられちゃうし。デップ―ならもっと
戦えるのに! ってまあもちろんそんなわけもなく。

正当派というか古典的なというかのお話で、まあなるほどって感じで見た。
ほどほどの満足感でした。


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『楽園の世捨て人』(トーマス・リュダール/ハヤカワポケットミステリ)


*ネタバレ、結末まで触れています。


『楽園の世捨て人』(トーマス・リュダール/ハヤカワポケットミステリ)

(2017年1月刊)

エアハートはタクシー運転手。ピアノ調律師。67歳。デンマーク人だが国から
離れて17年ほど。スペインのカナリア諸島で世捨て人と呼ばれながら暮らして
いる。別れた故郷の妻アネッテに仕送りを続けている。
島で友人といえる人は少ない。ラウールという金持ちの道楽息子とその恋人と
酔っ払い、雷見物に行った時、海辺で発見された車の中に男の子の赤ん坊が
捨てられている騒ぎに遭遇した。
警察はその赤ん坊に関する捜査を早々に切り上げようとしていた。
エアハートは見過ごすことができず、一人、調べ始める。


老人素人探偵の登場、ってことなんだけども、颯爽とって感じはなくて、正直、
なかなか面白く読めなくてすごく時間がかかってしまった。
エアハートがどういう人物なのかなかなかつかめない。
なんでそんなことするの??? って不思議で仕方ない。

エアハートは指を一本なくしてるんだけども、それが何故なのかとかは不明。
でも欠けた指に思う所は深いらしく、事故った車、亡くなった人から指を
貰って帰って自分の指にくっつけてみたりする。もちろんくっつくわけじゃない。
指はやがて腐り干からびる。なんで。何やってんのエアハートじーさん??

恋人が欲しい。って、娘みたいな女と付き合う妄想してたり。
ラウールんちで飲んだくれた後、目が覚めるとラウールがいなくなってて、恋人
ベアトリスも頭殴られて意識不明、ってなってて。それでもベアトリスが
「私を隠して」という声を聴いた、と、思い込み、思い込みなんだろうかなあ、
多分。で、病院に連れて行くのではなくうちでこっそり寝かせておくことに
したり。知り合いの医者に脅しをかけて協力してもらって。

タクシー運転手であり、調律師ってことで島の人間のうちに入り込んだりしてる
うちになんとなく人の弱み、秘密を握ってるんだねー。
別に普通に暮らしている間にはただなんでもなく見過ごしたけど、こう切羽詰まって
じわっと脅したりする。
エアハート自身は、死んだ赤ん坊のためになんとかしなくちゃ、って突き動かされて
いるんだけど、その衝動っつーか情熱というか、なんでそこまでその事に
首突っ込みまくってんだか、なんで??? って不思議だった。
最後まで読んでも、なんでだよ、って思いは残る。。。
なんでそんなに頑張っちゃったんだよエアハート。

素人なりにあれこれ聞きまわって、数少ない友人知人と思ってたちょい悪な
金持ち、エマヌエル・パラブラスがちょい悪どころじゃないのか!ってなったり、
でもでも実はラウールなのかよ!?ってなったり。
その最後も、逃げようとして海へ沈んだ、とか、うーん。
まあ、素人のおじいちゃんが華麗なアクションで追いつめたりできるもんじゃ
ないもんねえ。そういうぜいぜいもう駄目無理ってしんどい感じはリアルで
辛かった。まあそれでもおじいちゃんすごいタフにがんばってたけど。
そしておじいちゃんってか、中年くらいな感じ? 女とやることにもそこそこに
熱心だったりして、枯れた渋み探偵ってわけでもない。


作者は2014年、この作品でデビュー、北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」を
得た、ってあったけど、そんなにすごい面白いだろうか? というのが私には
わからなかった。。。文化の差なのか私の理解力がダメダメだからか。。。
エアハート何やってんの? なんで?? という面白さでがんばってずっと
読みました。てことはキャラの魅力あるってことなのかなあ。
三部作構想らしくて、2016年に二作目出てるらしい。三部作全部翻訳出るかなあ。
出たとして読むかなあ私。わからない。でも読みたい気もする。わからないな~。
一応読んだぞという満足はあります。

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映画「ジョン・ウィック チャプター2」


*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ジョン・ウィック チャプター2」


見てきた。昨日が初日。でも今日もなんだかおまけのシール? 貰えた^^


前作の続き。まさに続き。前作の数日後ってところから始まる。
しょっぱなからすっごいぶっとばしてて、もうクライマックスか!? って感じ。
カーチェイス、車でのぶん殴り。
ジョン・ウィックの大事な車。でも、えっらくボッコボコになって、それでも
取り戻して、一息。
車のドアでバイク撃退してとれちゃったりって、凄いし笑っちゃうし、凄い。

前作の終りに連れてきた犬。黒くて一見怖そうなやつだったけど、実にいい子。
とってもしつけが行き届いてる~。可愛い。
ジョンは犬に名前つけないんだよね。切ない。いい子だって感じにぐっどぼーい、
って呼びかけるけど。大事なものにしちゃうのが怖い、みたいな感じかなあと。
切ない。
まあまだ、前作からそんな時間たってないんだった。
そのうち犬に名前つけちゃうかもしれない。犬可愛がっちゃうよなあ。

殺し屋引退する時に、何らかの協力をしてもらったらしいサンティーノ・ダントニオ。
ジョンに姉を殺して欲しいという依頼を持ちかけてきたことから新たな事件と
なる。血の誓いをした証のせいで、頼みを断りきることが出来ないジョン。
殺し屋連盟っつーかなんかわかんないけど、殺し屋たちのルールみたいなのが
厳密にある世界なんだねえ。
あのホテルとか、いろいろ、ジョンに協力してくれる人達をまたたっぷり
見られてとっても楽しい。

イタリアでの仕事になるので、現地でいろいろと調達。スーツを仕立て、特殊な
布地で銃弾を通さない、でも痛いですよ、とか。ソムリエが銃の見立てをして
お勧め教えてくれたり。デザートにはよく研いだナイフ。
ちょっと「キングスマン」連想したよね~^^。ああいう準備シーンも最高に
かっこよくってすっごいときめく。

無事仕事を終え、というか、ターゲットの彼女がかっこよくというか潔くというか
自ら死に、でも念のために頭撃ち抜いてジョンは仕事を終える。
でもそこから脱出にあたって、むしろ依頼してきたサンティーノの手下から
追われ、さらに姉のガードをしてたカシアンからも追われ。
すっごいまたしても撃ちまくりの殺しまくり!!!
銃を構えてとって撃って撃って撃って、弾丸交換とかしつつもさらに撃ってとか、
も~。どんどん敵が出てきてどんどん撃ち殺す。シューティングゲームか~。

合間にガツガツ殴り合ったりもあって、あと柔道? 投げたり締めたりもあって、
それがなんか微妙にもっさりしてたり、いかにも体重あって重そうだったり。
かっこいいよ~。

殺しのプロの掟だ。
とか、殺し屋ネットワークみたいなのとか。
電話が黒電話で受話器がいかにも重そうだったり。電話して交換手の女性が
繋いだり指示をネットワークに流してくれるのがエアシューターつかってとか
コンピューターも液晶パネルとかじゃなくて、ごっつい箱の、レトロっつーか
クラシックなってゆーか。現代でありながらレトロフューチャーみたいな世界が
すごくかっこいい。細部に凝ってる~って感じ。

ローレンス・フィッシュバーンが出る、っていうのは知ってて、なんかギャングの
親玉みたいなのかなと思ってたら。ホームレスネットワークの王みたいな感じ。
鳩使ってたり。なるほどこういうタイプのキングなのかあ。
ちょっとマトリックス連想するよねどうしても。楽しかった。

そんなこんなで賞金首にされて殺し屋連中に追われながらも、ジョンはサンティーノ
を追いつめる。
美術館に襲撃に行くんだけど、鏡と映像の部屋での戦いは舞台が幻想的~で
カラフルで、これまたかっこよかった。
ああでも美術品を壊さないで~ってハラハラした(笑)

サンティーノを、追いつめた、中立の場であるはずのあのホテルのラウンジ(?)
で殺してしまったことで、ジョンは除名処分だかなんだかにされる。
これまで得てきた協力と保護から切り離されることになる、らしい。
ジョンじゃなくてジョナサンって名前らしくて、ことさら丁寧に「ジョナサン」
と呼ばれる時の親しみと不穏さな~。すごい好き。

ジョン・ウィックの世界観って、ほとんど説明はなくて、断片だけ見せられて、
まあ大体わかるでしょ、って、奥行きを感じさせて放置なんだよねえ。
なんか組織っつーかプロの掟の世界から除名された、ってことは。ジョンは
これからひたすらに世界中を逃げて、安心できる場所や協力者はどこにもない、
いない、ってことになるのかなあ。
犬だけが味方。
これ、3が作られるかなあ。だとしたらどうやって挽回するんだろう。
ローレンス・フィッシュバーンを頼れるのかな。どーなんだ~。

今作でもほんっとにたっぷりと銃撃戦堪能したし、格闘も、カーアクションも、
すごいめいっぱいかっこよかった。少年めいた女性殺し屋、口がきけなくて
手話でやりとりとかめっちゃかっこいい。ちらほら出てくる画面の中の英語
字幕もきらーんと凝ってる感じだったりして、も~~~~どこまでも中二病!!
すごいかっこいい。
何よりキアヌがかっこいい~!!!
満喫しました。


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『暮れてゆくバッハ』(岡井隆/書肆侃侃房)

『暮れてゆくバッハ』(岡井隆/書肆侃侃房)


岡井隆のこれは歌集、だけど詩、散文、水彩画等入ってる文集、かなあ。2015年7月刊。

2014年の秋ごろから2015年の半ばまでの作品。初出は未来が多いけれども、
未発表のものも入っている。
2014年の終り頃、手術をしていて、その体験時の歌、文章がある。簡単な手術
ですよ、と言われるものだったようだけど、実際2週間ほどでほぼ癒えたという
ことらしいけれども、まあ、大変ですよね。亡き弟との対話の文章はすごく、
素敵です。
水彩画と歌はノートからそのままの印刷だそうで。2015年の1月2月頃か。
岡井さんの文字、好きなんだよね~。絵も素敵。こういうの出してみようかなと
いうのは、やっぱり子規さんのこと好きだからという感じなのかなあと想像する。

歌は、もう、日常全て、生きて呼吸するように歌が出来ているんじゃないかと
いう感じなので、なんかこう好きな一首とか私選べない。。。もう丸ごと愛してる
としか言いようがない。丸ごとうつくしい。何言おうとしても私のうすっぺらな
言葉じゃ全然遙かに無理って気がする。好きなんだもん。


とはいえまあ、いくつか引いてみる。


  いやッといふ人は居ないが好きといふ人は夕顔の白さで並ぶ (p9)

ちょっと何のことかはわからない。激しく嫌な人はいない。好きな人は夕顔の
ようだ。ってわけじゃないかなあ。「いふ人」は、言う人、なのか、ん~。
好きという人、というのは好意的な人のように思う。「夕顔の白さ」は美しい
比喩だと思うけれど、白さ、だからなあ。ちょっと幽玄めいてくる。明るく
楽しく見るのではなく、ほのかな闇と淡い白さとして好意的な相手をとらえる
感じかと思って、惹かれた。


  幾つかの袋のどれかに横たはつてゐる筈なのだ可愛い耳して (p12)

これはこの次の歌から察すると多分どうやら妻の携帯を探している場面。先に
この歌を読むので、「可愛い耳」をした何か、小さな生き物が袋に入ってるように
思えて、なんだかわからないけれども可愛いものを探している歌として、とても
可愛い一首と思う。日々の暮らしの中のなんでもないことがこうしてさらっと
可愛い歌になってるのを読むと、ふふって思った瞬間をわけてもらった気がして
ちょっと嬉しい。


  ものの見事に裏切られてはかくし持つ刃を握るとぞ薔薇は陰険 (p44)

これも正直わかんないんだけど、とてもかっこいいと思って付箋した歌。
かっこいい。歌集タイトルにしてる「暮れてゆくバッハ」の中の一首。劇的な
歌に思うけれども。裏切り、刃、薔薇、陰険。ドラマチックな道具立てで
何か昏い思いがあるひとときのことかなあ。


  たつた今わがかたはらにうづくまりゐたる羊が啼いて去りゆく (p80)

  てんてんとてんてんてんと川岸をころがりてゆく思考の兎 (p100)

アクロスティックで作られた別別の一連の中から。羊ちゃんと兎ちゃんだ、
と思って。作者の思考が生き物となって自分から離れていってしまう感じ。
でもそれを平然と眺めている感じがあって、余裕を感じる。
可愛くてかっこいいの。

  あなたの若い写真を見つつ思ふのはたとへばヴィヨンの形見の歌だ (p113)

松本健一さんを悼む歌の一連。悼む思いの流れが歌になっていて伝わってくる。
他にも訃報に接しての歌もあって、作者はこうして多くの仲間を、友を、見送り
続けている。とても切なくなる。しっとり沁みる歌です。

  今年またレモンの花がわれわれの噂をきいて(だらう)笑いた (p151、ルビ「笑ひら」)

われわれというのは、家族、妻と作者かな。レモンの花が咲いた、という春の
訪れがいかにも爽やかで、笑うように咲いていて、でもそこに「噂」という
ちょっと不穏な気配を混ぜている。そういう加減がな~。うまい。こわい。


詞書があるのも多く、それがまた俳句だったりもして、これ全部きちんと読もう
としても私には。。。無理で。。。とへこたれそうなんだけども、まあでも、
別にいっか、とさらさら読んでうっとりして、絵も字も素敵だな~って眺めて、
まあそれでいっか、と思う。
言葉の豊かさうつくしさ、呼吸するようなリズム、調べを感じるだけでいいよね。
歌だけでなくて文章のリズムも素敵で、ほんと憧れる。盛り沢山にいろいろ
入っていて有難い一冊です。


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映画「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」


*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」

昨日、2日(日曜日)に見に行きました。3D字幕、IMAXで。

シリーズ5作目。
ウィルの息子、ヘンリー・ターナーが成長し、父を助け出したい、と、あらゆる
海の伝説を調べ、ポセイドンの槍があれば海を支配する力を得られる。それを
探すためにはジャック・スパロウのコンパスが鍵となる。
魔女として処刑されようとしていたカリーナ。だが彼女は天文学者。星をよみ、
誰にも読めない地図を読んで秘密を解き明かそうとしていた。
ジャックは銀行強盗を強行! しかし金を得ることはできず、仲間からは見放され
おんぼろ船しかなかった。
掴まり、処刑されかけていたところを大騒ぎの果てに脱出に成功。ヘンリー、
カリーナも共におんぼろ船で海へ出る。

と、そんなこんなで、最初っから、海!船!どかーん!ばしゃーん!ドタバタ!
いろいろと何もかも派手でゴージャス。さっすがディズニーの、ハリウッドの、
超娯楽超大作!!!楽しかった~!
いい映像、いい音響で見られてしあわせ。これはやっぱりできれば巨大スクリーンで。
大音響で見てしあわせになるといいタイプの作品だと思う。かっこいい。めっちゃ
かっこいいよ~。

とはいえ、私は、このシリーズ、一応全部映画館へわくわくと見にいってきた
けれども、正直あんまり細かく登場人物とか把握しているわけではなく。
お話もまあなんとなくくらいしかわかっていなくて。熱心なファンとはとても
言えない。今回の重要人物はバルボッサ船長なんだけれども。ええと、まあ、
なんだっけ、って、あんまりピンと来ない感じで申し訳ない。一作目から
敵対してたあの人か。んでその後でなんだかんだあったっけ、みたいな感じ。
でもまあなんかそんな程度の私が見ても十分楽しかったです。

ジャックがいかにして船長となったか、という若き日のエピソードもあった。
かっこい~^^
可愛い。スパロウ。小鳥ちゃんとか呼ばれちゃう。船のピンチを救った、って
ことで、船長になったのね。あの急旋回すっごいかっこよかった!!

やっぱり海~。海戦~!機敏には動けない船での戦い、ぶつかり合い、すっごい
かっこよくってテンションあがる~!迫力!

で、今回の敵、つか、ジャックに恨み抱いてるサラザール。ハビエル・バルデム。
007の「スカイフォール」でボンドに対抗してママをとりあってた奴じゃーん。
顔が、さすが、でっかい、迫力^^ それがまた巨大スクリーンいっぱいに
アップになったりもするのでほんと迫力。そして最後には海の藻屑と消えました。

カリーナが実はバルボッサの娘である、ってのがわかって、カリーナを守って
バルボッサも海の底へ。でも娘を守ることができてよかった、という。
父と子、っていうのが最近の流行りなのだろうか。いやまあ、最近でもないか。
やっぱりベタな、ってわかっていつつ、うるっとはきました。

なんとかポセイドンの槍をどーのこーのして、あの辺の海でのすべての呪いは
解かれた、かな。
そして。ウィルが帰ってきたー!
それまで、エリザベスのことなんも言わないなあ? キーラ・ナイトレイ出られ
ないのかな? って思ってたら、この最後で、ちゃんとウィルを迎えに来た!
キスをして、めでたしめでたし^^

んでもエンドロール後のおまけ的に、ウィルの悪夢がきて、またなんかヤバめな
シルエットとか映って。夢か、って感じだったけれども、実は床が濡れてフジツボ
が落ちていた、という。
これはまだ続編作る気はある、ってことなのかな。
でもこれ、このシリーズ集大成としてすごくよかったので、もう終わりにすれば
いいのにな。
世代交代して、ヘンリーとカリーナだとかが主役でやっていったりするのかな。
ともあれ、豪華に金かけた映像世界をたっぷり堪能しました。満足!

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『念力ろまん』(笹公人/書肆侃侃房)


『念力ろまん』(笹公人/書肆侃侃房)


笹公人四冊目の歌集。2015年5月刊。
笹さんは歌集だけじゃなくていろんな本も出されてるので、あとがきによると
この前に『遊星ハグルマ装置』(朱川湊人共著)にも多数歌を収録してるそうです。

Eテレの「念力家族」すっごい面白かったよねえ。あれ始まったの2年前ってことか。
月日の経つのがはやすぎると感じるお年頃だぜ私。。。

笹さんの短歌は、自分が短歌を読み始めてすぐにファンになったもので、すごく
面白おかしい感じの中にはっとする美しさがあって。抒情というものかと後から
わかった。ぱっと見のとっつきやすさ、サブカル的だったりオカルト的な素材の
親しみと、それが短歌であるという面白さが、いつもいつも、ずーっと凄くて、
ずーっとファンでいさせてくれる歌人だなあと思う。

この歌集は、開いてみてまず、字がでっかい、ってびっくりする^^
一頁一首。大体二行になってる。これはあれだ、トリックの上田教授の『なぜ
ベストを尽くさないのか』を連想^^ いやまあ違いますけど。

この本で、この表紙の絵の怪しいんだかでもなんだかとっても綺麗だし、
ページを開くとインパクトあるし。さすがだなあと思う。念力~~。好き。
大林監督が帯書いてるのもさすがです。


いくつか好きな歌。


  またふられしフーテンの寅に安堵する日本人は童貞贔屓 (p18)

寅さんの映画ももう作れなくなっちゃってそれでも永遠に人気作品なんだろうなあ。
いつものパターンな感じに安堵する、その安堵を「童貞贔屓」って言いきってる。
そうかも~って納得させられるなあ。寅さんて結局地に足のついた大人には
なりきれない存在で、そういう永遠の男子、って感じ、それ永遠に童貞、日本人
好きなんだろうなあと思ってしまう。まあ、漂泊の旅人への憧れってみんなある
と思うけど。外国だと行きて帰りし物語、帰ってきてめでたしめでたしになる、
かなあ。


  9の字に机ならべていたりけり夜の校庭はせいしゅんの底 (p22)

これも、好き。ミステリー現象みたいにちょっと騒がれたこともあったような
気がする、校庭に机を並べていたり。その、夜の校庭でそんなことしちゃう
生徒たちって、でも楽しくて、でも苦しくて、「せいしゅんの底」という感じは
伝わってくるなあ。


  雨ふれば人魚が駄菓子をくれた日を語りてくれしパナマ帽の祖父 (p38)

これは帯にあって、あっかっこいいと私もすごく思った歌。パナマ帽、いい。
雨、人魚という繋がり。駄菓子をくれた思い出、は、法螺話かもしれないし、
人魚に例えた、大人の女性に憧れた幼い日のちょっと艶っぽい出来事かもしれない。
なんにせよ素晴らしい雰囲気のある歌で、さすがかっこいい。
ちょっとだけ思うのは、「語りてくれし」がなんか調べがぎくしゃくする気が
して、いいな好きだなと思うと同時に何度読みかえしてもうーんなんか、ここ、
もうちょっとなんとか。と、思う。けど、改作案が浮かぶでもなく。ん~。


  にんげんのともだちもっと増やしなと妖怪がくれた人間ウォッチ (p68)

流行りもの取り入れて笹さんの歌に仕上げてるの、ほんとさすが。一気に切ない
ほろ苦い気分にさせてくれる。


  本尊なき御堂のごとき淋しさに耐えられるのか四月のアルタ (p81)

これも時事ネタ。30年続いていた笑っていいともが3月で終わったんだよね。
新宿の駅前の、アルタでお昼の生放送。初めてアルタを見た時にはここでやってる
のか~~って眺め見上げたよ。「本尊なき御堂」というのはついに終わるのか
っていう気分を言い得ている感じがする。
これ、いずれ笑っていいともとかタモリが生放送であそこでやってたとか知らない
わからない時がくると思うけど、この歌はどう読まれるだろう。ほろりとくる
淋しさ、という感覚だけは伝わるように、私は思うけど、どうなんだろうなあ。


    さびしんぼう
  ひとがひとを恋うるさびしさ 鍵盤に涙の粒はぽろぽろ落ちて (p94)

映画「さびしんぼう」に寄せて。人がさびしい時、人を恋うているのだ、という
把握が、改めてはっときた一首。


  夕焼けに伸びゆくメトロン星人の影に塗られて言いしさよなら (p123)

夕暮れの別れのシーン。メトロン星人の影がさす異化と、ノスタルジー。
って私はメトロン星人について何も知らないんですが。ウルトラマンに出てくる
宇宙怪人かなみたいな感じ。ぐぐってなるほどとちょっと思うものの、でも、
こういうのがダイレクトじゃなくても伝わってくる感じって、いいなあと思う。


  いつのまにか消えたナメクジ 玄関まで「伯方の塩」を持ってきたのに (p150)
  なめくじのテレポーテーション数えつつこの遊星の冬を耐えおり (p151)

なめくじには塩をかける。わかる~っていうのは世代なんだろうか。どのくらいの
共通認識なんだろう。ともあれ、そこに持ってきた塩が「伯方の塩」っていうのも、
わかる~ってなんか、何がどうわかるのかきちんと言おうと思うとめちゃめちゃ
大変だな。うーん。なんかこう、ちょっといいお塩なんだよね。でも凄くオシャレ
とか凄く高級品てわけじゃなくて、普通にスーパーで売ってるし日常使いしてる
家庭なんだろうと思う。でもなめくじにかけるにはちょっとだけ、ちょっとだけ
躊躇しちゃうかもしれない感じ。もったいない。でも、その塩もってきたのに
ナメクジはいなくなってる。「持ってきたのに」と、あれっと拍子抜けする感じ、
すごい、これも、なんか何がどうわかるとは言いづらいけど、わかるーって思う。
そして次の歌は「なめくじのテレポーテーション」とくるのがすごい。SF世界に
なってしまう。遊星、って普通にこの地球だろうと思うんだけど、ここが、別世界
になる感じが好き。冬だし。冬って、なんか、核の冬とか、こう、荒涼とした
気分になる。面白かった。


  シャンプーの容器の底に黴見えて盲愛に似た夏が終りぬ (p162)

ちょっとぬるっと黴がきてしまうシャンプー容器の底。夏の盲愛ではなくて
盲愛に似た夏、とくるのがいいなって思いました。でも夏も、愛も、過ぎて
しまった直後だと、なんだか嫌なものなのか。美化されるには時間が必要かなあ。

さくっと読んでしまう歌集だけれども、やっぱり浪漫で素敵でした。

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