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NODA・MAP「足跡姫」

*ネタバレ、結末まで触れています。

NODA・MAP 第21回公演
「足跡姫」~時代錯誤冬幽霊(ときあやまってふゆのゆうれい)~

東京芸術劇場。15日(水)の昼を見に行きました。

今回の舞台は江戸。中村勘三郎へのオマージュ、とのこと。

キャストは宮沢りえ、妻夫木聡、古田新太、佐藤隆太、鈴木杏、池田のぶえ、
中村扇雀、野田秀樹。

女歌舞伎は取り締まり厳しい中、お役人がやってくると、男ですよ~と誤魔化して
いる旅一座。いずこのお国、三、四代目が看板踊り子をつとめている。
穴を掘るのが趣味、というかやめられないお国の弟。その穴から出てくる志士。
こっそり腑分けを試みようとしていた蘭学医の下へ届けられた死体。
彼らがそれぞれに入り乱れていく。
新作歌舞伎、「足跡姫」という筋を弟君と生き返った死体とがかき上げて評判を
呼び、お城の殿さまに呼ばれそこで演じることを夢見る。
さて死体は由比正雪であるらしい。お国にはタタラ場の足跡姫がとりついたらしい。
舞台の中の舞台。
舞台からはみ出すリアル。
死体は生きているのか死んでいるのか。
舞台にあく穴。
舞台から伸びる花道。
はだけて肌を見せるだけでない、舞台を演じたい熱。

これは、歌舞伎のはじまり? 舞台のはじまり。

生の舞台をみるのは前の「逆鱗」以来になる。やっぱりやっぱり生のエネルギー
は物凄くて圧倒される。正直、衝撃とか物語の見えてきた時の打ちのめされっぷり
とかは「逆鱗」が私にはあまりにも凄くて、今回は前よりはまあ比較的冷静に
見た。まあもちろん全然違う舞台なわけですし。
それでもやっぱりカーテンコールの時にはぼろぼろ泣く。
これを書いて演じる野田秀樹を想う。

私は中村勘三郎は、勘九郎の頃に2回くらいは見に行ったかなあ。地方にきて
くれたことあったんだよね。あとはテレビの番組を多少見た程度。ファンで
あるとは言えない。それでも好きはもちろん好きで。早すぎる死に驚いた思いは
はっきりある。
野田秀樹がこうも、オマージュですと言葉にして舞台作ったのか、と思う。
その、盟友の死を見送った思いを思う。

一応自分も中高年となった今、生きるとは、生き残るとは、先に逝く大事な人の
死を見ることだな、と、実感を持ってくる。
表現者は、それを表現するのだな、と思う。

宮沢りえ熱演~。
はだけるセクシー。
そして演じているのを演じる、さらに途中からは足跡姫にもなる、がっつり
ずっと舞台引っ張ってって、凄い。
妻夫木くんは微妙に情けないまさに弟で、でも体しっかりしてて、かっこいい。
見られてしあわせだったなあ
そして古田新太~~~っ。へにゃっとした笑わせはもちろん達者だし。びっと
決める時の姿のかっこよさったらもうううう~~。かっこいい。ほんとに
舞台で決め姿の古田新太は最高かっこいい。堪能しました。
中村扇雀はちょこまかちょこまか出たり入ったり、役もいーーーっぱいやる。
あれはなんだろうなあ。あの個人としての存在感凄いわ。面白かった。
野田秀樹はまあもうもちろん、よく動く。緩急の、ちょっとゆったりめの方が
多かったかなあ。相変わらずすごい。

相変わらずの沢山たっくさんの言葉遊びの連なりから話が入り乱れ繋がってく
アクロバットすごい。
タタラ場の、ってあたりは、もうちょっとなんかあるのかと思ったけど、そこは
わりとあっさりで、勝手におお?と勘繰ろうとした私の勘違いだったか。

舞台って、生身のエネルギーだから。死んじゃうと消えてしまう。
一回一回、終わるたびに消えてしまう。
でも、その儚さもうつくしい。でも、それはどうしようもなく悔しい。哀しい。
見えない姫の足跡だけが、残り、消える。
ラスト、鮮やかな一面の桜。とてつもなく美しかった。

見に行けてよかったです。

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