« 「ファッションとアート 麗しき東西交流展」 | Main | 『熊と踊れ』上下(アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ/早川書房) »

映画「僕とカミンスキーの旅」

*ネタバレしてます。


映画「僕とカミンスキーの旅」

昨日、7日(水)に見に行った。

盲目の画家としてかつて注目を集めた巨匠、カミンスキー。今は引退してスイスの
山奥で暮らしている。
恋人にはフラれ、ライバルとみなしている相手には後れをとっている美術評論家
セバスティアンは、カミンスキーの伝記を書こうとしていた。そう遠くないうちに
カミンスキーが死亡となれば本はバカ売れ、大儲けとなるはずだ。

てことで、セバスティアンがカミンスキーや娘を適当に騙してうまくやろうと
するも、そう簡単にはいかない。カミンスキーの忘れられない恋人がまだ生きて
いると知らせて、再会させようと、二人で旅することになって、ってロード
ムービーでもある。

セバスティアンて奴はどうにもヒドイ男で、勝手に家探ししたり手紙や絵を
盗んだりして、実にゲスな嫌な奴。盗んだんじゃないよ借りたの、くらい平気で
言いそうな、ずうずうしくて勝手なマスコミ的な男。ダニエル・ブリュールが
演じていて、なんかボロボロになってたり雨にびしょ濡れになったり、煙草
吸ったりやさぐれてたりと、いろんな顔、スタイルが見られたのはとっても
よかったけど。でもセバスティアン、お前クズだな、と何度も思ってムカつい
たり笑ったりした。

カミンスキーは盲目、と言われつつ、全盲というわけでもなく実は見えている
のではないか? という謎もあった。けれども、見えてるっぽくもあるし、でも
ほとんど見えてないのか? と、はっきりとはわからない感じ。急激に極端に
視力が落ちたって感じなのかなあ。
カミンスキーは架空の巨匠なので、交友があった画家とか師匠とか、ちゃんと
覚えてないけど私でも名前知ってるわってな有名どころいっぱいで、盲目の、
ってことで話題かっさらって人気集めたとかの世の中の軽薄な感じとか、
本人は気まぐれで気難しくてやっぱとてもいい人とは言えない曲者で、結局
セバスティアンのほうが振り回されることになる。
最初は気の合わない二人が旅を続けるうちに歩みより成長し、みたいな単純な
ことでもなくて、結局お互いあんまりは素直じゃない感じのまま。

それでも、死んだと聞かされていたテレーゼという恋人と再会したあとには、
カミンスキーもしょんぼり気弱になっちゃってて。
テレーゼは痴呆症的になってるのかなあ。フリなのか。いや、時々思い出したり
クリアになったりする、という感じなのかなあ。
年老いることの切なさ。
はるか昔に別れた二人の人生は、それぞれに別の歩みのほうが長くあったわけで。

海を知らないから行きたい、というカミンスキーの最後の我儘を聞いて、二人で
また娘を振り切って車を走らせる。
海で、波打ち際を二人で歩いてるシーンはとてもとても美しかった。

セバスティアンのことを気に入ってるというカミンスキー。セバスティアンが
盗んだ絵にサインしてあげる。
引退後にひっそり地下室で自画像を描いていた、というやつ。
迫力~の、でも、それ、見えてるから描いた?? と、不思議なやつ。
手癖で絵は描けるものなのか。
旅の途中にもスケッチとかしてあげてたりしてなあ。まあどっちでもいいか。

カミンスキー死亡のニュースは映画の冒頭にあって、半生を振り返る的な番組
やってるという所が始まりだったんだけど。
セバスティアンがインタビューを受けて、という、あの、あれは、セバスティアン
の夢ということなのか、冒頭に戻るという時間軸の弄り方なのか、ん~。

私は多分、あのあとセバスティアンは、晩年のカミンスキーみたいな本を書いて
実際死亡のニュースの時には友達だった、と言う、ということなのかなと思う。
あの、最後。海辺で別れて、砂浜に座っているカミンスキーの姿が絵になって
いくんだけど。その、あの絵を描いたのは、セバスティアンなのかなあ、と。
セバスティアンも画家になりたいとちょっと思ってたとかいってた気がする。
で、あのあと、絵をまた描くようになって。そして、カミンスキーの死のニュース
の時には、カミンスキーと友達だよ、と、言ったのかと。
どうかなあ。

序盤には実にひどい人達ばっかり、って感じで、ええと、なんか、もっと、
ちゃんとして?? と不思議に思う。大丈夫なのか?? と思う事多々。
でも、なんか、もう丸ごとセバスティアンの夢ってことでもいいのかなあとか、
そういうふわっと浮世離れしてる感じがあった。

公開規模が小さめで、見に行けないかと思ってたけど、遅れて近くでやって
くれてよかった。やっぱ見にいってよかった。

|

« 「ファッションとアート 麗しき東西交流展」 | Main | 『熊と踊れ』上下(アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ/早川書房) »

「映画・テレビ」カテゴリの記事