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映画「シング・ストリート 未来へのうた」

*具体的内容、結末まで触れています。


映画「シング・ストリート 未来へのうた」


16日に見に行ってきた。

1980年代、ダブリン。
コナーは三人兄弟の末っ子。両親は不仲。父は職を失っている。兄のブレンダン
は大学をやめている。ブレンダンと一緒に音楽番組を見るのが大好きな高校生。
教育資金を見直す、という両親の決定によって、規則の厳しい、だが荒れた高校
へ転校したコナーはさっそくいじめにあう。
だが、学校の前で見かける美少女に思い切って声をかけると彼女はモデルだという。
僕たちのバンドのミュージックビデオに出てくれない? 
なりゆきでそう話をして、コナーはバンドを組むことにした。


監督ジョン・カーニーは「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」という
作品が評判よい、らしい、けど私は見たことがなくて、これは80年代の音楽
とかよさそうと単純に思って見に行った。監督の半自伝的作品らしい。

ダブリンという地方にあって、ロンドンという世界の中心みたいな街が海の
向うにあって、10代で音楽が好きで、女の子に恋をして、って、もう完璧に
青春映画だった。とってもとっても切なく甘酸っぱく。

ミュージックビデオが流行ってて、ビジュアル系バンドとかに憧れちゃうとか。
お兄ちゃんがロック、音楽に詳しくてその受け売りみたいなコメントを友達に
言っちゃうとか。お兄ちゃんにアドバイスもらって一生懸命頑張るとか。
すごくすごくコナーくんが可愛い。よわっちいけどだんだん自信もっていく、
成長していくのがすっごくいい。
恋って、すごい力だよねえとしみじみきゅんとしてしまう。

でも背景にはどうにもならない問題も山積み。一方的な学校での締めつけや
いじめ。家庭で両親の喧嘩。別居。貧しさは10代の子どもにはどうにも
できない。
お兄ちゃんがさあ。
すっごくいいんだよ。
お兄ちゃんはなんだかぼやっとしてるし大学辞めてかといって真面目に働く
でもなさそうでダメダメっぽいんだけども、コナーにとっては大好きなお兄ちゃん
で、頼りにしているの。
お兄ちゃんはダメダメっぽいけど、コナーと妹、アンだっけ?まあその下の子
たちをちゃんと守ってるんだよね。まあ家庭内暴力を振るうような父ではなく
母でもなく、そう最悪の家庭ってわけでもないんだけども、でも、兄弟の中で
お兄ちゃんはお兄ちゃんしてるんだよねえ。
バンドをやるぞ、ってなって、コナーくんがどんどん成長していくのを、
ついちょっと自分の鬱屈爆発させちゃったりもしたけど。
でも、それはそうだよ、と、ほんと泣かされた。
そしてちゃんとコナーの味方でいてくれるんだよ。コナーが行く、って決めたら
ちゃんと送っていってくれるんだよ。
も~。
ブレンダン最高。
お兄ちゃんほんと偉い子。だってお兄ちゃんだってまだ21とかなんだよね?
お兄ちゃんだって悲しいほど若いんだよー。思い返してもじわじわ泣いてしまう。

コナーは学校の中でいまいち冴えない感じの仲間を得てバンドやり始める。
エイモンは父がバンドマンで、自宅に楽器いっぱいあって演奏バッチリ。
コナーと一緒に曲を作る。
コナーくんがラフィーナへの恋心や学校への反抗を詞に書いて、それを二人で
曲に仕上げて行って。
お兄ちゃんのアドバイスによって最初からオリジナルでやろーとするのが
すごくかっこいい。
オリジナル楽曲が、ほんっとよくって、青春だ~って切なくなるしきゅんと
くるし。素晴らしい。

ラフィーナも事情はあって、両親いなくて児童施設で暮らしてるのね。
ロンドンへ行ってモデルになる、って夢を持ってて。でも一度は挫折する。
コナーくんより一つ年上、といってもたった16歳の女の子。
コナーの曲を気に入ってミュージックビデオ撮影に参加して、ちゃんとやり遂げ
てくれる。
見よう見まねのむちゃくちゃな衣装やメイクでつくるミュージックビデオづくり
も、ああも~青春じゃねーかっ。

そんなこんなの全てのシーンが愛しくなる映画だった。
ラストはおじーちゃんの小舟で海を渡っていく。雨は降りだすし波は荒いし
大丈夫なのか、って心配になるけど、コナーもラフィーナも笑ってる。
前を向いていく。
大丈夫かようまくいく保証なんか何もないよ、って、これはやっぱり映画の
おとぎ話、という気もしちゃうけど、でも、全然いいよ。青春映画だよ。
恋と友情と、兄弟愛だよ。

エンドロールの時、レコーディング中かな? みたいな音声がちょっと流れる。
あれはコナーたちが最初に作った曲、「モデルの謎」だよね。
これは、コナーがちゃんとうまくやって、レコーディング契約とってきて
バンドデビューするぞ、っていうことなのかなあ。
若者たちよ。しあわせになれ。
素直にそう願う作品だった。音楽っていいね。恋っていいね。

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