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映画「ザ・コンサルタント」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ザ・コンサルタント」


会計士であるクリスチャン・ウルフはぱっとしない個人事務所で淡淡と地味な
暮らしをしている。自閉症であり子供の頃は不安定さが激しかったが、今は
薬と自分なりのやり方でそれなりに毎日を過ごしている。
数字の天才。
実はヤバい組織の会計の始末を任され生き延びてきている裏の顔がある。射撃の
腕前は西部劇よりも凄い。
ある企業に不正の疑いがあり、ウルフは雇われて会計帳簿を精査することになった。


ベン・アフレック主演。
「職業、会計コンサルタント。本業、腕利きの殺し屋」というキャッチコピーが
あったけれども、本業殺し屋ってわけではないと思う。場合によっては人殺しを
まったくためらわないというだけで。殺しの請負しているわけではない。

子どもの頃の、強いこだわりとか癇癪起こしたり生きづらい感じがたびたび
挟まれて、あー、今会計士としてぎこちないとはいえ一応は仕事してる感じは
凄いことだなあと思う。
そう。
そういう、なんだか、人殺しアクション映画でありながらなんかヒューマニティ
みたいな感じが強く伝わってくる映画で不思議だった。
軍人である父は転勤が多く引っ越しばかりの暮らし。
母は、息子のこともあってなのか父と上手くいかないのか、家を出てしまう。
弟はこの困った兄と父をじっと大人しく見つめている。
そんな家族関係。
あんまり詳しく語られず見せられず、それでも独特の父なりの愛情として
息子に格闘技やら喧嘩やら教え込んで自立させようとする不器用な父とか。
兄が喧嘩に出て行けば一緒に行く弟くんとか。
なんかこう、ほんと、このちょっと特別な家族な感じたまんないね。好きだ。

ちょうど今、『熊と踊れ』という本を読みかけなんだけど、それも父と息子たち
の感じが似てるかなあと連想した。なめられるんじゃない、やられたらやり返せ、
という父の教えね。

で、ウルフは裏社会を渡り歩いて大金を稼いでは、子ども時代世話になったので
あろう精神科施設(?)へと多額の寄付をしている。
そこが生きる基盤となってたんだろうなあ。

表の顔、さえない会計士として仕事して、でも不正のポイントを見つけて、
そもそもその疑いを見つけた経理の女の子と、非常に気まずいながらも仲良く
なる。女の子の方も、数学オタクっぽい所があるみたいで、どっちも不器用な
仲良くなる感じが、う~ん気まずい~と思いつつも、なかなか切なくてよかった。
普通の仕事する時の、ちゃんとした格好してるけどバッグ斜めかけで微妙に
ダサいもさい感じがリアルっぽい。可愛い。なんかこう、普通に、みたいな事が
この人には難しくて生きづらい感じなんだよね。でも普通ってなんだよ、という
優しさ、多様性への寛容、みたいなことが、描かれている映画だという感じが
するんだよなあ。それぞれに、小さな救いはある、というような。

で。
不正見つけたからには最後まで検証したかったのに、その会社の副社長(だっけ?)
の不審な死で、もういい、って解雇される。
仕事が途中なのに、って辛そうにするウルフ。
始めたことは最後まで終わらせなくちゃいけない、っていう強いこだわりがある
んだよねえ。
自分を落ち着かせるための子どもの頃からのおまじないみたいな歌があって、
それを今でもぶつぶつ歌うのが切ない。可愛い。

射撃も天才ってことだし、格闘技も凄いし、終盤のアクションは怒涛だった。
かっこいい!!!!
でも、華麗なアクションひらひらびゅーん!って感じではなくて、さくさく
がつがつ、どっこいしょ、みたいな、ベンアフのなんだかもっさりしている
ような感じが、すごい、いい。好き。

そして、実は社長自らが不正して、自分の理想とする研究開発のために金儲け
しようとしていたのだ、というわけで、不正見つけた経理の女の子と会計士を
殺してしまえってなってたんだけど、社長んちに乗り込んでくるウルフと、
対決するのが実は弟くんだったのだ!
弟くんも、なんだろ、マフィアの請負で傭兵みたいなことやってるのかなあ。
弟くんも兄と共に特殊な英才教育受けて育ったんだもんねえ。強い。

実は母の葬儀に勝手に行った父が兄を庇って死んだということがあり。
弟くんはその後一人で苦労してたんだろうなあ。
襲撃にきた兄と10年ぶりの再会、ってことで、周りのやつらガンガン殺して
る最中に、兄さん、やあ、みたいな会話始めちゃって、おいおいおいおい。
でもこのシーンほんと好きだった。
弟くんはさあ、困った兄のために自分はいろいろいっぱい我慢したり諦めたり
してたんだろうに、おにーちゃんのこと好きなんだよね。
おにーちゃんも、友達とか誰もいないけど弟のことだけは好きってことだったし。
二人が話し込み始めちゃったもんだから、社長がおい!って割って入るんだけど
パスっとさくっと殺されちゃってやんの。このさっくり具合も好きだ~。

謎の会計士を追って、財務省だっけかの、エライ人が、若く有望なメディナに
正体を探らせていた。彼女がほんと優秀で、ウルフを見つける。
エライ人は過去、ウルフと遭遇していて、何故か命を助けられて、それから
情報リークされて手柄をたててきたのだ、という告白がある。

よい父親だったか? という問いをかつてウルフはして、彼を生かした。
これもなあ。あんな父子の関係だったけども、ほんとに大事だったんだよなあと
思って、好きだった。

ベンアフのことをだんだん好きになってきていてどうしようか。
まあ別にどうしようって、どうしようもないんだけど。
この映画、楽しみにしてて、でも見るとなんか、こ、こいういう感じ??と
不思議に思って。
トム・クルーズの一作目の「アウトロー」を見た時の感じを思い出した。全然
作品としては違うけれどもね。アクションとか殺し屋とかそういう感じかと
思ってたけど、見るとそれまでのイメージとなんか違ってて、でも見終わって
みるととっても満足感があって、あ~なんか不思議だったけど可笑しかったし
面白かったよかった!!ってなった。

これはあわよくばシリーズ化とかあるんだろうか。あれば見たいな。弟くんと
一緒に組んで仕事したりしないかな。兄弟でやってく感じを見たいなあ。

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