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映画「レヴェナント 蘇えりし者」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「レヴェナント 蘇えりし者」


23日に見に行ってきた。

開拓時代。ヒュー・グラスは毛皮を獲る一団のガイドとして深い森の中にいた。
そこへネイティブアメリカンの一族が襲ってくる。
せっかくの毛皮もわずかしか持てず川へ逃げる一行。そして砦へ戻るために
さらに襲われる危険の高い川を離れて森の中をゆく。
偵察に一人先を行ったグラスはグリズリーに襲われ、戦いなんとか一命はとり
とめたが、身動きできない重症を負った。
グラスを応急手当し、連れてゆく隊長だったが、山を越えることは無理だと
苦渋の決断。そして息を引き取るまで、息子と付き添うように二人残れと命じる。
グラスや隊長のやり方に反発してきたフィッツジェラルドが、ボーナス目当てに
残ると申し出る。
自分が生き残るため、グラスにさっさと死ねと囁くフィッツジェラルドだった。

ディカプリオがやっと、やっとオスカーをとった! と、今年のアカデミー賞
目玉の作品ですね。やっと日本にもきたー。
目の前で騒ぎ出す息子を殺されたディカプリオの目をむく唸り声の迫力。
一度死んだ身になって、息子を奪われた復讐に生き延びる為なんでも喰う、
なんでもやるディカプリオ迫力ありすぎる熱演でした。
もちろんスタントさんがいてどのくらい代わってやってるのかはわかんないけど
ディカプリオもスタントさんもほんっと大変だったろう。あんなどろどろ無茶苦茶
やるのか~。こわい~。

復讐劇、だけれども、大半は、大自然大自然圧倒的大自然の中、グラスの呼吸を
きく映画だった。
自然の音。水の音。グラスの息。唸り。サバイバルする独りっきりのグラスの
シーンが大半なので、セリフは少ない。
フィッツジェラルドとか隊長たちのシーンくらいしか会話ないもんねえ。

一度は息子が生き延びる為に、と、自分が死んでもいいと、フィッツジェラルド
に頷いてしまったグラス。
でも映画冒頭から、息をしろ。生き続けろ。息をしろ、と繰り返されてきた。
先住民との間に生まれた息子を抱いて守って生きろと育ててきたグラス。
息をしろ。
息をしろ。
生きろ。
ずっとグラスの息を聞いて、時にはカメラを曇らせる息を見て。
カメラ近いんだよね。近い。ぐるっとまとわりついてグラスの姿を見せる。
観客である私もこう近づいて密着してく。だから息が聞こえる。ずっと。
物凄い大自然と物凄いディカプリオを堪能でした。

フィッツジェラルドのトム・ハーディも、姑息な自己中な悪人なんだけど、
あの状況で、わが身可愛いになっちゃうのは仕方ないという気もする。
息子が騒ぎ出すから殺すとかもうほんと酷いんだけど。
あの時クマに襲撃されていなければ、なんだかんだいいつつ一行はなんとか
砦へ帰りつけて。別にフィッツジェラルドが人殺しにまでなることはなかった
だろう。うーん。厳しい。

あんな中でも隊長はいい人で、まっとうに規律を守ろうとする。
あんな中だからこそ規律というもので統制するようにしなくちゃダメかな。
でもラスト隊長自ら捜索に行かなくてもいいのでは、と。隊長やられちゃうし。
自分がした決断、自分が残れと言ってしまったフィッツジェラルドを絶対に
許せない、ということなんだろうけど。嗚呼。

先住民族のことも、大自然、神秘の存在のように描いているなあと思った。
攫われた娘を探して彷徨い追ってくるんだけど、ラストにグラスも神に委ねる、
みたいにフィッツジェラルドを彼らのいる川へ流してしまう。
そして死の裁きが下る。
なんとなく娘を助けていたおかげで、グラスは死神の手を逃れた、という感じ
がした。
復讐劇、だけれども、ひたすらに、グラスという男の死と再生の物語だったか。
グラスと自然。白人社会において先住民と子どもをもうけた異質なものとなった
グラスが、死に大自然と対峙し神に身をゆだねるという感じ。
極めて個人的な物語。
とてつもなく厳しく、だけど美しい世界だった。
IMAXで見たの。巨大スクリーンといい音で見られてしあわせだった。


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