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映画「七人の侍」

*ネタバレ、結末まで触れています。

映画「七人の侍」


午前十時の映画祭で見に行きました。上映時間207分だって。よく知らずに
行って、終わる時間を二度見してしまった。途中休憩あり。そうか。
白黒で3時間以上って、ハードル高い。。。名作傑作の評判高いのは知ってるけど
ちゃんと見たことないし、自分が面白いと思えるかどうかわかんないしと思って
始まる前はびびったけれども、そんな心配は無用だった!
なんだこの迫力(゚Д゚) なんだこのキャラもえ(゚Д゚) すっごい面白かった!
重厚なドラマ、めっちゃエンターテイメント。1954年の作品だそうで、それを今
見て、こんなに面白いとは。さすが名作。ほんとに凄かった。
あらすじみたいなのだけうっすら知って、知った気になるってほんと駄目だな。
ちゃんと見てよかったし映画館で見られてよかった。ありがとう午前十時の映画祭!

三船敏郎演じる菊千代ね。本名なんて忘れた、ない、みたいなこと言って、
盗んだ系図から名付けられて。勝手なイメージで、もっと渋めかと思ってたら、
違った。カワイコちゃんだった。シャイボーイだった。侍じゃないな、って
言われちゃう。親を亡くした百姓の子。そういう辛さがありながらも、いい年して
やんちゃ坊主って感じ。はしゃいだりおどけたり、ふざけたり。でも百姓の辛さを
訴える渾身の言葉はえぐるようで重い。
勘兵衛さんに惚れこんで、でも言葉かける方法も知らなくて、ついてきちゃう姿は
犬っころのようで、愛嬌があって。強くて頑丈で、不器用で。あんないい体して
あんなかっこいい顔して、ちょっとドジっこなシャイボーイってどういうことだよ。
惚れる。惚れないわけがない。すごいわ。誰よりも見栄えするし、誰よりも熱い
人間臭さだった。

勝四郎くんは、まだ前髪の少年てことね。美少年枠ね。可愛い。みんなに子ども
扱いされるのが悔しい子どもなの。立派な武士に憧れて。森のお花畑で寝転がった
りして、姫だった。。。そして美少年だから恋も担当。女子に誘惑されちゃう。
最初は勘兵衛さんに弟子入り願い出て。クールで凄腕な久蔵さんに「素晴らしい
人です!私は前からそれをお伝えしたかった」みたいなことを憧れキラッキラ
目線で言ちゃったりして。
それを菊千代にウキウキと喋るから、菊千代は、なんだか面白くなくてあの
単独行動しちゃってたいへん、みたいになったんじゃないかなあ。
罪作りだよ美少年勝四郎くん。

勘兵衛さんは人格者って感じのリーダー。仲間集めの時に、古女房だよ、って
いっちゃう七郎次と再会してまた一緒に戦うことになる。この、何も言わずとも
通じ合うって感じの、古女房っていうまさにその、信頼ね。すごいいい。

クールで凄腕、冷徹な久蔵くんも、仲間として過ごすうちにちょっとだけ心開いて
くるのがな~。かっこいいし。勝四郎くんに慕われてちょっとだけ微笑んじゃうの
最高でしょ。強い。クール。

みんなのキャラ立ちが凄い。
百姓たちもさー。とってもしょぼしょぼで、実に辛い。けど、したたかでちゃっかり
してるものでもあるんだよなあ。
誰もが多様な面を持ち、背景過去があり、というのが読み取れる。凄いわ。

映像の迫力も、凄くて。みんな走るの早い。全力で走らされてるんだろーか。
馬も早い。馬の群像かっこよすぎ~~。
CG使ったドバーン!とした大合戦も大好きだけど、まさに実写の馬の、野山駆ける
迫力よ。
そして雨。じつに、嫌な雨。辛い雨。風も。雨の中での決戦というのが凄いって
ことらしい。でもほんと、雨のタイミングとか、濡れながら走り回るとか立ち
尽くすとか、よく雨が降る。そしてぬかるみの中での戦いね。辛い。。。

役者さんたち、馬も、どんだけ大変な撮影だったんだろう。すごすぎる。
華麗に美麗に大立ち回り、とかはあまりない。百姓と野武士の戦いだもんね。
竹やりでわらわらと取り囲んでぶすぶすやる感じの、地味だけどだから余計
怖いような感じ。
敵を倒しもするけど、一人、また一人と仲間もやられていく。
平八がやられて、葬って、そして旗を掲げる時には泣いたし、そっから戦いに
なだれ込んでいく、ぐおーって上がる感じ最高だった。

仲間を集める、戦いに備える、いざこざを超えてみんなが一致団結していく、
それぞれ個々のドラマ、恋、信頼、絆、そういうのあっての決戦。死。
物語のいろんな面白さたっぷり詰まってる。
世界のクロサワ、言われたり、海外の映画監督でもクロサワファンだったりする
わけがわかったよ。こんなに凄いし、面白い作品作り上げたんだなあ。
見てよかった。

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『ブラッド・ブラザー』(ジャック・カーリィ/文春文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。

『ブラッド・ブラザー』(ジャック・カーリィ/文春文庫)


カーソン刑事のシリーズ4作目。ついに、ジェレミーお兄ちゃんの話か!?と
期待して読みました。

連続殺人犯として厳重に閉じ込められていたはずのジェレミー。その施設の
所長であったヴァンジー・ブロウズがニューヨークで殺されていた。
彼女が残したビデオメッセージによってカーソンが呼ばれる。
田舎の刑事、厄介者扱いされるカーソンだが、ジェレミーの存在を感じるにつけ、
事件へ深入りせざるをえなかった。

ジェレミーがどうやって脱走したのか? なんでブロウズは彼を伴って
ニューヨークへきたのか。実は真犯人が。と、沢山の謎が湧いてきてそれが
明らかになって、そして、ジェレミーは実は被害者なのでは。ということで、
カーソンよりはジェレミー好きな私としてはこれまでのお話より今回かなり
面白い!と思った。
ジェレミーが~切ないよ。
母の代理として殺した、とされる女性殺害はジェレミーの犯行ではなかったと
いうことなのか。うーん。ジェレミーの話をどこまで信じていいのかわからない。
カーソンにはちゃんと話しているのかもしれないけど。

まだ父殺しをしたとはいえまだ少年のジェレミーを支配しようとした最悪の
元警官ジム・デイ。うんざりだ。
自分が受けた被害を子どもに向けていく悪の連鎖。。。
ジェレミー、こんな奴に支配されちゃうの? と思ったけど、終盤ではちゃんと
さらにその上をいく感じで結局逃げ出せたので、まあ、よかった。
ジェレミーには天才超人であってほしいよ。
おにーちゃんには弟くんだけが大事、で、いてほしい。

しかしカーソンくんは、また今回ニューヨークで次の女と寝て、ま~そういう
ものなのねと思うけど、ま~節操なしな感じだなあ。でもこう、してみたいと
いう欲求に素直なのはいいかもなあ。カーソンくんもそこそこまともそうに
なってるとはいえ、幼少期のトラウマは大変なものだろうし。でも、そこを
あんまり悩んでなさそうなのが、個人的にはちょっと物足りない。
ジェレミーのことで苦悩は当然しているんだけども、私が思うにはもっと!
もっとめちゃくちゃに苦悩してほしいんだよね。まあ完全に私の好みの偏見だ。
まだ子どもだったカーソン。ジェレミーが守ったカーソン。
シリーズはまだ続きあるし、ジェレミーは逃げ出したし、この兄弟の因縁が
少しずつでももっと描かれるといいけどなあ。

最後に引用。
ジェレミーが守った弟。守られた弟。とても美しい一文だ。好き。ここで泣いた。


 「 ジェレミーはどのような終りを迎えるかわかっていたので、残された
 ただひとつの道を選んだ。僕が生きているのは、父が僕を殺すチャンスが
 なかったからだ。
  僕の呼吸はひとつ残らずジェレミーの贈り物だ」 (P65)

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