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野田地図 第20回公演「逆鱗」


*ネタバレ、結末まで触れています。


野田地図 第20回公演「逆鱗」
作・演出 野田秀樹

松たか子 瑛太 井上真央 阿部サダヲ 池田成志 満島真之介 銀粉蝶 野田秀樹

10日のマチネを見に行きました。@東京芸術劇場

どういう話なのかまったく知らずに見に行った。

水族館に巨大な水槽が設置されるところから始まる。これから、人魚を捉えて
展示する予定の場所。
届けられる電報。他の人には見えない沖の船が見えるという電報配達の青年。
沖の船を恐れている人たち。
水族館に目玉が欲しい館長と、そこにつけこむ人魚学の博士と助手の娘。
助手のザコは館長の娘でもあった。
そして、海底に棲む人魚。

人魚を巡って捕まえるとかどうとかのドタバタがあり、でもちらほら挟まれる
言葉、シーンで、あー戦争のことが? と思っていたら、終盤わかる。
人魚とは人間魚雷。特攻作戦に散った回天の話だった。

相変わらずの言葉遊び、連想から膨らむめまぐるしい展開。
楽しく盛り上がって、時折挟まれる不穏な闇の気配から、最後まで一気に
たたみかけられる。135分、休憩なし。魅入られた。

舞台を動き泳ぎ回る魚たち。くるくる仕切るボード。衣装も可愛い。
頭のない巨大な魚とかもちろん明らかに作り物なのに不気味ですごい。
あがったり下りたり、ハッチや水槽の縁になる階段の所好きだった。
わざわざ二回まわるのね。その高低の感じ、可愛かった。

澄んだ瞳の青年が満島真之介で、あーもー確かに澄んだ瞳きらきら、その目、
ああ~っと、やられる。
目がいい、電報を持ってきた青年、瑛太。なんだかほわんとした好青年、それが
巻き込まれ戸惑い苦しむ。
青年たちの死を抱えた人魚。松たか子の語りに始まって終わる。回天の回想の
物語だったのね。

こんなにも、こんなにも、言葉の魔術師つーか変幻自在に言葉を使いぶつける
演劇の、ラストには、もうなんの言葉も放つことはできず、ただ、悲鳴があがる。
悲鳴が。

海の死は死んだ者の時間が溶けだして塩になり、しょっぱくなる。
時間の塩、というのは胸に刺さった。

NINGYOの悲鳴、松たか子の最後の叫びで涙腺決壊。びしょびしょに泣いた。
どんな言葉も出ない。

帰りに「新潮」3月号買ってしまう。「逆鱗」の台本載ってたから。
見終わってからまた初めから言葉を追うとよくわかるし刺さる。
こういう舞台をつくったんだなあ。見に行けてよかった。


 「……私の咽頭部から喉頭部へとつづく、少し手前の筋肉から、音のような
 ものが出て……」

 NINGYO            松たか子
 モガリ・サマヨウ       瑛太
 鵜飼ザコ           井上真央
 サキモリ・オモウ       阿部サダヲ
 鵜飼綱元           池田成志
 イルカ・モノノウ(イルカ君) 満島真之介
 鰯ババア(逆八百比丘尼)   銀粉蝶
 柿本魚麻呂          野田秀樹


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