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映画「マグニフィセント・セブン」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「マグニフィセント・セブン」

29日(日)に見に行った。

「荒野の七人」のリメイクというか、「荒野の七人」「七人の侍」原案にした
作品、ってこと、らしい。「七人の侍」は見てすっごく面白かったな~。
「荒野の七人」はテレビでちらほら見た気がするけどちゃんとは覚えてない。
まあでも基本的に、悪いヤツに虐げられているローカルな人々を、外からきた
凄腕の七人が守り助けてひとまず解決、という構造ですね。

「マグニフィセント・セブン」は、メンバーが黒人ありアジア人ありメキシカン
やネイティブアメリカン(?ていうのかな)ありで、そういうのが今時な配慮、
なのかなと思うけれども、そのへん私が鈍感で申し訳なくて、そういう人種の
違いみたいなことはあまりわからない。
それぞれのキャラ立ち、設定として見た目の要素もあるんだなーという感じ。

で。これは、西部。開拓した土地を、金鉱目当ての横暴なやつに奪われそうに
なっている村人たちがいて、土地の権利書売り渡せよ、ってやつに抗議した者は
さっくり殺されてしまったりする。
夫を殺された女が先頭にたって、傭兵ってわけじゃないけど、助けにきてくれと
なんか、流れ者法執行官みたいな人に頼んで、って感じで始まる。

リーダーはその、賞金稼ぎみたいな法執行官? な、デンゼル・ワシントンが
演じるサム。
最後のところで、金持ちの悪い奴に実は昔家族を殺されていた、みたいな因縁が
あったって話をしてた。サムには個人的に村人助けるというか、あいつを殺す
みたいな動機があったってことになるのかね。

酒飲んでばっかりでギャンブラーで手品が得意なファラデー。クリス・プラット
が演じてる。ちゃらい感じがとっても可愛い。さすが。
敵のガトリング砲を潰しにいくぜ、とダイナマイト隠し持って近づいていく、
最高に派手にかっこいい死に様でした。

あとはやっぱ、イーサン・ホークのグッドナイトとイ・ビョンホンのビリー。
この二人はいつも一緒。イ・ビョンホンの憂い顔さすが~かっこいい~~。
グッドナイトは銃の名手で南北戦争で大活躍したらしいけれども、今は過去に
苦しんでいるっぽい。ビリーはアジア系ってことで差別されてたけどビシっと
仕返しするナイフの名手。俺が行くところにはこいつも行く、って、ビリーは
グッドナイトといつも一緒。
フクロウがないてる、みたいな幻聴に悩まされたりしてるらしいグッドナイト。
最初は一見、グッドナイトのほうがビリーより優位なのかなと思わせるけど、
実はグッドナイトのほうが弱っててビリーに助けられているのかなあという感じ。
二人は恋人な関係なのかどうか、というのはなんの説明もされてないけれども、
まーそーであってもなくても、ともかく二人いつでも一緒だ、という感じがね。
吸ってる煙草、って煙草じゃなくてアヘンらしいし。
共依存。。。素敵。。。結局互いを思いながら死ぬ;;

連想したのはテリー・ホワイトの『真夜中の相棒』。戦争で傷付き、支え合う
しかなかった二人。まっとうに生きるとかもうできない二人。まー全然違う
けれども、もう逃げ出すことも出来ないほどに、二人でいるしかないという感じ。
こんながっつりな西部劇の中でこういうコンビが描かれてるのかと、もえたね。

マット・ボマーが出てるらしいって思ってわくわく楽しみに見にいったら、
おっ、最初から出てきたぞ!って思ってたら、さくっと殺されてしまった。嗚呼。
ん~~。助けを求めにいく村人役かなあと思ってたけど、それ、妻の方かー。
まあでも、あんなハンサムな夫だもんね。殺されたら復讐に燃えるなそれは。
と納得の、相変わらずの最高にハンサムなマットであった。

それぞれの登場人物かっこよかったし、銃撃戦もガンガンバリバリでかっこいいし
ナイフや弓もかっこいい~~っし、それぞれの仕草とかもさー、かっこいいし。
面白かった。

で、もちろんこれもすごく面白かったし、その上改めて「七人の侍」って、
めっちゃめちゃすっごい驚異的に面白かったな、ってしみじみ思った。
「七人の侍」実に日本映画で、でもこんだけ普遍的に面白い力持ってて、
ほんと凄い面白かったな~~とびっくりする。
「荒野の七人」も、ちゃんとじっくり見るべきか。なんにせよ、凄腕の流れ者って、
ロマンだねえ。好き。

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『運のいい日』(バリー・ライガ/創元推理文庫)

*ネタバレ、かな? ネタバレどうのこうのって本じゃないと思うけど。

『運のいい日』(バリー・ライガ/創元推理文庫)


『さよなら、シリアルキラー』に始まる三部作、大好きだった。その前日譚な
短編集が出たので嬉しい~!と読む。日本オリジナル短編集、だそうで、
本国じゃ一冊にまとまってないものってことなのかな? 有難い。

ジャズは高校生。ハウイーはジャズの唯一の友達。コニ―はジャズの恋人。
それぞれ視点の短編三つと、保安官がビリー・デントを捕まえる「運のいい日」
という中編、って感じの4つのお話が入ってる。

これまでのを読んでいるので、ああ、こういうことが、こんな日が、あったのか
と感慨にふけりながら読んだ。いきなりこの短編集だけ読むっていうのは、
どーなんだろ。「運のいい日」は問題ないと思うけど、まあ、ジャズたちの
お話も青春高校生の断片として読めて大丈夫な気がする。
私個人的には、ああ、ああ、ああ~こんな日があって。そしてああなって、って
うるる感慨にふけりまくって、という楽しみができてよかった。

ジャズの運命はあまりにも過酷で、サイコパスシリアルキラーな父に丁重に
育てられて、そして、というのがほんともう大変すぎるだろ、と、この設定を
思えば思うほど本当に辛い気持ちになる。
でも、ジャズにはこんな友達と恋人がいるんだ、っていうの、すごく、いい。
ほんっと、青春小説だなあ。
保安官の話はくたびれた大人小説だけどさ。

三部作は、ちょっと終盤失速した気が私はしたような覚えがあるけど、でも
このシリーズ読んだのは物凄くよかった。この短編集も出てくれてほんと嬉しい。
大好き。

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映画「ドクター・ストレンジ」

*ネタバレ、結末まで触れています。

27日(金)に2D字幕、28日(土)に3D字幕、IMAXで見た。


映画「ドクター・ストレンジ」

世界から公開が遅れに遅れて悲嘆にくれる日本へ、マッツ・ミケルセンが
きてくれたーーーっ!!!

ということで狂乱の週末だった。六本木で舞台挨拶。私はチケットとれず;;
でも、せめて近くに;; と思って、六本木まで行きました。
舞台挨拶の様子はネットで見た。すごい。素晴らしいサービス満点。
二回目にはゲストで吹替えつとめた樋口可南子さん、井上和彦さん登壇で、
これもよかった。変な芸人だとかよくわからないタレントだとかじゃなくて、
ちゃんと映画に関係あってマッツのこと知ってて、ファンみんなと映画を楽しむ
挨拶になってて素晴らしい。
特に井上和彦さんなー!!博士だし!!!もちろん前々からご本人のイケボに
めろめろですし~~っ。

最初はその舞台挨拶行われたスクリーンで、2Dで見たわけですが。
やっぱ3D、IMAXのほうが楽しいと私は思う。ぐわーーっと。ぐる~と。
サイケデリックな映像、万華鏡の世界の映像、すごいから!
「インセプション」的な、街が折り曲がる感じが予告で見せられてて、でも
それ以上にぐる~ぐわ~~~~~~~~ってなるから。
もとのコミックはかなり昔らしく、サイケデリックっていう感じのちょっと
レトロな感じはそういうことなのかなと思うけれども、でも、普通に今、現代の
世界で、ふわふわ笑わせにもきてて、楽しかった。

ドクター・ストレンジが、魔術使えるようになる前日譚というかエピソード0と
いう物語。素晴らしく優秀な医者だけれども自信満々高慢なストレンジ先生が、
車で事故って、最高の手術ができる手を酷い怪我によって損傷してしまう。
どんなに手術やリハビリを繰り返してももう手は元通りには動かせない。
同僚で、恋人ではないものの信頼関係にあったクリスティーンは励まし、医者で
ない生きる道もあると言うが、ストレンジは受け入れられない。
かつて脊髄損傷で動けなくなっていた患者が、今、回復しているという情報を
得たストレンジは、その男に会いに行く。
精神を高めるのだ、と、ネパールへ旅立つ。

そして、最初は信じられない~って感じながらも、修行を始めていく。
もともとの能力は高い人なわけで、魔術の才能もある、みたいなことで一度
出来るようになるとぐんぐん勉強は進む。でも、精神的には未熟。自分のこと
しか考えてない、みたいな感じで。

エイシェント・ワンという至高の魔術師の、かつての弟子、カエシリウス。
彼も優秀な高慢な魔術師だったが闇の力を手に入れ、間違った理想を求めていた。
カエシリウスが、世界を守っている三つの聖域を攻撃し、ドルマムゥという
闇の王(?)を引き込み、闇の力で不老不死の世界を実現しようとしていた。

なりゆきでカエシリウスと戦う羽目に陥るストレンジ!
浮遊マントが助けてくれて、なんとかしのぐのだが。

って感じであとは怒涛の魔術合戦って感じで面白かった~。
浮遊マントくんがどういうわけかストレンジを気に入って、(気まぐれマント
らしく、主を自分で選ぶ感じの魔法アイテムなんだろー)なんかまだヘタレな
ストレンジを助けて守って励ましてくれる感じがすっごく可愛かった。

どこでもドア的というかくるくるして移動する穴あけるのに使うリングとか、
アガモットの眼という、時間を操る感じのネックレスとか、魔法アイテムや
魔法陣というか、盾や武器がしゅるしゅる火花散らしつつ現れるのとかも
すごくかっこいい。
まさにコミック!ああいうアイテムとか欲しくなる!

主演、ベネディクト・カンバーバッチで、ドクター・ストレンジは彼しかいない!
と熱望されてベネたんのスケジュールを待つほどだったらしく、ほんとすごく
かっこよく可愛くヘタレ傲慢そして優秀!で、とってもよかった。
ぼろぼろになったり、一生懸命頑張って修行したり、適当にジョーク言ったり、
素敵だったよー。相変わらずすばらしくいい声だし~~。
クリスティーンのレイチェル・マクアダムズもとても可愛くもありしっかり
かっこいい医者でもあり。ストレンジってばもう馬鹿っ、ってなるよねー。
二人並んだ見栄えも素晴らしかった。

エイシェント・ワンがティルダ・スウィントン!!! さすが~。人間離れ
浮世離れした至高の魔術師、でもちょっと可愛かったりもする、すごく素敵~!

ストレンジの先輩にあたるモルド。生真面目くんモルド。最初は頼りになる
先輩!なんだけど、生真面目くん頑固くん融通きかないくんで、最後には
ストレンジと対立して離れていく。次回以降は敵キャラになるのかな?

そ し て !
カエシリウス!!!!
きゃ~~!マッツかっこいい~~~~!!!!!(≧▽≦)

魔術に救いを求めてきた時から、深い喪失を抱えていた。とのことで。
不老不死のない世界を求めて暗黒のほうへ行くのも、大事なものを失うことに
耐えられない、という感じなんだろう。
強いし、目の周りが黒く焼けただれたような怖い系のメイクなのに、拘束されて
ストレンジに自分の信念を語る時にはうるうる目になってついには涙流す;;
自分が力を得たい、というよりは、自分の理想世界を実現したい、その方が
世界はよくなるのだ、と、いう、信念。
実はエンシェント・ワンも暗黒の力を使いつつよいことをしていました、という
感じらしく、そういうのが実は巡り巡って悪を呼び込んだのだ、ってモルドは
非難しちゃうわけだけど。

そういう、それぞれの信じるもの、の、違いなんだよなあ。
カエシリウスの信念ややり方は間違っているし悪だろ、と思うけど、じゃあ
エンシェント・ワンならよかったのか、いや、よかった、と思うけどでも、って
モルドの、いつか自然の摂理に反したつけを払わなくてはならないってのも、
そーかもなーとも思うし。

ストレンジが、最初は絶対ダメ、って言われてた時間のループを使ってドルマムゥ
と交渉したのも、なんか、ダメって言われてたじゃん?? ってなるし。
ストレンジの世界観は難しいというか、やっぱり、絶対の正義なんてないし、
単純なヒーローなんていないんだなあっていうのは、やっぱり、このところの
マーベルユニバースな感じだなあと思う。

ともあれ、ベネたんとマッツの対決は最高!!!!! まさに夢の共演。
ありがとう世界。
マッツ来日ありがとう。
面白い映画ありがとう;;
まだあと何回か見に行くつもり。大好きだ~。

エンドロール後にはまた次回作の予告と言うか。ソーたちとストレンジ先生
共演するみたいね? マーベルの世界についていくのタイヘン。
頑張って見よう。。。

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映画「沈黙 サイレンス」

*ネタバレ、結末まで触れています。

25日(水)に見に行った。


映画「沈黙 サイレンス」


17世紀。日本、長崎。キリスト教への弾圧厳しい中、信仰を捨てるのか。死か。
かつての師が日本で消息をたった。ロドリゴとガルペは密かに日本へ渡り、信者
を救い、師を探そうとしていた。
だがいつまでも隠れていられず、役人に見つかる。棄教を迫られ、見せしめに
殺される信徒たちを前に、ロドリゴはどうするのか。


実は本を読んだことはありません。
名作と名高いわけですが、重そう、辛そう、と思って手を出さずにきました。
本の感じと同じなのか大分違うのかわからないんだけれども、これはがっつり
日本の映画で、でも外国映画だなあと思った。
時代劇であるので、ある程度ファンタジーになるなあと思うけれども、そして
結局本当のことなんてわからないのだと思うけれども。

遠い国から伝わってきたキリスト教を信じる、信じ続ける、信仰のために死すら
いとわないという感じが、実際私にぴんとくるものではない。
信仰を持つもたないの違いとか、時代違いとか、教育とか社会そのものの違いとか。
それでもかつて信徒を弾圧し見せしめに殺し、信仰を奪うということがあったの
だということを、考えてしまう。
かつて、というだけでなく、たぶん今も、多かれ少なかれあることで。
宗教の違いってなんだ。
神の沈黙に耐えきれるのか。

ロドリゴは信徒を見殺しにはできず、自分は転ぶことを選んだあとは、役所で
キリシタン弾圧にむしろ加担するような仕事をする。信仰を奪う方に回る。
それでも、最期の時に、妻が密かに握らせたのは小さな十字架のキリストだった。
沈黙の中で信仰を守り続けていた、という風に、マーティン・スコセッシ監督は
答えを出したんだなあ。

日本に渡ってきたパードレ。フェレイラ師にリーアム・ニーソン。
ロドリゴがアンドリュー・ガーフィールドで、ガルペがアダム・ドライバー。
さすがみんな凄い。
若きロドリゴくんとガルペくんの、日本の村にやってきての異質な存在感。
ガリガリに骨格が見えそうに痩せてやつれて、それでもかっこよかったなあ。

何度も簡単に踏み絵を踏んでしまいながらも、何回も告解して清めてくれ、
というしたたかなキチジロー。みじめで、でもだからそこの生命力。悪人では
ない。けれどもあまりにも弱くズルい。でも、それこそが人間、のような。
キチジローと一緒にいて、ロドリゴが苦悩するのがまたもう、切ない。苦しい。

井上筑後守のイッセー尾形が、ちょんまりにこやかでありつつ平然と残虐で、
でも、そういう仕事なのだ、っていう淡淡とした感じがじつに凄かった。
みんな都合よく英語流暢だなって思っちゃうけどまあそれはそういうものかな。

映画で見てやっぱり辛くて重くて、でも本を読んでみようかという気になった。
きっと私にはどうしたって答えは出せないと思うけど。


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『ホステージ』上下(ロバート・クレイス/講談社文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『ホステージ』上下(ロバート・クレイス/講談社文庫)


タリーは、元ロス市警危機交渉担当係り。SWATチームで立てこもり犯人との交渉に
あたる。ある事件で、犯人との交渉に失敗し、人質を死なせてしまった。
失意の中職を離れ家族とも離れ、ブリスト・カミーノという小さな警察署で
署長になった。これといった重大犯罪などない地域。だがある時、ちょっと押し込み
強盗を働こうなんて思った若者三人が弾みで店主を殺し、逃亡の途中車が故障。
押し入った家に結局立てこもるという事態に陥る。
タリーの管轄。応援を求める中、ともあれ当面は犯人と話をしなくてはならない。
そして、犯人たちが立てこもった家は、実はヤバい組織と関わりのある家だった。


ホステージ、とは人質という意味らしい。
ブルース・ウィリスがすでに映画化してるのね。見たことあるっけなあ。無いの
かな。先日読んだ『容疑者』がとても面白かったので、同じ著者の読んでみた。

人質立てこもり事件にトラウマのあるタリーが、またその任務に当たらなくては
ならない、というドキドキ。の上にさらに、その家、会計士のウォルター・スミス
は実は組織犯罪のヤバい案件を自宅で仕事中だった、ってことで、タリーの妻子を
人質にとって、タリーを操り、家の中の証拠となるファイルを取り戻そうとする
マフィア(?)がいて、うわああタリー大変じゃん!! 無理!!!
という感じで面白かった。

最初はちんけな三人組の若者、すぐ投降するだろうと思っていた彼らの中に
マジもんでヤバいシリアルキラーなマーズが混じっているのがだんだんわかって
きたり。犯人側のぐらぐら危ういのもドキドキするし。
人質にされてる姉弟が結構強気でがんばるのもハラハラして面白かったし。
弟くんトーマスが活躍するんだけど、あぶねーよ~~っとハラハラする。

マフィアの方は、いろいろ余計な策を巡らせすぎてどうしようもなくなってく。
まー、こんな中で事態を掌握するのは無理だよねえ。
残りのページ的に、犯人たちが中で仲間割れして血みどろ放火死亡、ってなって
その後マフィアとの対決、タリーは妻子を取り戻せるの?? と心配したけど、
タリーの根性で粘り勝ち、という感じ。マフィアのもっと上のほうのおかげ、
ってことかなー。
ともあれ、タリーは家族と平和を取り戻しました。めでたしめでたし。
ほんと、ブルース・ウィリスにぴったりって感じのキャラだ。映画も機会があれば
ちゃんと見てみたい。

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映画「ザ・コンサルタント」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ザ・コンサルタント」


会計士であるクリスチャン・ウルフはぱっとしない個人事務所で淡淡と地味な
暮らしをしている。自閉症であり子供の頃は不安定さが激しかったが、今は
薬と自分なりのやり方でそれなりに毎日を過ごしている。
数字の天才。
実はヤバい組織の会計の始末を任され生き延びてきている裏の顔がある。射撃の
腕前は西部劇よりも凄い。
ある企業に不正の疑いがあり、ウルフは雇われて会計帳簿を精査することになった。


ベン・アフレック主演。
「職業、会計コンサルタント。本業、腕利きの殺し屋」というキャッチコピーが
あったけれども、本業殺し屋ってわけではないと思う。場合によっては人殺しを
まったくためらわないというだけで。殺しの請負しているわけではない。

子どもの頃の、強いこだわりとか癇癪起こしたり生きづらい感じがたびたび
挟まれて、あー、今会計士としてぎこちないとはいえ一応は仕事してる感じは
凄いことだなあと思う。
そう。
そういう、なんだか、人殺しアクション映画でありながらなんかヒューマニティ
みたいな感じが強く伝わってくる映画で不思議だった。
軍人である父は転勤が多く引っ越しばかりの暮らし。
母は、息子のこともあってなのか父と上手くいかないのか、家を出てしまう。
弟はこの困った兄と父をじっと大人しく見つめている。
そんな家族関係。
あんまり詳しく語られず見せられず、それでも独特の父なりの愛情として
息子に格闘技やら喧嘩やら教え込んで自立させようとする不器用な父とか。
兄が喧嘩に出て行けば一緒に行く弟くんとか。
なんかこう、ほんと、このちょっと特別な家族な感じたまんないね。好きだ。

ちょうど今、『熊と踊れ』という本を読みかけなんだけど、それも父と息子たち
の感じが似てるかなあと連想した。なめられるんじゃない、やられたらやり返せ、
という父の教えね。

で、ウルフは裏社会を渡り歩いて大金を稼いでは、子ども時代世話になったので
あろう精神科施設(?)へと多額の寄付をしている。
そこが生きる基盤となってたんだろうなあ。

表の顔、さえない会計士として仕事して、でも不正のポイントを見つけて、
そもそもその疑いを見つけた経理の女の子と、非常に気まずいながらも仲良く
なる。女の子の方も、数学オタクっぽい所があるみたいで、どっちも不器用な
仲良くなる感じが、う~ん気まずい~と思いつつも、なかなか切なくてよかった。
普通の仕事する時の、ちゃんとした格好してるけどバッグ斜めかけで微妙に
ダサいもさい感じがリアルっぽい。可愛い。なんかこう、普通に、みたいな事が
この人には難しくて生きづらい感じなんだよね。でも普通ってなんだよ、という
優しさ、多様性への寛容、みたいなことが、描かれている映画だという感じが
するんだよなあ。それぞれに、小さな救いはある、というような。

で。
不正見つけたからには最後まで検証したかったのに、その会社の副社長(だっけ?)
の不審な死で、もういい、って解雇される。
仕事が途中なのに、って辛そうにするウルフ。
始めたことは最後まで終わらせなくちゃいけない、っていう強いこだわりがある
んだよねえ。
自分を落ち着かせるための子どもの頃からのおまじないみたいな歌があって、
それを今でもぶつぶつ歌うのが切ない。可愛い。

射撃も天才ってことだし、格闘技も凄いし、終盤のアクションは怒涛だった。
かっこいい!!!!
でも、華麗なアクションひらひらびゅーん!って感じではなくて、さくさく
がつがつ、どっこいしょ、みたいな、ベンアフのなんだかもっさりしている
ような感じが、すごい、いい。好き。

そして、実は社長自らが不正して、自分の理想とする研究開発のために金儲け
しようとしていたのだ、というわけで、不正見つけた経理の女の子と会計士を
殺してしまえってなってたんだけど、社長んちに乗り込んでくるウルフと、
対決するのが実は弟くんだったのだ!
弟くんも、なんだろ、マフィアの請負で傭兵みたいなことやってるのかなあ。
弟くんも兄と共に特殊な英才教育受けて育ったんだもんねえ。強い。

実は母の葬儀に勝手に行った父が兄を庇って死んだということがあり。
弟くんはその後一人で苦労してたんだろうなあ。
襲撃にきた兄と10年ぶりの再会、ってことで、周りのやつらガンガン殺して
る最中に、兄さん、やあ、みたいな会話始めちゃって、おいおいおいおい。
でもこのシーンほんと好きだった。
弟くんはさあ、困った兄のために自分はいろいろいっぱい我慢したり諦めたり
してたんだろうに、おにーちゃんのこと好きなんだよね。
おにーちゃんも、友達とか誰もいないけど弟のことだけは好きってことだったし。
二人が話し込み始めちゃったもんだから、社長がおい!って割って入るんだけど
パスっとさくっと殺されちゃってやんの。このさっくり具合も好きだ~。

謎の会計士を追って、財務省だっけかの、エライ人が、若く有望なメディナに
正体を探らせていた。彼女がほんと優秀で、ウルフを見つける。
エライ人は過去、ウルフと遭遇していて、何故か命を助けられて、それから
情報リークされて手柄をたててきたのだ、という告白がある。

よい父親だったか? という問いをかつてウルフはして、彼を生かした。
これもなあ。あんな父子の関係だったけども、ほんとに大事だったんだよなあと
思って、好きだった。

ベンアフのことをだんだん好きになってきていてどうしようか。
まあ別にどうしようって、どうしようもないんだけど。
この映画、楽しみにしてて、でも見るとなんか、こ、こいういう感じ??と
不思議に思って。
トム・クルーズの一作目の「アウトロー」を見た時の感じを思い出した。全然
作品としては違うけれどもね。アクションとか殺し屋とかそういう感じかと
思ってたけど、見るとそれまでのイメージとなんか違ってて、でも見終わって
みるととっても満足感があって、あ~なんか不思議だったけど可笑しかったし
面白かったよかった!!ってなった。

これはあわよくばシリーズ化とかあるんだろうか。あれば見たいな。弟くんと
一緒に組んで仕事したりしないかな。兄弟でやってく感じを見たいなあ。

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映画「ネオン・デーモン」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ネオン・デーモン」


ジェシーはモデル志望の女の子。16歳。すでに両親を亡くしている。
幸い事務所では有望とみなされすぐに実力あるカメラマンに紹介される。
整形やダイエットを繰り返す先輩モデルを尻目に、オーディションでは一人
目をかけられ、初めてのショーで、トリを務めるように言われるほど。
だが泊まっているモーテルでは不安に襲われ、初めての知り合いとなった
メイクを仕事にしているルビーも、ジェシーに下心があった。


ニコラス・ウィンディング・レフン監督かあ。楽しみ!と待ってた。
エル・ファニング主演。モデルメイクしていく時と、普通の時と、ほんと凄く
顔が変わる。プラステックドールみたいなキラキラの感じと、地方から出てきた
ばっかり処女です、っていう初心さ両方。すごい。
先輩モデルの完璧なマネキンめいた美貌、スタイルとは違う感じがして、
なるほどーと思う。
いやそれにしてもクリエイターな男どもがジェシーにころころいきすぎやろ、
とは思う(笑)

一番最初のジェシーの、宣伝用写真撮ってるシーンからして彼女血まみれの
死体風キラキラキッチュなお人形みたいですごく可愛い。そしてそう、血まみれ。
サスペンススリラー、らしい。
ほんともう、見てる間ずっと、最初からずっと、不安いっぱいになる。
危うい。
リアリティというよりは幻想的。
モーテルの部屋に山猫???

あ、その、泊まってるボロいモーテルのオーナー役がキアヌで、ゲスくて
嫌なおっさんで、よかった。この映画の中では比較的人間味あるほう。駄目人間
だけど。他の登場人物って、概念としてのキャラみたい。パーツみたい。
圧倒的美の映像、画面。響く音楽のかっこよさ。見てると映画に飲み込まれて
いくみたい。不安。こわい。危うい。

自分が特別に選ばれて自分が特別に可愛いもの、ってちゃんと知ってるジェシー
は、ルビーの好意を拒絶し、先輩モデルの逆鱗に触れ、ついに殺される。
そして喰われる。
ルビーは喰って、たぶん骨とか? 埋めた庭でしあわせそう。
ルビーはエンバーミングっていうのか、死体に化粧する仕事、バイト? してる
んだよねえ。いや、どっちが本業なのかわかんないか。死体とセックスもどき
してたりして、なかなかの気持ち悪さ。
ジェシーを食べたモデル二人はまた何か特別な魅力を持ったみたいで、仕事を
得る。でも、その最中に、一人は具合悪くなって、ジェシーを吐き出さなくちゃ、
と、目玉を吐き、腹を刺して死亡。でももう一人は、その吐き出された目玉を、
また食べる。
終わり。
うぐー。
すごい吐き気の中でエンドロールきて、終わっても、うげー吐き気が~、と
なりながら映画館を出た。

キラキラと鮮やかなネオンカラーとかっこいい音楽に彩られながら、暗い夜
ばかりな印象の映画。
観客に吐き気催させるようにじっくり撮られた、幻想文学みたい。
美しかった。

好きな映画かっつーと、うーん、好きっていうか、とためらってしまうけど
物凄く引き付けられて、見にいってよかった。気持ち悪かったけど。

はー。
ていうか、今朝、マッツ来日決定のニュースを見て、えええええどうしようっ、と
動揺しまくってお腹痛い、とか、他まあいろいろ自分の鬱々気分もあって、
こういう映画どっと重かったかなー。はー。

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『弱いつながり』(東浩紀/幻冬舎)


『弱いつながり』(東浩紀/幻冬舎)

検索ワードを探す旅

2014年刊。
語り下ろしの連載だったものを大幅に手を入れて一冊にまとめたもの、らしい。

弱いつながりというのは、家族や友人という強いつながりではなく、パーティ等
でちょっとした知り合いになった程度、のつながりだそう。パーティで知り合い
になるとか、ないなーと思うけどまあ、そういう外国な感じの用語ですかね。
まあ別にパーティとかでちょっとした知り合いになる、という世界も日本にも
もちろんあるんでしょうが。私の場合はそういうの無縁すぎる(^^;

ネットもまた実は強いつながりである、という。
SNSとか広告とか、個人へ最適化されすぎてて、むしろ狭い、という感じはわかる。
島宇宙とかいってた感じですよね。
自分から属するコミュニティを変えないと世界は狭くなる一方だ。

インターネットには無限に情報があるけれども、適切な検索ワードを持たなくては
情報にたどり着けない。同じ場所同じ毎日では新たな検索ワードを打ち込むこと
は難しい。
旅に出よう。
自分がいる場所、環境を変えよう。
そうすることでそれまでとは違う検索ワードで知らなかった世界を知るきっかけ
になるのだ。
端的に言えばそういう、旅の勧め、というか、発想や頭の切り替えの勧めかな。
語り下ろしベースというだけあって、ものすごくするっとつるっと読める。
ちょっと哲学的なことを言うと、ってところも、ほんとやさしく書いてあるので
ほほう、と、するっとわかったような気になる。
まあそれは表層だけのことなんだろうけど、そもそもこの本が観光客になろう、
というものなので、何にもしない見ない知らないより表層的なことだけでも、
ってことなんですね。
0と1は全然違う、という感じか。

ぐぐると大抵のことはなんとか探せる。けれども、この頃は下手なまとめサイト
の中から、検索の結果大分めくって、じゃないと、なかなかナマな情報には
たどり着けなかったりもして、なかなか、ぐぐれ、が万能じゃないよなあ。
でもなにはともあれ、そこに自分が検索ワードを打ち込むことからしか始まらない
わけで、旅に出たからこそこれまでぐぐろうと思ったことない、そもそも知らない
地名だのワードだのでぐぐってみよう、となるのはそうだよねえと思った。

でも旅とか行けないし。行きたいとも思わないし。
でも地元出てるし帰省だとかで移動はするし。引っ越しも今後もあると思うし。
ある程度ライフステージの変化で環境は変わってきたなあ。
観光旅行に、もう少し行けるといいかなあ。。。
この本の時点で、福島第一原発観光化の計画中なんだけど。まだそう簡単には
うまくいってないのかなあ。
チェルノブイリへのツアーは毎年? 続けてやってるみたいだけど。
それはやっぱり、行ってみる、というのはうちでテレビ見たりしてるのとは
全然違う体験であるだろう。

旅かあ。
今は無理だけどもう少し余裕が出来たらふらふらいけるといいなあ。
旅に行くだけじゃなくて、単なるマンネリひきこもりじゃなくて、時間と体を
使って、ちょっとずつでも変化を呼び込んでいこう。

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『容疑者』(ロバート・クレイス/創元推理文庫)


*ネタバレ、結末まで触れています。


『容疑者』(ロバート・クレイス/創元推理文庫)


マギーはジャーマン・シェパード。ミリタリー訓練を受けた海兵隊で爆発物を
察知する役割を持つ犬だ。ハンドラーであり仲間であるピートに何よりも忠実
で、愛し、共に喜び、守ることが一番大事だ。

スコットは警官。相棒のステファニーと巡回中、銃撃事件に遭遇する。

パートナーを失った犬と警官。一匹と一人とが相棒になる。

この文庫は2014年刊行。面白いって評判見てて、でも警察犬かあ。うるる、と、
読む前からなんかもう絶対きゅんきゅんしちゃうに決まってるだろーと思って
ました。
やっぱり、やっぱりぎゅんぎゅん可愛くていい子で最高だった。
共に心の傷を抱えた一匹と一人が、次第に信頼しあっていくようになるの。
でも描写はクールで、可愛いなんて書いてないけど最高可愛いんだよ。すごい。
マギー視点の章では、まあ本当に犬がこう考えるのかどうかっていうのは誰にも
わかんないことだけれども、でもでも、犬って最高いい子だよね、って思う。

最初は、犬のことあんまりわかってない感じのスコットがマギーと一緒にいて
マギーの前で泣くことができて、よりそってくれるマギーと一体となっていく
感じも理想的に素晴らしかった。

スコットとステファニーが巻き添えになり彼女が死んだ事件を、警察犬訓練中の
マギーと共に追い始めるスコットに、最初はハラハラしっぱなしで、マギーを
巻き込むんじゃないよーと物凄く心配してしまう。
ロサンゼルス市警で事件捜査をちゃんとしてるけど、そこに首突っ込みまくって
いくスコット、おいおいこらこら、と思うけど、どうやら警察内部に悪いヤツが
いて、当事者でありながら部外者であるスコットが動かなくては、となるんだね。
でもスコットの動きによって余計な窮地もくるし、巻き添えで死人も出るし、
いや~~辛い。ドキドキ。そのダイヤモンドさっさと出せよ預けろよ、心配よ。
ああ~~マギーにも危機が~っ。ドキドキーっ。

と、すごく面白く読みました。
マギーが死んじゃったらどうしようっ、って思ったけど、スコットも撃たれた
けども、助かってほんとよかった。
スコットとマギーは復帰して警察で働き続けるらしい。
さらっと爽やかな感じの終りでとてもよかった。犬最高!な警察犬訓練の上司、
リーランドが厳しくこわもてな雰囲気だけど最高よかったなあ。

新年一冊目の読書でした。いいスタートできた^^

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2016年まとめ

2016年まとめ

ざっくりと去年の日記見直してまとめ。

本は33冊でした。
映画は77本でした。

2016年はほんっとに本を読んでなくて、ああそれでも30冊はいったのか、
と思ったくらい。
『さよなら、シリアルキラー』(バリー・ライガ/創元推理文庫)
のシリーズ3部読んだのがよかったな。短編集も12月に出てるらしいので
それも読んでみようと思う。

『百番目の男』(ジャック・カーリィ/文春文庫)
のシリーズも出てる所までは読めてよかった。
いまいち好きになれない、と思いつつも読んだんだから、やっぱそれなりに
面白かったのだ。ジェレミーお兄ちゃん気になるし。

と、つまりシリアルキラー大好きすぎますね私。
もうすっかりどっぷりハンニバル・レクター博士大好きすぎるあまりですね。
去年も今年も、多分ずっとずっと、レクター博士にハマりまくりです。
マッツ・ミケルセンをあいしてます。

新刊をあまり読めてないけどまあ仕方ないか。
今年はもうちょっと本も読む。積ん読減らす。
そしてちゃんと読書日記メモメモ書く。


映画にはよく行った。多分自分史上最高。こんなに映画館行ったんだなあ。
劇場へ行った分しか書いてないけど、日々午後ローつけてたりBSプレミア
だとかDVDだとかも見てて、そういうのもメモしたほうがいいかなあ。
でも多すぎるかな。
あまりにも自分の記憶力がダメダメすぎるので、何かしら少しでもメモって
おくと、多少は思い出す助けになるはずだから。
去年は複数回見に行ってもえたぎったのもあって、しあわせな映画との出会い
だったと思う。
今年もたくさんいい映画見に行きたいな~。
新年さっそくはまた「ローグ・ワン」を見に行くつもりだ。好き。

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