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映画「スティーブ・ジョブズ」

*結末まで触れています。


映画「スティーブ・ジョブズ」


1984年。マッキントッシュ、新作発表会直前の舞台裏。
コンピューターに「ハロー」と言わせることにどうしてもこだわるジョブズ。
だがマシントラブルでそれができない。それでも、どうしてもなんとかしろ、と
命じるジョブズ。
ポケットからスムーズにフロッピーを取り出せる白いシャツを見つけてこい、
とか、始まりを遅らせることは絶対ダメといいながらなにもかもなんとかしろ、
と命じるジョブズ。
まだ幼い娘と母親が訊ねてきて、生活に困っていることを訴えられるもそっけ
なく。父親ではないと言い張る。

新作の発表会直前の舞台裏、という限定した時、3回のくりかえしと変化。
122分。圧倒的に繰り広げられる会話劇。
入れ替わり立ち代わり、ジョブズの元へ人々がやってきて何事かを訴え、
強引にあるいはスルーして対処し命令しこなしていくジョブズ。

監督ダニー・ボイル。脚本アーロン・ソーキン。主演マイケル・ファスベンダー。
私はapple信者ってほどではないけれど。本は読んだし、最初のiMacを
見てびっくりして欲しい欲しい!ってまんまとのせられて買ったくち。
映画この布陣でどんなにか面白いだろうと期待して行った。

ともかくも、ジョブズのドラマをああいう場のひと時に限定して物凄い会話劇
で見せきってる、きりとってるのがすっごいな~と思う。
いやいろいろ、そんなわけないだろう?? とも思うし、ドラマチックだ凄い、
とも思う。ジョブズ以外の関係者はまだ生きてる、よな? まだ誰かの伝記と
して客観的になんて無理だと思う。それをこうドラマに仕上げてるの凄い。
それに、まあ実際何がどうだったかなんて、わかるわけない。
わからないなあ。という印象が結局強く残った。

ジョブズが成し遂げたことって、わかんないんだよねえ。
たまたま、とか、運よく、とか、なんか、でも、それを掴んだのは間違いなく
ジョブズで、でも、彼自身のことって、結局どんなに語られても本を読んでも、
わかんないの。
オーケストラの指揮者のように、楽器を弾くのではなく、楽器を弾く人間を
集めて演奏を作り上げる。エンジニアやデザイナーや、マネージャーを集め
使ってコンピューターの未来をつくる。
と、言ってみたところで、ん~。わかんないんだよねえ。

appleコンピューターを作る話ではなくて、ジョブズその人のドラマという
映画だった。
ヴォズのことだけは、好き、な、ジョブズにああ~なんか~。ヴォズって天使
だったのかな? と思う。愛すべき穢れなきコンピューターオタクな大事な
友達、なのかなあ。
そして娘のことを、頑なに父親ではないと拒否して、でも最後にはやっぱり
向き合いたい、って感じに。どんだけ長い歳月をかけているのよ。
養子であったことにわだかまりがあるように描いていたり。
徹頭徹尾ジョブズその人が中心にいて山ほどセリフ喋って会話対話命令して、
でもジョブズのこと、わかんないなあってなる。凄い。

舞台袖で、ほんとに直前まで大変で、でも、ステージの光の中へ出て行く時には
ゆったりと、微笑みながら行く。大事な新作コンピューターのある舞台へ。
コンピュータが作り、変える未来を、世界を、信じて愛しているんだ、という
ことはわかる。それだけで、いい。
見応えありました。


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