『デス・コレクターズ』(ジャック・カーリィ/文春文庫)
*ネタバレ、結末まで触れています。
『デス・コレクターズ』(ジャック・カーリィ/文春文庫)
1972年、モビール市、モビール郡裁判所。連続殺人犯のマーズレン・ヘクスキャンプ
に死刑が宣告された。その判決をうけた直後、ヘクスキャンプの裁判の間中、
裁判所で黒い服、ベールをつけて泣き続けていた女が、彼を刺し殺し自殺した。
死にゆくヘクスキャンプの最期の声を聞いた刑事、ウィロウ。「追え……
輝かしいアートを」
それから30年あまり。「現在」のモビール市。
僕、カーソン刑事は表彰されに行く途中、女性の死体を発見する。
それは実は今に始まる連続殺人の犠牲者の一人だった。
前作『百番目の男』の続き。二作目。この文庫は2006年刊。本国では2005年刊か。
続きといっても事件はまた別物。カーソンくんはアヴァと別れてしまったのね。
アヴァの方がモビールを去った、ということらしい。前作ラスト事件の被害者に
なって大変だったもんねえ。で、カーソンくんはテレビリポーターのダンベリー
と勢いというかはずみというか、付き合う? セフレ? みたいになった。
おいおい。
まあそういうものか。
事件は過去の亡霊がよみがえるような感じ。
ヘクスキャンプはカルト教祖であり画家でもあって、彼の残した作品が密かに
取引され莫大な金が動くのではないか、という感じ。そして死者も増える。
PISIT案件だってことでカーソンとハリーが捜査にあたるけど、ダンベリーも
加わってトリオで事件を追う。
しかし今回、ジェレミーおにーちゃんの出番弱くてちょっと残念。カーソンくん
お兄ちゃんに対して酷いじゃないの。と、なんかついジェレミーの方が好き
なんだけど、まあ、な。いやまあジェレミーはレクター博士じゃないし、と思う
けども、まあ。
なんだかやっぱりカーソンくんがガキっぽくって、もちろん優秀有能だとは
思うんだけど、ん~もっとしっかりしろ~、という気がしてしまう。
ダンベリーとまんまとやりはじめたりする感じも、まーそーなのねそうなるね~
と、つい、ひいてしまう。私個人的にはキャラへの思い入れが持てないなあ。
デス・コレクターズというのは、殺人絡みのグッズ集めとかしてしまう人々
ということかな。死刑囚にファンがつくとかあるよねと、ドラマなんかの
影響で納得。ちょっと前にもサイコパス者たちの作品(?)展覧会みたいなの
あったよなと思う。なんだかそういうものに引き付けられるという感じはわかる。
ヘクスキャンプの場合、カリュプソという運命の女に出会ったことが大きくて
黒幕はカリュプソか~って感じで、あ、実は弱々しく平凡に見えた事務員が、
みたいな感じもうんうんと思う。
今回もカーソンくんはラストの方ではカリュプソに囚われちゃった。
たまたまウィロウ元刑事に助けられたけど、ウィロウが犠牲になってしまう。
うーん。
カーソンくんはいまいち頼りにならず。カーソンくんがヒロインポジションか。
結局最後には守られる側、という。
ジェレミーお兄ちゃんがそうしてくれてたもんね。そうだ姫なのは弟である
カーソンだな~。
ダンベリーともカーソンくんのほうが受っぽいしな~。
ハリーからも守られてるしな~~。
次からはカーソンくんのいまいち甘いいまいち馬鹿っぽい、いまいち弱い、
そういうのを愛でるように読もうかな。読めるかなあ。
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