『火星の人』(アンディ・ウィアー/早川書房)
*ネタバレ、結末まで触れています。
『火星の人』(アンディ・ウィアー/早川書房)
マーク・ワトニーは火星に取り残された。
アレス計画3で、火星でミッションを行っている最中、突然の砂嵐によって作業
は中止。あまりに強い嵐から避難し予定を切り上げて火星から飛び立つMAV。
ワトニーは、砂嵐に吹き飛ばされ、死んだとみなされた。当然の判断だった。
だが、ワトニーは生きていた。
てことで、映画「オデッセイ」の原作読みました。
勿論映画よりは細々とミッションのこととか、ワトニーが苦労して生き延びる
方法を試していくとか、ジャガイモをなんとか育てようとするとか、ローバーを
改造するとか、長距離移動して次のMAVを目指すとか、その途中に起きる
トラブルとかいろいろいろいろ描かれている。いろんなことが起きて、一つ
ずつ問題をクリアして、ワトニーが考えたり寝たり働いたりしてる。
でも基本的にワトニーは明るいし、軽いし、「ぼく」一人称で、さくさく読み
易い。がっつり科学的、なんだと思う。私に科学的知識とかほとんどないから
ちゃんとはわかんないけどね。でもちゃんとリアルなんじゃないかなあ、と、
感じさせる。凄い。
私は映画が先だったので、まああらすじとしてはわかってる。
そして映画大好きだったので、映画の補完になるな~と満足しました。
でも当然これを先に読んでもワトニー大好きになってると思う。
映画見てよかったのは、やっぱり宇宙船とかさ、重力の感じとかさ。
赤い火星にぽつんといるワトニーとかね。宇宙服。ハブ。自分のイメージだけ
では映像が見えないようなものをスクリーンで見られていたのはよかったなあ。
あと音楽ね!
いっぱい音楽が実際に聞けるのは最高。
たくさんのテレビシリーズとかも見られるといいけどな~。ま、仕方ない。
アメリカの文化、サブカルとか? を、あんまりはわかんないわけで。
軽くふわふわ、やれやれ、って感じで進むんだけど、たまに、ぐっとシリアスな
ことも描かれる。当たり前なんだけどね。まさに文字通りに死と隣り合わせで
いる。ワトニーはもちろんながら、ヘルメスのクルーもさ。
ワトニーを迎えに行く、って決めて、そしてもしいろんなダメだったら、の
プランを、ヨハンセンが地球の父との通信の時に話すシーンがあった。
ヨハンセンだけを生き残らせて、全員死ぬと。そして食料を切り詰めて、そして
それでも足りない日数分、食料とするものは。
名言されてるわけじゃないけどもうね。ここまでシビアな中での決意か、と、
ハッとしてしばらく読めなくなった。そうだった、って、思って泣いた。
本と映画は結末が違う、ということは知ってて。本だと、映画よりはもう少し
クールに淡淡と、ヘルメスにワトニーは戻ってこられて、そして助かったと
いうことで終わり。
映画だと地球に戻ったワトニーがいた。
どっちも素晴らしく、どっちも最良だと私は思う。クール!
映画も本も幸せな体験でした。
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