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『もう年はとれない』(ダニエル・フリードマン/創元推理文庫)


*結末まで触れています。


『もう年はとれない』(ダニエル・フリードマン/創元推理文庫)


バック・シャッツは元メンフィス署殺人課の刑事。現在87歳。
ラッキーストライクを吸い続け三五七マグナムをしっかり握って寝ている。
それでももうパンチを繰り出したところでひょろひょろ、憎まれ口は叩けても
体は思うようには動かない。
そんなシャッツの昔からの知人に、病床へ呼び出される。かつてナチの残党を
見逃したことがあるというのだ。ユダヤ人であるシャッツはナチに囚われていた。
収容所で死にかけたことのあるシャッツに、今更の告白をして男は死ぬ。
遙か昔の出来事。
そいつが生きているとしてもよろよろの老人だ。だが、密かに金の延べ棒を
たっぷり隠し持って逃げてきているとしたら。
もう関わりたくないはずのシャッツだが、秘宝を狙う男たちにせっつかれ、
謎を追う事になる。


主人公はおじいちゃん。といって可愛いおじいちゃんじゃなくて、気難しい
クリンスト・イーストウッドってところ。孫のテキーラと一緒に元ナチの男を
探し出し、金塊を見つけ出す。
面白かった。けど、まあまあ普通な面白さ、かなあ。
すでに映画化みたいに訳者あとがきにあったけれど、映画でテンポよく見せられ
たほうが楽しいのかもしれない。渋かっこいいおじいちゃん俳優とちょっと
可愛げのある孫くんコンビでナチの隠し財産を見つけ出す、ね。

忘れたくないノートとか、シャッツのままならない内心の独白とか面白く
読んだけど、実際のところ老いとは、というのはどうなんだろうねえ。
作者は孫の立場あたりでこの物語を書いている。うーん、果たして87歳
おじいちゃんというのはこれでいいのかなと思わなくもない。連れ添ってきた
妻ローズにはなんといっても頭が上がらないとか結局は言う事聞いちゃうとか
もし妻がいなくなったらどうしていいのか、考えることすら嫌で逃げてしまうとか。
シャッツの生活的なところがちょっとステレオタイプすぎないか。

あとメンフィスとか、地域性みたいなことが私にはピンと来ないので、結局
刑事のランドールがダークサイドにってことになっちゃった感じも、まあそんな
もんかなあ、と、さっくり思うしかなくて、うーん。もうちょっと刑事さんの
ほうにも踏み込んでほしかった気がしないでもない。実はお前か、という真相
明らかになるところが慌ただしく感じた。

二作目もすでにあるようで、シャッツ、さらに年取ってるのかな?? 大丈夫?
と、気になる。読んでみたくはある。けど、どうかな。映画化になったら
見てみたい。

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