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映画「ヘイトフル・エイト」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画「ヘイトフル・エイト」

クエンティン・タランティーノ監督の西部劇。
南北戦争後。駅馬車に乗り合わせたのは、賞金首のデイジー・ドメルグを捕まえて、
町まで連れて行く途中のジョン・ルース。黒人、賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン。
新任の保安官だというクリス・マニックス。
吹雪から一時避難すべく、ミニーの洋品店という小屋にとどまる。
そこには先客がいた。ミニーに店を預かったというボブというメキシコ人、
絞首刑執行人のオズワルド・モブレー、カーボーイのジョー・ゲージ、元将軍と
いう老人サンディ・スミザーズ。
吹雪に閉じ込められた8人、中には知り合いがいたりして、偶然なのか、彼ら
は名乗った通りの者なのか、互いの疑いがぶつかり合い、緊張感が高まっていく。


1章、2章って感じに本のように進む。上映時間が168分らしい。行く前にあまり
チェックしてなくて、そんなに長いと思ってなかった。出てから時計見てびっくり。
始まりのあたりは正直うとうとしてしまったり。じわじわとくるの。探り合いの
会話の緊張が高まり、そして爆発しては次々と、って感じに怒涛のクライマックス
には心の中でぐへえうええあああ~、とうめいてしまう。
やはりさすがタランティーノ監督、って言うしかない。

8人が8人ともクセの強いキャラで、それぞれの個性が小屋の中で徐々にわかって
くる感じ。ミステリ仕立てですかね。
一度ぐわっときてから、その日の朝、って戻って、実はこいつらはこういう奴、
って、小屋にいた側の事情がわかる。嘘つきは一人じゃない。全員だ。
デイジーのキャラが中でも強烈だったなあ。もう全員強烈なんだけど、でも、
すごいあれこれで汚されて、大迫力。怖い~~。
そして実は地下にもう一人いて、それがリーダーで、デイジーの弟で、姉を
助けるべく待ち伏せしていたんだけど、でもあっさり殺される。うわ(゚Д゚)
出番少しで可哀想ね。じっと地下で我慢してたのに;;

途中、マーキスが元将軍の息子をいたぶって殺してやった、という話をする。
それがもう、ひどくて。雪の中裸で歩かせて、いう事を聞けば毛布をやる、って
自分のをしゃぶらせてやった、って言う。想像してるだろう?って、将軍の
こともいたぶるのだよ。こわいよ。すごいよ。
私は南北戦争のこととかあまり知らなくて、黒人差別のこともちゃんとは知らなくて
でもそんなこんなを語って高笑いするサミュエル・L・ジャクソンの迫力は
凄かった。

基本的には会話劇でそれぞれがじわじわと探りながら喋る感じが凄く面白かった。
そして最後には全員血まみれのド派手さ。
マーキスもクリスも、あれはきっと死ぬよなあ。。。あの小屋を発見する人に
だけはなりたくない。。。

全編70ミリフィルムで録りました、とのことで、細長い画面。
雪の中をゆく6頭立て馬車、素晴らしくうつくしい。吹雪の中、孤絶している
ミニーの店の遠景も素晴らしい。
小屋の中。シチュー。コーヒー。コーヒーは重要ポイントだね。あの雑さ、
どうやっていれたんだろう。まずそう、でも美味しそう、こわい。
ずうっと吹雪の音。クラシカルな音楽。
長時間集中、という意味でも、私はこれ映画館じゃないと無理だと思った。
強烈さ、後味めっちゃ悪い、怖い汚いうげえ、だけど見てよかった満足です。

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