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映画「ハドソン川の奇跡」

*ネタバレ、結末まで触れています。

映画「ハドソン川の奇跡」

24日に見に行った。

2009年1月15日、乗客乗員155人を乗せた航空機がバードストライクでエンジン損傷。
両方だ。マンハッタンの上空で失速。空港へ引き返す、あるいは近くの空港へ
行くよう指示されたが、機長のサリーは、ハドソン川に着水させることを選ぶ。
着水は絶望だ、と管制官たちは思ったが、乗客はフェリーや警察に助け出され、
155名、クルーも、全員が無事助かった。
だが、国家運輸安全委員会はサリーの判断が正しかったかどうか、厳しく追及する。

この事故のニュースは覚えてる。
まだ人の記憶新しいものが、こういう映画になるんだあと思った。

クリント・イーストウッド監督。トム・ハンクス主演。さすがの渋さ。手堅さ。
淡々とプロフェッショナルな仕事を描き、しっかりうるっと感動もあって、間違いない。
事故を明らかにしていくミステリっぽさもあって面白かった。

お話としてはもう、結末はみんなわかってるわけで、最初から事故、助かった、
というのは見せる。でも安全委員会の追求で何度も場面が繰り返され、悪夢を
見て描き出され、シュミレーションでは無事に空港へ引き返すことができだとか、
徐々にいろんなことが事細かに描かれる。

コンピューターシュミレーションとは違う。練習してから飛行させるのとは違う。
事故が起きるのを知ってて操縦するのとは違う。
事故は突然に、指示は先の見えない所で下され、今まさに高層ビルが間近にある
状況で操縦するのは、誰も経験したことも訓練したこともない状況。
「人的要因を加えてください」
と、サリーが冷静に要求するのすごくかっこよかった。

マスコミで英雄扱いされでも戸惑う。機長も家族も、ただ普通に、仕事をして
家庭を築いている人。奇跡的な生還だったけれども、機長の仕事は仕事ですから。
というのがとても素晴らしかった。

副機長とさ~。サリーが、きちんと大人で信頼関係があって、一緒に乗り越えた
感じと、一緒に容疑者になったけど自分たちを信じるという強さと、すごくよかった。
事故当時の録音を聞いた後、サリーがジェフに、きみを誇りに思うよ、って
にこっと、ぽんっと、肩をたたくのがステキでさー。

映画の最後には録音を聞きながらの事故再現。
もうわかってるのにすごく緊張して怖かった。でもみんなプロフェッショナル
だった。助けにきたフェリーとか、警察も。みんなプロフェッショナルだった。
かっこいい。

マンハッタンの高層ビルに、飛行機が突っ込む悪夢は、それだけは、絶対に
避けたかったんだろう。
2001年の、9.11のことも、覚えてる。生々しく。
もちろん私はそれもこれもテレビのニュースで見ただけで、実感というものは
ない。だからこの映画はアメリカの人が見たらもっともっともっと、ぐっと
迫るものがあるんだろうなあと思う。

普通の人がヒーローになる。
そういう時がある。
さすがの良作です。

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映画「怒り」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「怒り」


21日に見に行った。

一年前、ある夫婦惨殺事件。犯人と思われる青年は姿を消したまま。
小さな港のある街で働き始めた田代。
新宿のハッテン場で体の関係からマンションへ誘った直人。
沖縄の無人島にいついたバックパッカー田中。
前歴のわからない三人の男。彼と関わることになった人。
テレビで一年逃げ続けている犯人像がニュースとなるのを目にして、その男は
彼なのではないか、と、人の心に疑いが兆す。

千葉、新宿、沖縄の三つの場所でぞれぞれ繰り広げられるドラマ。
信じるか。信じ続けられるか。心に兆した疑いをどうするか。
ぎりぎりとひりひりと、痛い思いが辛くて苦しくて、凄い映画だった。

渡部謙と宮崎あおい親子。と、松山ケンイチ。
妻夫木聡と綾野剛。
広瀬すず、佐久本宝と森山未來。

それぞれのキャストが本当に最高に凄くてよくって素晴らしかった。

アイコちゃんは、家出しては風俗でぼろぼろになっちゃう女の子で、多分ちょっと
頭が弱い。そんな娘を大事に思いながらもどうにもしてやれない不器用なお父ちゃん。
田代くんはバイトを転々としている無口な青年だけど、アイコちゃんとは
真剣につきあおうとしている。ように見える。でも、手配写真と、似ている。
アイコちゃんはさー、田代くん大好き、って言いながら、お父ちゃんの疑いを
聞いて、そして、そんなことないよ、って言ったけど自分で警察に通報してしまう。
田代くんが話した事情を信じきることができなかった。

お父ちゃんがさ、近所の親戚のお姉さん?単に近所のお姉さん? に指摘されてた
ように、うちの娘が幸せになるわけない、うちの娘とつきあおうなんて
碌な男じゃない、ってどっか思ってるんでしょう、って、それが、その思いが、
アイコちゃんにもどこか植え付けられてしまってて、幸せに、なれるわけない、
って、思っちゃってて。なんだよなあ。
田代くんと二人で暮らす、って家を出ようとした時に、心配するお父ちゃんに
向かって、「アイコだから?」って、聞くの。その目が、すごかった。暗い透明な、
虚無みたいな、絶望みたいな、諦めみたいな。
それは違うよ、娘を持つ父親なら誰もがする心配だよ、と、言ってあげたい。
どうぜアイコだからダメだ、って、すごく、すごくすごくすごく思ってるのが
わかった。いつもふわふわ笑ってるのに、そういう目を、思いをしてるのが凄かった。
しあわせを、自分が壊しちゃったって、ぼろぼろに泣くのが凄かった。
さすがだ。
田代くんはもう一度連絡をくれて、戻ってくるのが、救いだった。辛くて、でも、
またもう一度、やり直すんだと思えた。

ユウマはオシャレマンション暮らしで、多分外資系?かなんかでちゃんと仕事
してて、ゲイで、ゲイであることを楽しむようにしてて。母は癌かなあ、
ホスピスにいて。優しい息子で。でも、母に対してはどっかごめんみたいな
気持ちのある、優しい息子で。
ナオトといきなりガツガツやっちゃうシーンからです~~~っごくセクシーで
ステキだった~!きゃ~!
で、行き場のなさそうなナオトを段々ほっとけなくて一緒に暮らすようになって。
ナオトは母親のお見舞いにもついていくようになって。ナオトだけで母親と
話にいったりもするようになって。
母をお墓に葬って、この墓継いでいく人いないなあみたいな感慨があって、
冗談ぽく、一緒に墓入るか?ってナオトに言っちゃう。冗談ぽく受けながらも、
物凄く控え目ながらも、ナオトがさ~~ほんとはすっごい嬉しいっていう感じが、
めちゃくちゃ可愛い。
でも、手配写真にナオトは似てて、ナオトの素性とか何にも知らないって
不安になって浮気か?とかコソ泥か?とか疑いが兆してしまって。
そのユウマに何も言い訳しないで、ナオトはいなくなってしまって。
警察から一度連絡が来た時に、ユウマはそんな人知らないって切ってしまう。
もしも犯人だったら?
面倒に関わりたくない知りたくない怖い。って。逃げてしまう。
後に、ナオトは施設育ちでそれを隠してたんだってわかる。病気抱えてて、
公園で行倒れてたんだってわかる。
どんなに泣いても、もう取り返しはつかない。
疑いにユウマは負けてしまった。
でも、疑ってしまうのもわかる。。。不安で、面倒に関わりたくなくて、苦しい
から逃げるっていうのもわかる。人はそんなに強くない。信じ続けるのは難しい。
このカップルは~も~。きみら商業BLか、という。いちゃついてる時の可愛さ
セクシーさ、片方死亡で終わるとか、もおお~~~。素敵だった。。。

沖縄編が、一番ツライ。
最近沖縄に引っ越してきたイズミちゃん。タツヤくんていう地元の男の子と
仲良しで、無人島に遊びに行ったところで、建物の残骸に住み着いてる田中さん
と出会う。できれば秘密にして、って言われて。段々仲良くなる。
那覇にタツヤくんと遊びに行ったとき、イズミちゃんは米兵?に襲われる。
タツヤくんは怖くて隠れてた。
田中さんも実はこっそり見ていた。
イズミちゃんは誰にも言わないでって、タツヤをとめる。
その秘密を抱えたタツヤくんも、味方になるよって言ってくれた田中さんが実は
別に味方なんかじゃなくて、こころのない人間だって、わかる。
犯人は偽名田中さんなんだよね。。。
田中さんの闇は虚無で。タツヤくんの苦しみはその闇に吸い込まれるようだと
思った。田中さんが裏切り者だ、と感じて、そして、彼を殺すタツヤくん。
本当に殺したいのはレイプ犯だし自分自身だろうし。どうしうようもなくて。
そんな被害者が泥沼におちてくような、世界。
沖縄編がほんと辛かった。
イズミちゃんは最後には部屋から出てひとりで立ったけど、でも、救いでは
ないよなあ。青い海、白い砂浜。美しい沖縄の景色の中で、ひとりぼっちで
立つ女の子に、救いがありますようにと、願った。

どのキャストもすっごいし。
淡々とぐるぐると描かれる三つの場所の三つの物語も凄いし。
ぐさぐさずたずたに突き刺されて、映画のあとぐったり茫然としてしまった。
重い。
すごい映画だった。
信じるのは難しい。
信じること、幸せになることを、思い続けるのは難しい。疑いには負けやすい。
諦めて逃げるほうが簡単だ。
それでも、生きるって。
重い。
たいへんな映画だった。


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『イメージの進行形』(渡邉大輔/人文書院)


『イメージの進行形』(渡邉大輔/人文書院)
 ソーシャル時代の映画と映像文化


2012年刊行。2010年~不定期連載されていたものがもとになっているけど、
加筆修正も沢山されているらしい。
2011年、3.11を挟んでる。けど、そのことについて殊更などうこうでは
なかったと思う。

思う、とか書いちゃうけど、がんばって読んだけども、あんまりわかった!と
いう風には思えなかった馬鹿な私。映画批評とか言説のあれこれ、ふまえて、
ということころがまず私が全然ふまえられてないので、読むのはずるずると
読んだんだけど、今こう読書日記書こうかなってなって、何がどうだったかって
書けない。。。数日前に読み終わっててそして理解したぞとしっかりした所が
ないワタシ。ほんと馬鹿なのに読んでごめんて思う。

ネット、SNSを通じて、映像表現とその観客との関係に変化が起きている。
ネットでの反応を織り込み済みで作られる作品とか、ネット通じての場を
そのまま作品に取り込んで作り上げていくとか。身体性と映像とか。
岩井俊二の『リリィ・シュシュのすべて』を重要作品として取り上げていた印象。

デジタルシネマの問題とかあたりは全然私にはわからないことで、映画を
あれこれよく見に行くけど、その上映方式? フィルムが消えたとかはなんと
なく知ってるけど、でも、だからどうなのかということは個人的に意識した
ことはなかった。上映が始まったものをただ見に行くだけだ。
私はあくまでもただただ単なる消費者だなあ。
ミニシアターとかマイナー作品が見られなくなるかもというのは寂しいけど、
でもそういうのをすごく好んで見る人間じゃないし。ん~。

Twitterでの、botがどーこーも、ちょっとなんだかわからない。
Twitterにはどっぷり浸って見てるけれども、ん~。

なんかこう、何を読んだんだ自分は。と、はなはだ情けなくなるな(^^;。
映画、映像の歴史的経緯みたいなのはまあ、なんとなく知ってる感じの所を
補強して知った感じかな。
昔はもっとざわざわわいわい、映画と語り合うように見てた、みたいなことは、
最近また発生可能上映だとか応援上映だとかいうブーム(?)が甦りなのかと
思ったり。でも最近のあれはマサラムービーの流れなのかな。
映画館のマナーも時と場合によって変わりますね。

ソーシャルで映像を作り上げていく、あるいは広まる、あるいはバラバラに
なる感じ、は、でも、わかんないなあ。
まだピンとくる感じにまで言及されてない気がするなあ。まあでも私が
全然わかんないからダメなんだなあ。


 目次
 はじめに
 第Ⅰ部 環境分析
 第一章 「映像圏」の誕生
 第二章 「からだ」が/で見るヴィジュアルカルチャー
 第Ⅱ部 歴史
 第三章 映像圏の映画/映像史
 第Ⅲ部 作品論/メディア分析
 第四章 作品論―映像圏作家を読む
 第五章 メディア分析―映像圏のなかのTwitter
 第Ⅳ部 社会論
 第六章 映像圏の「公共性」へ―「災後」社会の映画/映像論
 おわりに
 註
 映像圏を知るためのキーワード20
 あとがき

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映画「君の名は。」

*ネタバレ、結末まで触れています。

映画「君の名は。」


彗星が降る夜。
夢の中で入れ替わる男の子と女の子。出会う前からお互いを探してた。


あまりにいろいろな評判があって売れてるようなので、ミーハー人間としては
見た方がいいのかな、と釣られて見に行ってきた。
見るつもりじゃなかったので、すでにいろんな評判やら考察やら読んでたので
ねじれというかひねりというか、そういうのでびっくりするということはなく、
ああなるほどふむふむ、と確認したような感じ。
どうせならネタバレ知らずに行った方が絶対楽しいタイプの映画だよなあ。
遠く離れていながら夢の中で入れ替わってしまう、それがさらに時間もずれて
いたのか!三葉の死を知ってしまった時のショックみたいなことは知らずに
見に行っていたらガーンとあったのかなあ。ん~。
でもそれからなんとかして運命を変えなくては、って瀧くんががんばって、
黄昏時のわずかな時間に出会って、みんな助かって再会できて、という感激感動、
みたいなのも。知らずに見たらわーってなるのかなあ。うーん。

でもやっぱりこれは、ロマンティックでファンタジックで、少女漫画だし
少年漫画だし、10代、20代、恋に恋するお年頃、ボーイミーツガール
運命の出会いって素晴らしい、みたいな感じの所で、なんかこう、人生に
期待ゼロになってる私がターゲットから外れているのは当然で、まあそうですよね
と思いました。
映画館の客層が、ヤングで。ああ。こう、クラスとか部活の友達同士で
きゃっきゃしながら映画館きて、よかった~とか私は泣かなかったもん~とか
言い合う感じの作品ですよねえ。

絵が綺麗、というのはほんとうにそうで、とっても綺麗でした。
ヤングな観客には私が見るのより何十倍もキラッキラに見えているのかなあと
思うと、羨ましいような気もする。
こういう映画を友達同士で見に来るような青春て、いいな。。。まあでもそれも
勝手なノスタルジーのファンタジーな夢なんだろーけど。

なんかこう、なつかしさというか。
昔の小劇場ブームみたいな頃な感じ?? と思った。ポエムな感じのモノローグ
を、それぞれがピンスポ浴びて情感たっぷりに語り上げるみたいなの。
少女漫画のモノローグって感じ?
なんか、このレトロさ、直球なセリフ。結局こういうのが好かれるのかな??
王道ってことか~。

たいへん綺麗な物語で、よくできてて、音楽もかっこよくステキで、なるほど、
って納得はしたので、まあ、身に行ってよかった。
めでたしめでたし。

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『毒蛇の園』(ジャック・カーリィ/文春文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。

『毒蛇の園』(ジャック・カーリィ/文春文庫)


カーソン・ライダー刑事のシリーズ三作目。この文庫2009年。本国では2006年かな。

カーソンとハリーは酷い雨の夜事件現場に駆けつけた。車の中の死体の腹は
切り裂かれていた。

てことで、現場で担当争いをしたもうじき引退するローガン、若者シャトルズ
コンビではなく、カーソンとハリーが担当することになる。異常要素のある
犯罪はPISITの担当が妥当だった。

最初は単純に金目当ての異常者の犯行、と思われたがおっかけていくうちに
犯人とみなされる髭もじゃが単なるホームレスではなく。というのが明らかに
なってくる。
犯人側、ルーカスという謎の人物視点の話も入るので、カーソンくんが頑張って
おっかけてるのが筋違いだったり的外れだったり太刀打ちできなさそうな
大金持ち一族の秘密だったりで、相変わらず、大丈夫かカーソン、しっかりしろ
カーソン、と心配しながら読んだ。

前作ではかなりラブラブに進展していたダンベリーが、キャスターとして昇進
しようとしていて、そのためにもというかなんというか、大金持ち一族の男と
よりを戻すよーな感じでカーソンくんとは終わってしまうのね、っていう
ごたごたもあり。でもそいつはヤバいやつで容疑者でダンベリー危ない、みたいな
ことにもなったりして。もっとダンベリーちゃんが危機的状況に陥るのかと
思ったけれども、まあまあ大丈夫だった。一作目の彼女がめちゃくちゃ酷い目に
あってたから、今回はもう大丈夫だったのかしら。

んで、カーソンは傷心モードでまんまとクレアと付き合う流れになっていく。
おいおい~~。
カーソンくん女に不自由しないな。まあクレアは最初から魅力的登場人物で、
でもしっかり大人で、(クレア44歳、カーソン33歳らしい)知的でバリキャリ
いい女、で、高嶺の花っぽかったのに。クレアとはまあ、そこそこいろいろ
関係あったかなあ。まあなあ。そうなるか。

終盤は、また攫われて危機に陥ったカーソンがなんとか脱出、ドキドキハラハラ。
ハリーが頑張って一生懸命助けに向かったり。カーソン視点じゃない文章だと
ノーチラスって書かれてるのね。
結構人物の名前がてきとーにしか記憶できない私は大事な終盤にも、ええと
これ誰だっけ、と思ってしまった。。。引退間近な最初イヤな奴だったローガン
が実はやる気出して助けてくれるとかもさ。ベタだけどちょっとよかったね。

大金持ちだけど血筋に問題ありって感じのキンキャノン一族の崩壊、という
感じはかなりクラシック。
でも結局は一番の問題児かと思わされていたルーカスが超人的な感じで、
立て直していくのかなあ。

今回はジェレミーの出番なしだった。寂しい。でも多分次作が兄弟の話に
らしいので、読むの楽しみ。
シリーズものを後追いしてるとこう、終盤のピンチにも、いやまあでもカーソン
くんは死なないでしょなんとか切り抜けるんでしょ、と思っちゃうね。
次のカーソンくんの女関係はど~なるのかな~。


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池田はるみ『正座』を読む会

池田はるみ『正座』を読む会

9月6日(火)にあったやつに行ってきた。
個人的覚書メモ。
(私個人の主観のメモなので正確なものではないです。パネリストの発表等、
私が勝手な思い込みで間違い勘違いで聞いているかもしれません)


パネリスト:大島史洋、花山多佳子、服部真里子

最初は大島さんから。
15首引用。僕がいいと思った歌です、とのこと。
池田さんらしい、ということで自然体の中のユーモアのある歌等。
ただその「らしい」というのは難しいところで、面白がって、面白がらせよう
としてやりすぎになってしまうとつまらない。作りすぎ、と感じてしまう。
大鵬の一連はよかったなあ。
擬態語の面白い使い方のこと。それもやりすぎになってしまうかどうか、微妙で
難しいところ。

ですよね。これはよい、とするか、やりすぎだなあと引くか、その塩梅って
読み手の好みってことに左右されちゃうんじゃないかなあ。難しい。
私は池田さんの歌好きで受け入れる幅が大きいほうかな。

次は花山さん。
池田さんと生年月日、誕生日まで同じという同世代だそうです。
言説的なもの言いの歌への疑問。言葉遣いへの疑問。
同世代、といえばわかりあいやすい、という安直さは全くなくて、ある程度
重なり合ってわかる気がするけれども、でもなおさらすごく違うと感じると。
バックボーンの違い、他者性を感じると。

わからない、というところのお話興味深かった。好きな歌のこと、文体のこと、
この歌集からだけでなくこれまでの歌からの流れも面白かった。

次は服部さん。
沢山の歌をひいて歌そのものに即して読む感じ。言葉選び、字数を使って
ゆったり感のある歌を「空気を入れる、空気を描く」とまとめているのが
なんだか腑に落ちる感じ。池田さんの歌の呼吸というか、池田さんの声が
してくるようなこういう歌私も好きなので。
「生き物として対等」とまとめられていたのもわかる。孫、赤子にも、犬とか
すずめとか小さな生き物にも、対等な視線であるような歌。
幻想的な歌の異様性。日常的な歌が多い中での際立ちなど。

地震や原発の歌をレトリックとして捉えるのは無理があるのでは、という
大島さんの意見などもあり。
歌そのものテキストの背後に何をどこまで読み取るか、って、やはり読み手
それぞれの問題なんだなあと思う。


それから会場から。
40名あまり、みんなそれぞれに読みや感想や意見交換などなど。
亀さんのシリーズが私はかなり好きなんだけど、池田さんのご近所さんからは
近所に亀のいる池があって、みたいなお話があったり。亀の擬人化、と見るか、
どうか。
私はリアル亀だとはまったく思ってなかったのだけども、でも、そういうのも
面白かった。もちろん歌そのものが、おとぎ話めいていて、人間であり亀であり
という膨らみの余地のある世界。
ほんとに会場みんなから意見が出て、いろんな、あらゆる角度から読む感じが
して、参加しててとても面白い会だった。

懇親会までお邪魔させてもらって、美味しく飲んで食べて、楽しかった。
ありがとうございました。

いくつか、私が好きな歌。


  あんたはなあどうも甘いと言はれてる烈夏の下を通つてゐたが

  けふ我はからだに沼をかかへこみうつぶせの背に蛍をとばす

  あかんでの「で」の抑制がうつたうしいあほなことしたらあかんでの「で」

  赤ちやんは福の神なりわれに来てむーんと重いちひさなからだ

  さびしくても大丈夫だよといふやうに亀さんことりと動きはじめぬ

  亀さんとゐればときをり寄せてくるちひさな風に時間がうごく

  カウンターに呑みつつ並びゐし人ら ゆふぐれはみな話があつて


やさしくてほんのりあたたかくてきちんと静かな距離感があって、好きです。
『正座』というタイトルを見た時、あ、なるほど、という納得があった。
池田さんは厳しい正座を強いるのではなくて、なんの無理なく正座できる
人だなあと思う。ゆったりしてるけど強い芯がある。さらりとしている。
面白いなあ。


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映画「スーサイド・スクワッド」

*ネタバレ、結末まで触れています。

映画「スーサイド・スクワッド」


10日に見に行った。3D、IMAXで。
ポスターくれたけれども、持ち帰るのに困って今回はお返ししてきた。

そもそもで言うと私はアメコミの世界についてよく知らない。MUCだとかに
対抗しての? DCコミックとゆーワールド? が? ある???
みたいな程度。一応バットマンVSスーパーマンは見たぞ。バットマンは大体
見てるかな、くらい。
で。
そのDCの世界の悪役たちを集めての今作、ということらしいけど、正直ジョーカー
くらいしか知らない状態。それでも最初にちゃんとそこそこ丁寧に人物紹介が
あるのでまあ大丈夫。
異世界、異能力者の脅威に対抗するにはこちらも普通の人間じゃダメだ、って
感じて使い捨てにしても惜しくない極悪人たちを集めて部隊を編成しよう、って。
えーと、これは、一応政府側? 軍? その辺の、一応は正義側の都合で犯罪者を
有効活用しようって感じの始まり。

わりと、部隊に集められた側だけじゃなくて、使う方の人も、全員、悪、か。
減刑を条件に、とはいえ、弱み握って首に爆弾埋め込んでの部隊編成。
魔女を捕まえて心臓握って言う事聞かせるぞーって感じだったのが案の定暴走。
ま。そうですよねw

そんなこんなで、人間を敵とする魔女とその弟が暴れてるところから要人を
救い出すのが初任務というスーサイド・スクワッド。

そんなこんなのストーリーはあって、悪人それぞれになんだかんだ事情はあって、
特にやっぱウィル・スミス演じるデッドショットは娘を愛するよき父親、って面を
強く描かれていて、一撃必殺の暗殺者だけど別に悪人って感じじゃない。
ワニ男くんも火を出すディアブロくんもミュータントで辛い感じだし、ディアブロ
くんは悪魔族? ラスボス対決してたし。
みんなのほうが人間味あって、部下を平然と見捨てる見殺しむしろぶっ殺す
アマンダだっけ? 上司な人、彼女の方が非情な悪って感じでーす。
あとバットマンもちらっと登場するんだけど、まあ、悪人退治してるんだけど、
バットマンに襲われる!感が凄くてバットマン怖い~。ああまあダークヒーロー
だっけね、と改めて思うなど。夜道で出会いたくないですね。

そういう個々のキャラがわかって、それぞれに魅力あるなあと思えて、
だからキャラ萌え映画としてすっごく楽しかった。
なんかとりあえず撃ちまくれ! 
でもただ、その、予告で期待盛り上がった程にはいかなかったかなあ。
ちょっとテンポ悪いように思ったなあ。
一応は要人救出、って上司かよ。とずっこけつつ任務は成功するかに見えて、
結局は魔女倒すまでやんなきゃ終わらないっと。まあそうですよね。
魔女との戦いはなんとなくええと、まあ、心臓潰しておしまいか。
ディアブロくんがいなきゃどうしようもなかっただろー。ラッキー、ってことで
いいのか。まあいっか。

これは予告が神作品だったかなあ。めちゃくちゃかっこよかったから。
予告が一番面白いパターンかな~と、ちょっと自分でも思ってた。
でもやっぱりたっぷり大スクリーンで見られて音響ズシズシきて、楽しくて
すごくよかった。

もーずっと宣伝で推しまくりのハーレイ・クインちゃんは、ほんっと可愛かった!
可愛い!クレイジー!強い!!!!ジョーカーに恋する乙女!!!
ジョーカーがクインちゃんのマジ王子様でスパダリで最高かっこいいし!!!
いろいろこれはクインちゃんの読んでるロマンス小説の世界な妄想なのかって感じ。

部隊のリーダーであるフラッグ大佐もさあ、魔女に体をのっとられた博士と
恋仲で彼女を思って涙目になっちゃったりするしね~。
魔女の恋人だからってんで魔物(?)に何度か攫われそうになって結局みんなに
守ってもらうしね~。姫は大佐だったよ。

シン・ゴジラの時に余計な恋愛要素はいらないみたいな話はいっぱいあって、
それはそうで。
このスースクは悪人集団のドンパチ映画でありながら極甘の恋愛映画なんだよ。
なんだこの凄い融合。
恋愛、家族愛、友情。
こんなにもがっつりロマンス映画であり、どかどか銃撃爆発怪物ものである
痛快映画でもあり、っていう合わせ技が凄い。強烈なキャラが全てをなぎ倒して
いくキャラ映画。にしてはちょっとテンポが残念とは思うけど。
楽しかった。
なんか適当でいいじゃんと思った。
ジョーカーかっこいいわあ。
ジャレッド・レト凄いセクシーだ。
ハーレイ・クインちゃんと末永くお幸せに。ってことになったのかな~。
何度も助けにきてくれるほんと王子様ジョーカーステキ~!


これは単発ではあるけど、バットマンVSスーパーマンの後の世界なんだね。
スーパーヒーローの死の後の世界。いや復活するだろ、と、あの映画の後
思ったけど、この世界ではそう単純簡単なことじゃないってことね。
どっかんどっかん人殺し化け物殺しまくりだけれども、なんだか「死」が
ちゃんとあるのだなと思った。
バットマンはなんだかお友達集めに回ってるし。
これがまた後に続く、ってことになるのだよね。
壮大だなあ。
まあまたベンアフのバットマンとジェレミー・アイアンズのアルフレッドを見る
のを楽しみに待ちます。

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『鬱屈精神科医、占いにすがる』(春日武彦/太田出版)

『鬱屈精神科医、占いにすがる』(春日武彦/太田出版)


精神科医である春日武彦さんが占いに。
というまず意外性がインパクトのある一冊。

エッセイというか半自伝的なというか。不安感、不全感から逃れるために
占い、という選択が浮かんで実際行ってみて、行ったのに自己分析を延々
語ってしまう春日先生。
でも語っているうちに自分でも思いがけず突然泣いてしまったというカタルシス
があって、まあでもそれでハマったというほどでもないようなんだけれども、
時々あちこちの占い師の所へ行ってみる、ということをなさっているらしい。
ひょっとして「占いにすがってる」というのはフィクションでエッセイと
見せかけた小説なんだろうかこれは??
確認するすべは単なる読者である私にはない。読んでいる時には、細々した
ところはともかく、大筋としては事実というか経験なんだろうなあと思って
読んだけれど、こう、今感想書いておこうと思ったら、いやもしかしてその
前提が騙されているのでは。なんて思ったりもして。

精神科医はカウンセラーとかにかかるのイヤなのかあそうなんだろうなあと
思う。
けどドラマの「ハンニバル」は精神科医になったから精神科医にかかるように
した、って言ってたなあ。まあアメリカとは違うか。というか勿論それは
人それぞれだろうなあ。

自分の弱さとか不安とかを自己分析して延々語ってしまえるのは、職業柄と
いうよりは、文学好きであるところの感じなのかなあと思う。

母と自己との関係なんかも面白く読んだ。ある程度客観性を持ちつつ書いてる
のかと思ってたら突然口出しすんなら殺すみたいな強烈な壁があったりして
えっ、と思う。ATフィールド??? でもそうかなそうなんだろうな。

さくさくと読みながら、ああ自分は、と、自分の事も考えちゃったりする。
とても面白かった。

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映画「ヤング・アダルト・ニューヨーク」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ヤング・アダルト・ニューヨーク」


昨日見に行ってきた。

ジョシュとコーネリアは40代の夫婦。友人夫婦に子どもが生まれて、人生変わるよ、
と子どもが生まれる素晴らしさを力説される。
ジョシュはドキュメンタリー映画作家。だが新作は8年がかりでまだ仕上がって
いない。コーネリアの父は同じくドキュメンタリー映画監督の大御所。
ある日社会人講座で講義しおえたジョシュに、ファンだという青年が話しかけて
くる。ジェイミーとダービーは20代夫婦。
若い二人と親しくなって、刺激を受けて、育児に手いっぱいな友人夫婦とは
すれ違いを感じるジョシュとコーネリア。
ジェイミーもドキュメンタリー作品を撮って世に出ようとしていた。
親しくなり、映画づくりに協力し、だが何か違和感に気づくジョシュ。


ハートフルコメディ、ということだけれども、いやああ。
もちろん国も仕事も全然違うけど40代、子どもがいないという所は重なる自分は
身につまされるツライ痛いことが多々あって、あんま、そんな、ハートフルでも
ないような、コメディって楽しく笑ったりはできなかったような。
まあもちろん、映画作品ですから。
キャストもみーんなすごくよくて、大仰すぎなくて、まさに身近な自分たちの
ようで、だからこそ自分のことのようにううわああとなって、さっくりよく出来て
いい映画だな~と思った。

ジェイミーは本当はジョシュではなく父にあたる大御所監督に近づきたくて、
出会いを演出したのではないか。
20代のむしろレトロが新しいみたいなリア充夫婦な姿は演出なのではないか。
ジェイミーのドキュメンタリーはそもそもヤラセで、ジョシュたちは騙されて
利用されて。
でも世の中に出ていこうという野心のためにはそのくらいするのでは。
ドキュメンタリーの主題にとって偶然の装いは大した問題ではないのでは。
むしろ青臭く生真面目なのは40代のジョシュたちの方。
恐れ知らずの若さ、勢い、したたかさに負けてしまう。

まー誰だって若い頃はあるし、年はとるし、そしたら下の世代に圧倒されて
しまうこともあるし。
成功者になりたくても必ずしもなれるわけじゃないし、一度成功したかに見えて
それが続くかどうかはわからないし。
いろんなこと、自分の人生を考えてしまう映画だった。

子づれママ友の中には入れなくてうんざりしちゃうコーネリア。不妊治療も
流産も経験してて、ダメで、今はもう子どもは諦めておしまい、って思ってるのに。
ジョシュが子どもがいれば変わるのかもとか思って子どもつくろうって言い出して
うんざりしたり。
男はわかんないのかなーという感じ。40すぎて子どもがそう簡単にできるわけ
ないだろーがああああああーっ。あの辺が一番イラついた。

でもなんだかんだあって、自分たちは自分たちなりに、という所で落ち着くの
かな、と、思ったら、一年後。
二人はたぶんあれ、養子もらいに行く旅立ち、みたいなところで終わりだった。
おっと。そっち行くのかと、個人的には残念な気もした。それはやっぱり私が
子どもいないからかなあ。
子どもがいない人生も別にそれはそれで、というのを見たかったのかも。
もちろん養子を育てていくというのがダメじゃなくてそういう選択するのも
ありだよねと、十分わかってます。なんかでもやっぱり、夫婦って子育てして
一人前みたいなところのニュアンスがあるよーに思って、うーん、と、思った。
まあさっくり着地するのはそういうものかな。

ジェイミーを演じるアダム・ドライバー見たくて、というのが一番のきっかけ。
若い魅力的な青年というキャラが、よかった。
ぱっとみにすごくハンサムでもなく、ただ可愛いでもなく、なんかどっか
ぼーっとした感じもするけど、ブルックリンのヤングっていうキャラの、
嫌味になるぎりぎりってところの面白さ。
ジョシュとだんだん仲良くなるとかコーネリアとちょっとだけ危うくなるとか、
なんだか不思議と魅力的で惹かれてしまう感じが納得するなあ。
ダービーちゃんも単に若くて可愛い女の子、ってだけじゃなくて、バレたと
思った時の、ああまあね、みたいなちょっとだけ投げやり感とかよかった。
キャストみんな見応えあり。
自分にとっては意外とツライ思いもしたけど見に行けてよかった。

あっ、そういえばエンディング、David Bowie の「Golden Years」が流れた。
Bowieの曲が使われてるって知らずにいたところに聞くと胸をつかれる。好き。

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映画「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」


3日の土曜日に見に行った。これ、かなりがっつり「グランド・イリュージョン」
からの続きなので、今後1も見ようと思ってる場合には先にこっちを見てしまうと
ちょっと勿体ない気がする。
まあでも別に気にしなければそれはそれでいいような。

マジシャン、催眠術師など凄腕のメンバー四人、フォー・ホースメン。
前回の騒動の後静かに身を潜めていたが、次の行動が始まる。巨大IT企業が
個人情報を盗む企みを暴くのだ。
だが、ホースメンの行動を先読みし、邪魔し捕らえて利用する人物がいた。
ホースメンたちを見事に騙してマカオへ拉致したのは世間では死んだことに
なっている天才エンジニア、ウォルター。かつての友人、だが裏切られたその
IT企業から、基盤を盗み出すよう強要する。


ホースメンの女子メンバーが変わってたなあ。
ちょうど午後ローで「グランド・イリュージョン」やってたのを見てから行った。
かなりがんばって、誰が何をどこからどこまで騙してる?騙されてる?トリック?
と一生懸命見る感じ。わくわくして面白い。
いや~~~~そんなうまくいくか~~~??? と思うけどまあそれはもちろん
映画だもんね!
ゴージャスなトリック、そんなトリック?? とか、カードを投げ合うとか、
理屈は私にははっきりわかんねーよと思っても十分楽しい!

ダニエル・ラドクリフは、科学の天才てことだけど、それはそんな感じない
よーな。それより魔法使っちゃえよポッター、とか思う観客のツッコミ込みの
キャスティングなんだろうか。ふつうに微妙なヘタレのヤな奴でよかったなあ。

ジェシー・アイゼンバーグはもちろん、みんなガンガンよく喋る。
見てるのが忙しい。でもこういうのも観客を煙に巻く感じ~っで楽しい。
壮大なショータイムを見られて満足~。

マーク・ラファロ演じるディランの物語ですねえ。父の復讐をとげたあとにも
まだすっきりはしていなかった心が今回のでほぐれたのだろう。たぶん。
まあ、前回もディランの物語であったわけか、と、思う。
そういうしんみりもほんのりで、よかったね。

結局騙しおおせたのはホースメンたち。
いやでもあのチップは本物だったのかどーなのか、なんか、私はっきりわから
なかったな~。まいっか。
でも彼らも、アイには騙されていた、ということで、アイとのかかわりでさらに
続編ができたりするんだろうか。観客がどんどん疑ってかかるようになるから
次がもしまたあるとしたらまたさらにハードルあがるよねえ。
でもこういう派手なエンタテイメント、楽しくて好き。またあるといいな。


 

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