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映画「ズートピア」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ズートピア」


動物たちが進化して暮らす世界。大都会ズートピアは、誰でも望んだものに
なれる自由な街! そう信じて、ウサギのジュディは、世界をよりよくする
ために、警察官になりたいという夢を努力して叶えた。配属された署ではしかし
小さなウサギの女の子は軽んじられ、駐車違反を取り締まれ、と命じられる。
努力して優秀な成績を収めて警察学校を出た。もっと警官らしい仕事がしたい
ジュディ。
ふと目にとまったキツネの様子を伺ってつけていくと、子どものために、と
アイスキャンディーを買っていたはずのキツネが詐欺師だとわかる。適当に
あしらわれて落ち込むジュディ。
たまたま、行方不明の夫を探して、という頼みを聞いて人探しを始めるジュディ。
本当は14匹もの肉食動物連続行方不明事件の捜査をしたいのに。
だがキツネのニックに無理矢理協力してもらいながら手がかりを追ううちに、
ジュディは連続行方不明事件解決にいたる。
喜ぶジュディだったが、自分の失言が酷い誤解を生むことになり。そしてさらに
事件には裏があった。

そんなこんなの、ディズニーアニメで動物たちが主人公!でありながら、
自由で平等なはずの<楽園ズートピア>が建前上の話で、実際には差別偏見
軋轢に満ちた世界であることを描くバディムービー。
ユートピアなんて幻想なんだよ。

ディズニーアニメだろ、と、どうせ私にはいまいちかなあ、と思いつつも、
ニックとジュディのコンビな感じがすごくよさそうで、評判もよくって
見に行った。
子どもより大人が現実問題を考えさせられる、というような評判が多いように
思う。

でもそこはそれさっすがのディズニーアニメ。
諦めないで頑張るウサギの成長物語! ってシンプルでもある。
諦めて夢を失っていたニックが再び前を向いて一歩踏み出す物語!でもある。
まっすぐ正義にひたむきなジュディと、どうせずるがしこいキツネ扱いされる
ならそうなってやるさ、とひねくれたニックとの凸凹コンビが事件を解決!
って、すっきりでもある。

だけどそう明るいシンプルな筋に至るまでのぐねぐねした影や間違いや
善意のはずの偏見や差別が、かなり丁寧に描きだされている。こわいわー。
自分の正義を信じることや、よかれと思ってするアドバイスが無自覚な差別
偏見に満ちていたり。主人公ジュディすら自分の夢や希望正義に猛進する
あまり、考えなしにダメ発言をしてしまうとか。自分の中の差別に無自覚で
あった、とか。
辛い。

辛いけど、でも、そこはまたさっすがディズニーアニメ。ちゃんと謝って
さりげなくも優しく許しの手は差し伸べられて。
黒幕発見、事件は解決!

面白かったなあ。
本音と建て前みたいなこととか、動物になぞらえて、本性は獰猛とか言ったり
かわいこちゃん~って軽く見られたり、キツネはずるがしこいに決まってると
決めつけによって純粋な心をあらかじめ損なわれてしまったり。
そういうことを描きながらもちゃんと面白くエンタテイメントに仕上げてる。
いやいやそう都合よくいくか?そんな簡単に許すか?とか、いろいろ個人的には
もうちょっと~と思うけど、でもやっぱそこはさすがのディズニーアニメだから。
私の個人的好みとは違っても仕方ない。

ニンジンの録音機能付きペンとかさ。ブルーベリーをうまいこと使うとか、
冒頭の子どもの劇と最後での騙しの芝居とかね。
ほんといろいろと小道具や伏線使うのが上手い。うまーい。

可愛いとかヤメテ、って言われちゃうけど、やっぱふわふわもふもふ動物たちの
毛並みとか可愛いし。ちっちゃくても元気いっぱい、ジュディの耳がピン!と
立ったりきびきび音を聞いたり、落ち込むとぺたんとしたり、くるくるよく
動くのめっちゃ可愛い。鼻がひくひくするのも。足が強いのも。
ニックは~やさぐれちょいワルで、でもジュディに協力するうちについ子どもの
頃のこと話しちゃって、可愛いし。ホントはボーイスカウトみたいなのに
入りたかったのに、意地悪されて口輪つけられたりして。く、口輪っ。

ものすごーーくマイルドにした「羊たちの沈黙」でもあるような。
優秀な若い女性が事件捜査にあたるが軽く見られてピンチになったり、でも
結局は彼女の力が道を開くとゆー。悪いやつの協力を得て。

ニックとジュディのコンビの距離感がほんとよくってステキだった。
反目から仕方なしの協力ドタバタ、距離が近づいたかと思ったのに決裂、
謝罪、許し、そして解決、ほんとの相棒となるべくしてなる、ラスト。

こう振り返ってみると基本的にはまったくのベタで王道で。でもその味付けや
表現、ぎゅーっと要素物語つめこみつつも、ちゃんとわかりやすく面白く伝える
テンポや技術が、ほんっと~に凄い。
深読みはいくらでもできるポイントあるし、でも動物ちゃん可愛い~って
ふわふわ見てても十分楽しいし。
凄いわ。

結局はないがしろにされてた副市長による陰謀で、肉食動物を排除して、
多数派である草食動物の世界にしたいってことだったんだけど。
羊、ふわふわ善良可愛い、ってのが逆手にとられていてこわいわ。ヒツジ、
羊たちの沈黙なのでは。

いろんな動物の世界だけど、人間という動物はいないのね、この世界。
まー擬人化世界だけどー。

吹き替えで見たのだけど、字幕で英語で見たかったなあ。
なんか字幕での上映してるところが少ない。まー吹き替えもいいんだけど、
もうちょっと選ばせてくれてもいいんじゃないのかー。難しいかなあ。
ともあれ、楽しませてもらった。評判通りすごかった。
ニックには惚れざるをえない。あーん。可愛いかっこよかったよ~。

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