« May 2016 | Main | July 2016 »

大西久美子歌集『イーハトーブの数式』批評会

*私の個人的主観的覚書メモ。私の思い込みや勘違いで間違いがあるかもしれません。


大西久美子歌集『イーハトーブの数式』批評会

パネリスト:大松達知、鯨井可菜子、服部真里子、藤原龍一郎
司会:加藤治郎

6月11日(土)、中野サンプラザ研修室

行ってきました。
日記書くのが遅くなり過ぎちゃった。一応ざっくりメモだけ。

パネリスト、最初は大松達知さん。前半Ⅰのほうがよい。ふるさとや作者自身に
根差したきちんとした歌。Ⅱは言葉が空回りしているのではないか。

次に鯨井可菜子さん。イーハトーブ「と」数式 という歌集なのではないか。
ふるさとへの愛着のよく見えるⅠ。やや虚構めいて夢的な数理の世界の二つが
ある歌集。

次に服部真里子さん。ⅠもⅡも殊更に分けて時系列にあてはめてわかりやすい物語
に収束させて読むやり方をしなくてもよい。「表面/空洞」「離人感」「台詞」
「恍惚」等の分類で歌そのものを味わう。

次に藤原龍一郎さん。Ⅰでの手堅い短歌らしい短歌に比べるとⅡは迷いがあるの
ではないか。「雨」「動物」「嗅覚」「洗練された修辞」という取り上げ方。
歌に枕詞等の手法を取り入れて新しい世界へ進んでいこうとしているのでは。


それぞれの発言、議論があり、休憩あって会場発言等。
やはりⅠでのうまさ、手堅く完成しているところの評価と、そこから変化して
いくようなⅡはいまいち、という感じ。
個人的に読んでいてうまいなあいい歌だなあと思うのはどっちにもあって、
付箋をつけたのはまあやはり少しⅠのほうが多かったかな。
変化してゆきたいというのは当然で、どう変わるかはもう作者の思うように
いくしかないので、そんなにⅠのがいい、って意見が出てるのが不思議で
面白かった。

読んでいくからにはわかりたい、というのはそうだと思うんだけど、服部さんの
言うようにわかりやすい時系列だと決めて物語の流れをつくらなくてもいい、
わからないならわからないままでも読んでいい、という感じもわかる。
歌集って一冊になってるから、なんとなく順番に読んでいくし、順番に考えるし
そうするとやっぱり順番な物語にしちゃうなあ。でも作った時とか場所とか
バラバラなんだよねえ別に。フラットに読めばいいかなと思う。
でもまあ編集する時に何も考えてないわけはないだろうと思うけど。
そこは読み手の勝手でいいのではないか。うーん。
作者だって勝手につくればいいんだし。
まあ、そんなこんなを自分の中でもあれこれ考えられて面白かった。
タイトルの裏話、最初は別の案だったけれど、治郎さんの一声でやっぱり今の
ものに決めて、とか。タイトルがいい、って話が多かったので、へ~~~、と
知ったのも面白かった。行ってよかったです。


いくつか、私個人が好きな歌。

  病んでゐる人がわたしの手と足を果実のやうにもぎ取つてゆく
  ジャポニカのマス目ノートを埋めつくす「あ」は朝の「あ」だ。「あ」「あ」、花が咲く
  とほい世の落葉松林だつたらうお湯にほどけるチキンラーメン
  
  指先をスマートフォンに滑らせる指紋をもたないアンドロイドが
  とぢてゆくわたしはただの砂粒になりたいだけよ目だけ遺して
  強き雨弱き雨にも気づかない地下鉄の耳となりしか、この日

|

映画「10クローバーフィールド・レーン」

*内容、結末まで触れています。


映画「10クローバーフィールド・レーン」

26日の日曜日に見に行った。

ミシェルは恋人と別れてひとり車を走らせていた。
突然別の車に突っ込まれて事故に。気が付くと地下室のような所で寝かされていて
ハワードという男が助けたのだと言う。
外は汚染されている。危険だ。といってシェルターから決して出ないよう言われる。
何が起きたのか、ミシェルは隙をついて外へ出ようとするが、その時、女が中に
入れろとやってくる。ガスは少ししか浴びてない、という女の顔はただれていて
怯えるミシェルはドアを開けることはできなかった。
外で何が起こっているのか。
ハワードと、エメットとこのシェルターにいれば安全なのか。

「クローバーフィールド HAKAISYA」との繋がりは!? みたいな煽り文句だった
と思うけど、うーん、あんまり細かいことは覚えてないし、よくわからない。
前の時もただ目の前に繰り広げられるパニックに巻き込まれるような感じで
見たけど、こっちも、何がどうなの、どのくらい本当なの、信用できるの?って
息を詰めてスクリーンをただただ見つめる感じ。

大部分はシェルターの中。
シェルターの持ち主、ハワードは、ミシェルを助けたというけど、実はこいつ
ミシェルを連れ去り監禁するのが目的なんじゃないの、というのは最初から
胡散臭く信用できず、でもやっぱり大丈夫なのかな? いやでもどうなの? と、
緊張感がすごい。
エメットはシェルターを作るときに工事してた男、若者かな? で、とにかく
ここに逃げてきたってことらしい。
ミシェルは外で何が起きているのか全くわからない。
最初は逃がして、とお願いしたりもしたけど、基本的に自分で行動しちゃうタイプ。
すっごいタフでびっくりする~。
服のデザイナーらしいんだけど。
サバイバルマニュアル参考に、ガスマスクつき防護服を作ったりしちゃう。
ハワードとも戦ってついには逃げ出すことに成功する。

ハワードは元海軍だとか言ったりして、クレイジーなんだけどパワーはあって
でっぷりしてて愚鈍そうだけどためらいなくエメット殺すし怖い~~。
私だったら絶対くじけてハワードの機嫌伺いながら大人しくしとく、って
思っちゃうけど、ミシェルはくじけない。すごい。タフだ~~。
自由は勝ち取れ! って映画なのね。
ハワードの支配下にありながら逃げ道をさぐる、密室サスペンス、ドッキドキで
すごい怖かった。

予告の感じ、とか、前の感じだと異生物との戦い!パニック!みたいな感じかと
思ってたけど、それは終盤のほう、少な目だった。
ミシェルはついに外に出て。そして巨大なナニモノかと遭遇して、んでも
酒瓶を火炎瓶にしてやっつけちゃうんだよなー。すごい。
ミシェルのサバイバル能力がすごすぎる。火炎瓶の一つくらい投げられるのが
普通??? 
そしてまた一人車を走らせて、ラジオで聞いたおそらく安全地帯であろう方向
より、危険なほうへハンドルを切る。
ミシェル、戦いにいっちゃうのか。

あ、シェルターつくってた住所が10クローバーフィールドってことらしい。
これ、クローバーフィールドなワールドがもっと作られていってやがてそれぞれ
繋がったりしていくような感じなのかなあ? 単品なのか? よくわからない。
まあその辺はあまり私は気にしないかな。
緊張感はたっぷり楽しめました。


|

映画「エクス・マキナ」

*内容、結末まで触れています。

映画「エクス・マキナ」


ケイレブは世界の検索を大きく占めるブルーブック社の社員。ある時、社内の
抽選が当たった。社長の屋敷に招待される。
ヘリでゆくその場所は広大な大自然の中、川の側の小さな入口から入ると、
社長であるネイサンがいるばかりだった。
ケイレブは秘密保持の書類にサインするよう求められる。断れば単に休暇を
のんびりすごすだけ。だがサインすれば、社長が密かに進めている研究に協力
することができる。人工知能の研究、テスト。チューリング・テストを試すこと
になるケイレブは、エヴァという女性型のアンドロイドと対面する。

アリシア・ビカンダー?ヴィキャンデルとか?ちょっと名前が曖昧なんだけど、
アリシアちゃんね。エヴァの見た目。ものすごくきれいだった。
人間そっくり、人間みたいだけれども、人間じゃないという。ものすごく繊細な
演技だと思う。滑らかだけれどもなんだか不自然な、そういうのが凄い。
めっちゃめちゃ可愛いし綺麗だしでもクールだし、いやあ、すごい。
アンドロイド? で半分透けてるのも凄かったし、皮膚をはりつけていって
人間ぽくなってヌード、もすごかった。きれいだなあ。

同じく実はアンドロイドだった? キョウコもめっちゃめちゃ綺麗だったー。

ケイレブくんは、いい人。いい人だから。というのがとてもよかった。
ドーナル・グリーソンね。
社長んちにお邪魔して緊張する青年、とか。人工知能との対話にわくわくしたり
面白がったり段々ひきつけられていったり。優秀有能だけど普通にいい人な
青年でとっても素晴らしい。
人工知能ってなんだ、とか、もしかして自分も、って混乱していくのとか好き。
おかしくなっていく感じとてもよかった。

ネイサンは飲んだくれてはトレーニングで汗を流すという、健康なんだか不健康
なんだかって社長。オスカー・アイザック。
決して強引なわけじゃないけどどこか不気味で胡散臭くもあって、そのぎりぎり
こわい感じがすごい。
ドーナルくんもオスカー・アイザックもどっちもスターウォーズフォースの覚醒
だよねえ。全然違う。まあもちろん。プロの俳優なんですから。当然ななけど。
すごい違う。素敵だった。

物語としてはシンプルで古典的だと思う。
閉ざされた世界から外へゆきたいと願い始めること。自我の目覚め?
人工知能だけれど、閉じ込められたお姫様のようでもある。
それを彩るガジェットがとても現代的というか未来的なわけで。
あとホラーテイストもプラスかな。
閉じ込める悪い男への反抗、反乱、か。ネイサンは殺されて。ケイレブくんは
あそこから脱出することはできたのだろうか。わからない。
自由を得たエヴァは、生きていけるのだろうか。動力とかは? わからない。
だけど、しあわせを感じたんだろうなと思う。人工知能だけど。
人工知能、というか、やっぱり人間をつくった、みたいなことかなあ。
あー、フランケンシュタインでもあるわけか。

きれいで。うつくしくて。こわくて。うっとり映画でした。見に行けてよかった。

|

映画「マネーモンスター」

*内容、結末まで触れています。


映画「マネーモンスター」


リー・ゲイツはテレビの投資情報バラエティの司会者。調子よく仕事をこなして
いた。ある日いつものごとく生放送が始まり、先日の株取引事故で8億の損失を
出した会社の広報にインタビューをする予定だった。
だが男が乱入し、銃を突きつけ、リーに爆弾のついたベストを着せた。
株の損失6万ドル。さらに全損失8億をよこせという。
ディレクターのパティの指示を聞きながらも、次第に加害者であり被害者の
カイルの言う事に共感していくリー。
世界へ生中継が流れる中、株取引のバグだという損失の真相を明らかにしていく。


監督ジョディ・フォスター来日で、なんかいいなあ、と。見ようかなとは思って
いたけど、よしぜひ見よう、と思って。
上映時間99分らしい。コンパクトにぎゅぎゅっと詰まっていてすごくテンポよく、
プロフェッショナルなそれぞれが仕事早くて有能でストレスなく見られてとっても
面白かった!
クラシカルで手堅い感じなんだけれども、期待を外すのも上手くて、面白い。
犯人の彼女をつれてきて説得にあたらせる、はずが、株に失敗したって知った
妊娠中の彼女の口から出てきたのは罵詈雑言w カイル可哀想にな。。。って
全世界の男どものイタイ同情が生まれる気まずさと笑い。ヒドイw
でも彼女の言う事すごいわかる正論。アホバカボケクズだよカイル。

リーが呼びかけてカイルがしくじった株価を今から買い戻そう!って呼びかけて
一瞬買いが入って株価あがるのか!? と思わせておいて結果下がるとw
リーの命の価値は。

テレビの中、テレビを見てる人、それを描きだす映画、というメタになってる
感じが現代だなあという気がする。
外に出た時野次馬が集まってて踊ったり盛り上がったりしてたり。
爆弾爆発したら周りのみんな死ぬよ? って、わかってるはずなのにわかって
ない感じ。テレビの前で面白そうに見てる人たち。

会社の勝手な投資の誤魔化し、損失で一般投資家が損をかぶった、ということで。
不正はあった。それを明らかにした。
爆弾はフェイク。
それでも、カイルは射殺されるしかなかったし、テレビの前で一時は息を飲んだ
観客たちは、すぐにこの事件を忘れるだろう。
この映画の観客である私もなんだか後ろめたく。一時の騒ぎを楽しんで、
その結果になんの責任もおうことのない、観客。ネットで騒いだり。あー。

そういう、いろんな方向から描きだしている面白さがすごくよかった。
ぎゅぎゅっとしてるのにそれぞれのキャラ、それぞれが仕事するかっこよさが
ちゃんと見えて好きだった。

さっすがのジョージ・クルーニーだしジュリア・ロバーツだった~。
ジョージ・クルーニーのヒドイ踊りとかも楽しかったw
見に行ってよかった。

|

映画「二ツ星の料理人」

*内容、結末まで触れています。


映画「二ツ星の料理人」


アダムは若くしてパリの二ツ星レストランで名声を得た天才料理人。
だが何か酷いことをやらかして、今はルイジアナで自分への罰として100万個の
牡蠣の殻をむいている。(10万個だったかな。。。記憶曖昧)
牡蠣の殻むきを終えて、ロンドンへ帰るアダム。
かつての友人知人を訪ね、ミシュラン三ツ星をとるべく再起をはかる。


料理人の世界は厳しそうだしがっつり体育会系な感じはしてるけど、この映画でも
厨房はまさに戦場。
料理の修行をしていくとかではなくて、すでに料理人としての腕は確かで、
一流が超一流を目指していく、というのがすっごくかっこいい。天才たちの世界
なんだよねー。話が早い。どんどん進む。

アダムが過去になんかやらかしたらしいのはわかるんだけど、あまり詳しく
説明されるわけじゃない。なんか借金抱えてるとか、かつての恩師の娘を
孕ませて逃げたみたいな感じっぽい。そして、修行仲間の店を潰したりしたらしい。
なんかとにかく、とんでもなく酷いヤツみたいなんだよねアダム。
ロンドンに戻っても、死んだと思ってたとか何したかわかってるのかとか言われる。
それでも、なんだか愛されているアダム。
天才料理人である。
アダムの料理は最高だ、って、認められてる。

でも、料理の世界って厳しい。変化も激しい。一線から離れていたアダムのセンスは
古臭い。フライパンなんて使わない、みたいに言われる。ええっそうなの?(゚Д゚)
かつての仲間、リースが開いているレストランは、科学実験みたいな調理法して、
店内も超モダン。クール。

せっかくアダムがレストランをオープンしても、料理のタイミング合わなかったり
引き抜いてきた料理人たちも調和がとれてなかったり。
苛立ち怒鳴り、テーブルの空きが出たことにショックを受けるアダム。
少しは反省して、テレビに出るぞとか。真空パックや低温調理の機会を教わり
受け入れるアダム。暴君アダムに、アダムがスカウトしたエレーヌがちゃんと
意見するのね。
目茶苦茶だったアダムが少しずつ変わっていく。

ミシュランの調査員らしき客が来たぞ、ってことで緊張感走るけど、なんとか
完璧な料理を仕上げて出す。だけど、そこでミシェルの裏切りにあう。
ソースに唐辛子を混ぜられていたのだった。
ミシェル~~っ。
かつてアダムに店を潰されていた恨みを忘れたわけじゃないんだね。。。
まあ、そうだね。。。
アダムが自分のしでかしてきたことに手ひどいしっぺ返しをくらって。
自業自得で、もう死にたい、って、リースの厨房にいって泣き崩れる。
リースのところへ行くのか~~っ。
リースもまたアダムのせいでレストランやり直したりしてた。
それなのに、翌朝、シンプルなオムレツ作って、アダムを認めて、励まして
やるんだよ。一緒に料理修行した仲間で、お前が一番だよ、って。
シェフとして、トップシェフとしてやっていく厳しさも孤独も知ってるリース
だから。アダムにそういってやれるんだなあ。
このオムレツのおいしそうなこと。泣いちゃう。

戻ってみれば、ミシュランの調査員じゃなかったっぽい、ってわかって、
ホッとする。
そして、再び、仕事にきちんと向き合い、仲間と向き合い、アダムはやっと
本当の再起に向かう。
ミシュランの調査員らしき客がまたやってきた。が。
結果、三ツ星とれたかどうかは、はっきりしないんだよね。あのラストの
トニーとアダムの表情は。三ツ星とれたぞやったー!って大はしゃぎするでもなく
ダメだったってがっくりするでもなく。穏やかに笑い合って頷き合って、と
いう感じだったと思う。三ツ星とれたな、よかった、かもしれないし、ダメ
だったけどまあいいさ、かもしれないし。
結局どっちでもよくて、三ツ星とるために、って必死になるんじゃなくて、
いい仕事していいレストラン作って上手い料理作るよ、って、そういう基本、
本質でがんばってるから、三ツ星の評価とかはまああんまり気にしない、って
ことなのかなと。

無茶苦茶で強引で独りよがりで最悪料理人なアダム、ブラッドリー・クーパー。
すっごいかっこよかったああ~。
かっこよくて、愛されちゃうの。うんうん。惚れられてしまうの。うんうん。
アダムはカウンセリングや血液検査に通えってトニーに命じられていて、
そこでもちょっとずつ心開くようになっていく。
そういう、いろいろな人のいろいろな助けがあって、アダムは立ち直るんだなあと
納得できる。なんかしでかしたことはよくわからないし、だけどまあわからなくて
もいいって納得できる。アダムは自分を罰し、それでもわかってなくて、
人に助けられてやっと、本当に反省するのね。も~馬鹿っ。だけどかっこいい。

でっ。
トニーですよ! 最高の給仕長とかアダムに言われちゃう。
アダムが転がり込んでレストラン強引に、あれ、のっとったみたいな感じ?
父のホテル、レストランを持つトニー。
二人の過去に何があったのかはこれもはっきりとはわかんないんだけど。
トニーはさあ、アダムに恋して破れて、ってことなんだよねえ。
たぶんなんか酷い目にあわされたんだよねえ。
それなのにまたアダムはトニーのところへ帰ってきて自分をレストランに雇え、
ってまたもう強引に~。
トニー健気。可哀想。でもアダムに惚れてるんだよねえ。可愛い。可愛すぎる。

エレーヌの娘の誕生日にも無情なこと言って仕事休ませなかったアダムに、
娘レストランにつれてこさせてて、ランチあげて、ケーキ作れ、って言ったの
最高にかっこよかったし。
ミシュランじゃなかった、ってわかったときにアダムがぶっちゅー!てキス
して笑う相手はトニーなの!も~! トニーがびっくりしちゃっててめっちゃ
可愛い~~~。あ~~。
アダムはさ、トニーがアダムに惚れてるのわかってて甘えちゃうし時に残酷。
朝食を作ってやろうか、とか。
「それは僕を愛せないかわりにか?」
みたいなことをトニーに言われて、うん、みたいな。それって残酷だよー。
もちろんアダムはトニーを好きなんだろうけどトニーが望むようには愛せなくて。
それは仕方ないけどさー。でもー。ああでも~。
アダムもトニーを信頼してる。大事には思ってる。難しい。
そしてトニーはアダムを許す。
厨房はアダムが。店のほうはトニーが仕切って。最高のレストランになる。
トニー。健気だよ。可愛いよ。素敵だった。

なんか全然説明してくれないな、って思ったけど、それは大体な感じが伝わる
のでいいのかなって思えた。テンポよくて人物が魅力的で面白かった。

途中、ちょいちょいフランス語になるのももえる。
フランスで修行してた仲間、みたいなところなんだよねえ。
トニーは、フランス語は苦手よくわからないみたいなこと言ってたと思うけど
ちゃんとアダムと喋ってたところもあったなあ。そういう親密さ、みたいな
感じもとてもよかった。
大好き。


|

『ラスト・ウィンター・マーダー』(バリー・ライガ/創元推理文庫)

*内容、結末まで触れています。


『ラスト・ウィンター・マーダー』(バリー・ライガ/創元推理文庫)


『さよなら、シリアルキラー』『殺人者たちの王』に続く三部作完結編。
三部作、っていっても、前はほんとに続く!で終わって、これはまさに続き!
で始まるので、三部って言い方はどうなのかという気はする。

ニューヨークでのハット・ドッグ事件を追って、単独行動の果てに、FBIの
モラレス捜査官と二人だけでトランクルームに行ったジャズ。
前の終りでは撃たれて倒れ。コニ―はビリーに囚われ。ハウイーはサマンサと
対決して倒れ。
ってところでど~なるんだよおおお、ってドキドキでこれ読み始めて、まあ
それなりにどうにかなって、ひとますはほっとした。死んでない。
でもコニ―は酷い怪我を負うし、ハウイーはまたあやうく死ぬところだった。
ジャズは、ついにビリーと対面して、対決して。
ビリーをとめられるのは自分だけだから、って逃亡してしまうジャズ。
コニ―でもハウイーでもとめられなくなってしまうジャズ。
母が生きていてビリーに人質にとられたと信じ、助けようとするジャズ。

それなのに。
ビリーよりも母のほうが邪悪。母こそがカラスの王だったと知ることになる。
読みながら、ああそんな。やめて。やめて。って、泣きそうになる。
17歳の少年に、負わされる宿命としてはあまりに過酷じゃないか。
ビリーだけでも信じられないほどの苛烈な運命だろーに、母もまた、ってね。
もー。
終盤のほうはずっと目の奥が熱い状態で読んだ。あまりにもつらいでしょ。
ジャズ。
でも、母ジャニスのほうが邪悪、ってなると、ビリーがちょっとしょぼく
感じるようになってしまうのは残念だな~。
しかもちょっと、ビリーのほうが母から息子を守るような存在であった、って。
ジャニスとしては嬰児殺しをやってみたかった、みたいな感じだったけど、
ビリーが、俺の息子をサイコパスエリートに育ててみたい、って、赤ん坊の
存在に夢中になっていた、ということ。
う~~ん。
歪んでいるながらも愛情なのか?? いやあかんて。
母と息子の初体験とか。
もう、めいっぱいジャズに辛いこと背負わせまくりで、作者はどんだけドS
なのかと。

でも、それでも、ジャズには友達がいて、恋人がいた。クレイジーだけど
殺人者ではない祖母がいた。学校にいってたしタナー保安官が気にかけていた。
人は大事、人は本物、って唱える呪文があった。
ほんとに。
ほんとにほんとに。
ハウイーがいてよかった。コニ―がいてよかった。まっとうな大人がいてよかった。

 「きみは立派に育ったよ、ジャスパー」
 「きみに言いたいのは、かわいそうにということだ。本当にかわいそうにな、
 ジャスパー」

コニ―の父がぼろぼろになったジャスパーにかけた言葉のところで、泣いた。
本当に、かわいそうに。
ジャズにそういってあげてよかった。
嗚咽がとめられなかった。声上げて泣いてしまった。一人で読んでてよかった。

エピローグは5年後で、ジャスは自伝みたいなの書いてた。乗り越えた、という
ことかね。そして植物状態の母を毎日見舞いに行く。いつでも生命維持装置を
切ることはできる。それは家族に委ねられた権利だから、犯罪ではない。
母に、いつでも殺せるよ、と囁くジャズは、でも、それは、ちょっと、あまり
健全に乗り越えているとは言えないような気がするけどねえ。

人を殺せる。
人を操れる。
圧倒的な力を持っているジャズはやっぱりどこか決定的に歪んでいて、でも
それを自分の中でコントロールしていくのだろう。
どうしようもなく残酷だと思う。コニ―もハウイーも変わっていくだろう。
ジャズももっと変わっていくだろう。人生は続く。人生は長い。
彼らの、青春小説だったなあ。
ヤングアダルト分類らしいけど、確かにそれはそうだと思うけど、ぐっさり
深く突き刺さってくる小説だった。

シリアルキラーの息子ってなんかそそられる~、みたいに軽く読み始めたけど、
その題材の重さをがっつり描いていると思う。

最初は、ハンニバルな感じ!とか、これ、ジャズがウィルだったら、とか
ああジャズが博士だったら、っていろいろ妄想もしちゃってもえるときめく、
って思ってた。
けどこれだけでもう素晴らしく十分に最高に面白かった。
ハウイーがさ~、もう、すごいよね。コニ―ももちろんすごいいい子で理想の
恋人だけど。ハウイーもほんと理想の親友。やはりここまでジャズに過酷な
運命背負わせるんだったら、やっぱりこの理想の友達と恋人がなくちゃ
やりきれなさすぎる。

もしも映画化だったら~、「クロニクル」の時のデハーンくんだな。というのが
私のイメージ。綺麗な男の子であやうくてでも冷酷で強い。

ジャズたちのしあわせを心から願って、満足の読書でした。


|

映画「デッドプール」

*内容、結末まで触れています。


映画「デッドプール」


ウェイド・ウィルソンは元特殊部隊。今は街でチンピラを痛めつけて小銭を
稼いでいる。
バーで出会った最高にホットなヴァネッサと付き合い始め、幸せな日々。だが、
末期癌であることがわかる。自分の闘病にヴァネッサをつきあわせるなんて
ダメだ。そして、救ってあげますとスカウトに来た男に連絡をとった。
ミュータント化して力を手に入れると同時に癌は治る。だが強烈なストレス負荷
の影響もあり、全身醜くボロボロにただれた姿となってしまう。
病気が治ってもこんな姿じゃヴァネッサに会えない。
ウェイドは自分を変形させたフランシスを追って、血の目立たない赤いスーツに
身を包み、デッドプールと名乗って悪人追跡を始めた。


Xメンワールドなんですね。
アメコミ世界に詳しくなくてあんまりわかんないんだけれども、まあ一応、
Xメン、うーん、ウルヴァリンは知ってる、みたいな程度の私でも、十分
ニヤニヤ楽しかった。

とにかくいい加減で、スーパーパワーはあるけど(ミュータント化した)
ヒーローではない。平和や正義のことはどうでもいい。自分が治りたい。
ヴァネッサと幸せにいちゃついていたい。動機はあくまで自分のため。
R-15。グロさはあんまりは私は感じなかった。お下品さつーか、そういう
のも、あんまりたいしたことないんじゃないかな? と思うけど、それはまあ
個人の感覚。
吹替と、IMAXで字幕と両方見たけど、吹替のほうがまあダイレクトな
感じはあるけど、やっぱりどうにもテレビを見てる気がしてしまうので。。。
映画館ではやっぱり字幕が見たい。英語が聞こえてくるほうがしっくりする。

たぶんネタにしてるいろんなことは、私はあんまりわかってないとは思う。
別に爆笑したりはしなかったけど、くす、とか、ニヤっとか、ぷぷぷ、って
楽しいな~ってなる。

アクションはすっごくかっこいいし!
ラブストーリーだったな~~。ウェイドとヴァネッサと、末永くお幸せにね。
ヴァネッサが、最高のいい女だった~。

デップ―ちゃんの一人称が「俺ちゃん」なの最高だよね。
可愛くてふざけてる。
がんばっちゃうぞ、って戦うのかっこいい^^

第四の壁、というのも初めて知ったわ。キャラがキャラの自覚あって、
観客のほうへ語りかけてくるのね。楽しかった。

世界一セクシーな男、ライアン・レイノルズのおふざけがめっちゃ楽しめるし。
燃えて全裸になってのアクションもあったし。
ヴィーゼルくんだっけ、友達の彼もいいキャラだった。
Xメンな銀色の大男、生真面目キャラのコロッサスもいいし、不機嫌なヤングの
ネガソニックちゃんも可愛くてかっこよかった。
やはりさすがアメコミなのか、みーんなのキャラがすごくよかったなあ。

悪役の、フランシス。彼もめっちゃかっこよくって。英国人の悪役ねw
めっちゃかっこいいねってぐぐったら、トランスポーターイグニッション
やってたらしい。見たいな。

そして悪い奴はやっつけて。
ヴァネッサは別に外見なんか気にしなくて。
WHAM!のケアレスウィスパー最高!

エンドロールのあとにもちらっとデップ―出てくるからね。
続編はどうとかなんとか。どーなのかな。ほんとに続編あるのかな。
ケーブルが出てくるよ、っていってたけど、私、誰だかわかんない。
けど続編あったらまた見たい~。楽しかった!

|

『殺人者たちの王』(バリー・ライガ/創元推理文庫)

*内容、結末まで触れています。


『殺人者たちの王』(バリー・ライガ/創元推理文庫)


<ゲームへようこそ、ジャスパー> ニューヨークで起きている連続殺人の
捜査の参考に呼ばれたジャズに、メッセージが残された。まさか、この事件にも
ビリーが関わっているのか?

シリーズの二作目。三部作だそうなので次で決着つくのかなあ。
『さよなら、シリアルキラー』だと一旦終りという感じだったけど、これは
もう、えっ、ここで終わり? 続く!だね!全然終わってないね!どーなるのっ!

ドッグ・ハットと呼ばれる、秩序バラバラに見える連続殺人事件。
ニューヨーク市警の刑事、ヒューズがプロファイルの助けをしてほしいとジャズ
に頼みにくる。けど、最初のそれは独断で。次には正式な依頼で。
でもいくらなんでも高校生に頼むかなあ。
と、まあ、そうでなくちゃ話にならないんだけど。ビリーがいかにこの世界で
名前とどろかせているかってことだね。

最初はニューヨークなんて嫌だ、って感じだったジャズ。人が大勢いるのは
危険だ。あまりに沢山の匿名の人の洪水。人は大事で、人は特別、と自分に
言い聞かせていることが難しくなって。一人くらい、という風にぞんざいに
なってしまうのに怯えて。
離れていてもとてつもないサイコパス、シリアルキラーである父の圧倒的支配
に怯え苦しむジャズ。
今回、ニューヨークに行くことになって、コニ―やハウイーと離れてしまって
心配になる。
コニ―がまたついていくって、行っちゃうし。
コニ―は素晴らしくて魅力いっぱいだけど、ジャズのこと大好きでそれはいい
んだけど、ジャズのために、って無茶を重ねていくのが読みながらもう心配で
心配で、正直途中殺されちゃうんじゃないかと怖くて、だってコニ―を失う
ことになったらジャズには辛すぎる。辛いどころじゃない。こわい。
って、怖くて心配で途中読むのを結構長い間休んでしまった。怖いでしょ。
たのむからコニ―、おうちでじっとしてて。いい子にしてて~。
でもそれじゃあ話にならないから。ってわかってるわかってる。でも心配~。
って、心配してたら、なんかハウイーのほうが、ビリーの姉が実はあやしいの
かもしれない?ってんで、問い詰めようとして倒れてって。
も~~~っ。ハウイーも心配だよ~~~っ。
これどーなったんだろう。
悪いけどジャズの祖母は死んでもいいけど。ハウイーは無事なのか??
どーなの~~。
って思ってたらコニ―はビリーにたどり着いてしまった!
ええ~~ど~なの、ビリーに会ったりしてコニ―は無事に帰れるのっ???
続き、続きを読まねば早くっ。

実は二人なんだ、ビリーはモノポリーで遊んでる、って気づいて、事件解決に
向かうかと思いきや。ジャズのスタンドプレーで証拠は証拠にならないし。
警察やFBIの正式な協力は得られないのでモラレスと犯人の隠し場所に行っ
たら、犯人と遭遇。ジャズ、撃たれたっ。
どーなの~~ジャズは大丈夫なの??

まあ、三部作だから。ジャズはなんとか助かるんだろうわかんないけど。
コニ―はどうなるの。
ハウイーは無事なの??
すっごいひっぱられたー。
3つめ、読む。早く読む。

それにしてもほんと、ビリーはどれほど頭いいんだろう。
どんな計画を描いていたんだろう。
こわい。
最強のサイコパス、ビリー。後継者たるジャズ。でも父と息子ではないかも
しれない、って疑いも兆してきて、二人の関係もどうなっていくのか、
怖すぎる。もえすぎる。
この世界線にはハンニバル・レクターがいないことになってるんだろう。
でも、ビリーはレクターを連想させるし。
ヤバい。もえる。
子どもウィルをサイコパスエリート教育し育てあげるハンニバルとか。
少年ウィルをどんなに離れていようと支配しているハンニバルとか。
妄想が。ひろがりまくる。あ~。
小説自体がものすごく面白いし、読みかえ妄想してももえる。
凄いなあ。
早く続きを読まねば。


|

« May 2016 | Main | July 2016 »