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『交霊』上下(ラーシュ・ケプレル/ハヤカワ文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『交霊』上下(ラーシュ・ケプレル/ハヤカワ文庫)


ビルギッタゴーデンは問題を抱えた少女のための自立支援のための私立の施設。
薬物依存を抱えていたり精神的な問題から自傷行為や乱暴な振舞をするものもいる。
更生施設は強制的な鍵のついたところが多い中、ビルギッタゴーデンには自由が
ある。在宅治療のための準備をするのだ。
そこに暮らす8人の少女。夜勤はエリザベト一人だった。
発見される無残に殺されたミランダ。エリザベト。逃げ出したヴィッキー。
犯人とみなされるヴィッキーは逃走中偶然見つけた車と、その中にいた小さな
男の子と姿を消す。
事件は本当に少女であるヴィッキーが犯人なのか。
国家警察のヨーナ・リンナは内部調査の対象になっていながら、アドバイザーと
して捜査に加わる。
事件を見た、何度も警察に電話をかけてくるフローラという霊媒師の情報に、
公にしてない凶器の話があり、ヨーナは話を聞きに行く。フローラが見たという
少女の幽霊は本当なのか。


シリーズの3作目。ヨーナ・リンナのことは覚えてるけど、前作『契約』のことを
読んだはずだけど私あんまり覚えてない。ヨーナはその時なんか規則違反か
暴走だかして今作ではお叱りの最中みたいなんだけど。でもガンガン捜査して
いってます。「相棒」の右京さんみたいな感じか。

ヴィッキーは治療のための薬の影響で凶暴になることもある、とかで犯人と
みなされるものの、それは真犯人の罠だった。
犯人はダニエル。実はフローラの兄でもある。少年の頃の最初の殺人を目撃
していた幼いフローラが、封印していた記憶が今蘇って、幽霊のように感じた、
ということで「交霊」なんですね。途中まで、フローラが、インチキ霊媒師で
あるもののこの事件に関してだけは本物なのか? という不思議が面白かった。
ちゃんとそれなりの理屈におさまってよかった。

問題を抱えた少女を取り込み、離れると周到に計画して殺す。ダニエルの酷さが
えげつない。怖い。
途中、ヴィッキーをなんとか見つけ出す、とか、クライマックスも、やっぱり
映画みたいにじれったさいっぱいのすり抜けっぷりが盛り上がる~。
一作目は映画化されたようで、見たいけど見られてないなあ。ちゃんと面白く
映画になったのかしら。

それと、ヨーナの過去が少しわかってきた。
12年前、ユレック・ヴァルテルという恐ろしい連続殺人鬼をヨーナと相棒が
逮捕した。その時の呪詛、家族を消されるという恐怖。相棒は実際ユレックの
云った通りに破滅した。ヨーナは家族を守るために、妻と娘を死んだことに
して、隠し離れた。一度も会っていない。
だが、妻が癌で亡くなりそうだ、とわかって、ついに会いに行く。娘は15歳に
なっていた。でも会わず名乗ることなく去るヨーナ。

精神科の強制収容でユレックは怖れられながらひっそり生きている。ヨーナへの
恨みは忘れていないようで。
ってあたりで終わり。

これはまだ続き出るのかなあ。これ出版が本国では2011年でこの文庫は2013年刊。
本国では4作目出てるっぽい、ような。翻訳は多分まだ。
なんか、フランス語版を訳してさらにもう一度スウェーデン語版とあたりつつ
チェック、みたいに訳したらしい。北欧ミステリ、翻訳大変なのね。でも
がんばって訳してください~続き出してください~~。
これもまたレクター博士の呪縛って感じがあるけど、どーするのか読みたい。

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