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映画「ルートヴィヒ 完全復元版」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ルートヴィヒ 完全復元版」


制作年は1972年。しかし公開時には140分、その後180分があり、この「完全復元版」
というのは、監督の当初の構想に近いバージョン、とのことで237分。約四時間。
長い。。。とひるんだけれども、スクリーンで見られる機会、沢山はないと
思って近くにきてくれたし見に行った。
二時間くらいのところで休憩はいった。まーね。

教授だとか内閣大臣だとかなんだかいろいろな人が証言して狂王ルートヴィヒを
退位に追い込もう、という構造。
印象的なのは、人物を半分陰にして撮っている画。深い陰影がとてつもなく美しい。
従僕やちょっとした脇役おじさんまでいろんなハンサムが取り揃えられている感じ。
美しい~。

若き国王として即位するところから始まる。不安におびえる青年。緊張して
冷たい美貌。豪華絢爛な屋敷、装飾品。女たちのドレス、宝飾品。軍服、勲章、
マント、錫、王冠。しょっぱなからもうスクリーンいっぱい隅々までこれでもか
これでもかと、華麗な世界。こういうのって、美術館で名画として飾られている、
そういう丹精込めて描かれた色、構図、姿、そういうやつ。
豪華な衣装や宝飾って権威だなあとしみじみ実感する。
どんな小さな調度品も精緻に飾られている。つるんとしたところ一つもない感じ。
四時間、ずーーーーーっと美術展覧会のようだった。素晴らしい。凄い。

その豪華な絵の中で動くキャストたち。動く絵画。美しい。凄い。
ルートヴィヒのブルーグレイの瞳のなんとうつくしく撮られていることか。
若い頃の、すっと伸びた体、きびきびとした動きは神経質さも感じられて、
歩いているだけで芸術的。
それが年を経てくると、動きの鋭さは減り、顔も青年期とは違ってくる。
なんでだよ。凄い。もちろん圧倒的に美貌。虫歯で歯が黒くなってもそれは闇。
圧倒的美貌。そして虚ろ。

恋したのはエリザベートだけ。どんなに贅を尽くして男の子はべらせても、
ルートヴィヒは満たされない。
惚れ込んだワーグナーもなんだかろくでなしでさ~~~。も~~~。

昔見に行ったことあるけど、昔昔すぎてもう記憶曖昧。
こういうシーンあったな、と断片的には覚えていて、たっぷり増えたところが
どこなのかはっきりとは私にはわかんないけど。
婚約をして、女優に練習させようとするところとかは見たことない気がする。
ああいうの、逆効果でしょ。。。なんでもっといい女を選ばないんだよ。
終盤、精神状態がよくないから退位させよう、と隔離しにこようとして、と
いうあたりも増えてるところかなあ。一応ぼんやりとヨーロッパの歴史とか
思い出そうとしてみたけどあんまりは知らないなりに、王族のどろどろも
大変だなあと思ってみたり。
死の真相はよくわからないけれど。自殺? うーん。
でも、隔離されてああいう所で、つつましくなんて長く生きられる気はしない。
毒をちゃんと手に入れていればすぐにでも自殺したのだろうか。
最後、水から引き揚げられた死体の横顔がずーっと映る中エンドロール出て、
茫然とただ死に顔を見ていた。

こんな作品を、こんな美の世界を、映画に残してくれてありがとうと思う。
映画に焼き付けられた永遠を思う。映画の神様ほんとにありがとう。
ブルーレイが出るようなので思わず予約ポチったわ。

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