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映画「たかが世界の終わり」

*ネタバレ、結末まで触れています。

映画「たかが世界の終わり」


22日(水曜日)に見に行った。
グザビエ・ドラン監督だしカンヌでグランプリとったし、見たい!!!
と期待してました。キャストも豪華。ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥー、
マリオン・コティヤール、バンサン・カッセル、って。ママの人は知らなかった
けれども、ほんと、みんな、すごい。この家族5人だけの物語。
もとは舞台劇らしい。なるほどこの5人だけ、ほぼ家だけ、という世界。

ルイは12年ぶりに家へ帰る。
母と妹は再会を楽しみにしているが、兄はそっけなく、兄嫁は初対面。
精一杯穏やかに会話しようとしているのに、兄アントワーヌはなにかと皮肉を
言い、家族をバカにするかと思えば卑屈になってみたりもする。
食事。家族の思い出話。何度も同じ話をする母。素晴らしい日曜日の思い出。
ラジオから流れる音楽でおどけて踊ったりもして。
家族の楽しい時間を過ごそうとする人、それをぶち壊す人。
ルイは、自分がもうすぐ死ぬ、と話に帰ったのだったが、それを言い出すことが
できなかった。

映画だからこそなのか、ずーーーーっとアップで人を撮っている。
またみんなそれぞれに素晴らしい見応えのある顔でうつくしいから、飽きない。
戸惑い、不安、怒りや焦り苛立ち、希望や思いやり、悲しみ。
光に透ける淡い瞳のうつくしいことといったらもう。見続けていたい。

フランス語、私にはさっぱり全然まったくわからなくて、ひたすらうっとり
音を聞いた。素敵だ。大好き。

家族だから、と、期待を持ってしまう。家族だから、と、なんだかなあなあで
流してしまう。
大事な話とか、大事な話であればあるほどできなくなってしまういたたまれなさ。
おにーちゃん、なんだよもうちょっと落ち着いてちゃんと家族大事に話を
させてくれよ~~と思うんだけれども。アントワーヌはああいう風にしかなれ
なかった事情があるんだろう、なあたぶん。

ほんとに、ルイが帰ってきて、ご飯食べて、っていうその一日だけの話で、
家族の過去とか事情とか、ルイのことだって、背景はわからない。わずかに
言葉の端々で察するだけ。家族なのに。家族だから。
家族って、難しいんだよね。。。

ルイの感傷とかがアントワーヌには耐えられない、のかなあ。家から自由に
なっている、と、そういう風に見ちゃうんだろうなあ。それにしても、さ、
お兄ちゃん、もうちょっと、ちゃんと話を、しようよ、と思うんだけど。
どっちもどっちで辛いかなあ。

ルイを演じるギャスパー・ウリエルが、かなり普通っぽいんだけどもやっぱり
はっとする美しさの瞬間があって、ほんっと素晴らしい。かっこいい。うっとり。

そしてルイは言い出せないまま家族の家を離れる。
そして、亡くなった、んだろう。妹ちゃんはあれからルイの所へ遊びにくる
時間はあったのだろうか。なかったのかなあ。家族の交流って、あれっきり
だったのかなあ。どうにもままならず、それぞれの期待の敗れたあの日の
ままだったのかなあ。
家族って。
家族ってほんと、やりきれない。

すごく美しかった。辛い気分が残る。でも映画体験としてはしあわせだった。


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