『007 ロシアから愛をこめて』(イアン・フレミング/創元推理文庫)
*結末まで触れています。
『007 ロシアから愛をこめて』(イアン・フレミング/創元推理文庫)
ロシアでスパイ作戦と暗殺を担当しているスメルシュ二課。ドノヴァン・グラントは
そこで活躍していた。
いくつかの敗北を取り返すため、スメルシュは派手な標的を探し、目を付けたのは
英国諜報部で活躍目覚ましいジェームズ・ボンドだった。この男を恥辱にまみれた
死においやり、西側の面目をつぶしてやるのだ。
まずとびきり美しい女が選ばれる。そして彼女自身にも秘密裡のまま、綿密な
計画が練られた。
映画を見たことは、たぶんない。テレビで一部くらいは見たことあるのかなあ。
でも記憶にはない。
前書きみたいなところで、スメルシュは実在する、この本が書かれた1956年
頃には勢力四万人ほど、だって。凄いな。
お話はがっつりハニートラップ。かと思いきや、始まりはグラントがいかに
暗殺者となり昇進したかとか、ロシア側でどのように計画が立てられていったか、
そしてようやくボンドの出番。美しいスパイ、タニアは、計画の駒として利用され、
あやうく味方に殺されるところでした。
トルコで女と、手土産の最新暗号機を受け取るためにやってきたボンド。
現地で協力してくれるケリムとふらふらしてたらなんかジプシー女の喧嘩に
巻き込まれそうになったり。いつロシア美女と恋におちるんだよ~~となかなか
焦らされました。
オリエンタル急行での旅とか、セックススキャンダルに陥れて殺すとか暗号機が
絡むとか、派手な事件になりそう!とはいえ、やっぱり本で読むとゆったり。
私が読むのが遅いかなあ。
映画だとさぞや派手に盛ってるんだろうなあ。
このラストだと、ロシアの大物を捕まえるところでボンドは毒で傷つけられて、
気を失うところで終わってて、えっ、大丈夫なのか!? と一瞬思う。
けどシリーズ続いてるんだから助かるんだよねえ。
ロシアの最新暗号機の名前が「スペクター」だった。
Q課が渡してくれるアタッシュケースが武器とか資金とかいろいろ仕込みの
あるもので、あ~スパイガジェット~とにやにやしてしまう。
ボンドは黒髪の青い目なんだねえと思いつつ、脳内キャストはダニクレで。
タニアの無邪気さはハニートラップというにはほど遠い感じで不思議だった。
可愛い。
おとぎ話みたいというか、映画のメタ作品みたいな気もして。
でもまた結局はボンドはタニアとこのあと別れちゃうんだよね? 罪な男だ。
ボンドガールは大変だねえ。
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