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映画「T2 トレインスポッティング」(2回目)

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「T2 トレインスポッティング」


先日、最初のやつを見直して、今日二回目見に行きました。
最初のを見直してても、ああ、こいつら20年後に、って思いながら見てしまう
ので、なんかやたらうるっときて仕方なかった。初見の時には、なんかとにかく
圧倒されてて、最後レントンは新たな旅立ちをして、どーなるのかなあって
ふわああーっと、あんなぐっちゃぐちゃながらも爽快感があった、気がする。
今見ると、あーー20年たっても君たち、クズだぞ、と、思う。
クズだよ。
でも、愛しいやつらで、もうベグビーさえも愛しくて、はあ、生きてるんだな。

二回目なので、話の展開とかはわかってるわけで。
レントンが戻ってきて、サイモンの所へ行って、最初、結婚してて子どもは二人、
って子どもの名前まで言っちゃうあたりでもう、うう、もう~~~~ってなる。
ボコボコに喧嘩しても。
その後一緒に昔話ばっかりして盛り上がっても。
融資申し込みに行こうぜ、って真面目そうに話してるのも。
カード泥棒したり、稼いだお金あるだけ使っちゃったり。
もう~。君たちクズだな~~。

ベグビーがさ、脱走して、息子とまた泥棒して、ってはしゃごうとしてるのも
ほんと、うう、ぐさぐさくる。
子どもがいて育ってるのはベグビーんところろスパッドで、なんか、妻と子は
かなりまっとうに暮らして育ってるんだよなあ。父が反面教師なのかな。
父親だけが家庭に入れない。

ベグビーは実はレントンが好きなんだけども、そんな自分に自分で気付く
ことができず、むしろホモフォビアになり暴力的になり、みたいな感想を
ネットのどこかで見かけた。あっ、と思う。
彼ら四人ともの関係、以前のトミーも含めての関係、彼女がいたりもあったけど
基本的には男だけのぐずぐずの関係で、まー実際のせっくすこそしないとしても
下ネタの共有はもちろんあって、なーんか、そーだなという気はする。
ベグビーがレントンに絡むのは確かにひと際ねちっこいかも。
前作見ても思う。いっそせっくすする関係ならもっとすっきりするのに。

レントンは、なんだかんだいろいろと愛されている。
一応はまともそうな両親いたし、今作で母は亡くなっているけど、父はいるし、
子どもの頃からの自分の部屋をそのままにしてとっておいてくれている。
サイモンが俺の女だ、って執着してるベロニカは、レントンのことを好きよと
言って早々に寝る関係になる。サイモンとは仕事のつきあいで一回やっただけ
みたいだったのに。サイモン気の毒だ。
ベグビーには殺されかねない勢いだったけれども、あれはどうなのかなあ。
ほんとの本気で殺したかったのか。愛情の裏返しの憎しみの深さなのか。

サイモンは、親友だよなって。実際特別仲良かった二人で、薬打つのに一つの
注射器使いまわしてたりしたらしい。一本の針でさ、みたいに言ってたけど
それもやはりもはやせっくす。。。の代理か。
ともあれ、息苦しいほどに狭い世界でのうんざりする濃密な絆。
お互いにぐずぐずと、なあ俺達一緒だよな同じだよな、どうせ世の中クソだ、
って感じのクズ同士。

前作でレントンは一度は抜け出して不動産会社の営業としてちょっとうまく
いきかけてたんだけど、サイモンシックボーイやベグビーにまたつるまれて
それを拒むこともできず。
で、裏切り、金持っての逃走になった。

今、戻ってきたのは、15年真面目にやろうとしてきたんだろうけど結局
うまくいかなくて、病気して気弱になったし離婚になるし子どもはいないし
部屋も元妻のものだし居場所なんてない。
と、なった時に、故郷に戻るっていうのは実に苦しく切ないんだよなあ。

スパッドを助けて、一緒に走ったり、トミーを偲んだり。薬はやめたはずなのに
またサイモンとぐずぐずになって。

スパッドが、今度こそ薬絶つことができたかなあ。
一人で耐えて、紛らわせるように自分の今を書き記して、ベロニカのすすめも
あって、自分たちのことを書いて。書くことで立ち直るっていう地味な感じが
ぐっときた。

その言葉でベグビーも自分を振り返ったし。
スパッドの書いた小説なんて誰が読むんだろ、って、レントンもサイモンも
ぼーっとして終わる。レントンは自分の部屋で音楽にのって踊る。

嗚呼。この世界は小説で、映画で、それを見ているよ私。と、メタな入れ子の
中に入り込むように終わる。
自伝、とはいえ、小説だーって作中でメタレベルになるんだけれども、20年
前と同じキャストで、そこに確かに歳月は流れていて、観客である私も、
20年前大好きだったーという所から今、確かに20年の歳月は流れていて。
こういう体験をするって凄いなと、やっぱり思う。

この頃、リバイバルというかリメイクというか、長い年月を経ての続編とか
できてきてるのを、自分も長い年月を経てまた知る、見る、体験するって、
あ~年をとったなあという切なさと、年取ったのにまた大好きだった世界を
見ることができるっていう幸福と、複雑になる。
続編の出来がちゃんとよければ、なんだけど。

T2は私にとっては大成功の続編で、幸福な体験だった。
キャストみんなを今見てもやっぱり好きになった。今見たほうが好きになった。
生きてきたんだなあと思った。
ユアンくん可愛いよおお~~。好きだ。

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