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映画「恋人たち」

*結末まで触れています。


映画「恋人たち」


アツシは、妻を通り魔に殺された。その喪失と哀しみをどうにもできず、金はなく、
それでもなんとか損害賠償の裁判を起こせないかと弁護士に頼んでいる。
高橋瞳子は主婦。弁当屋のパート、淡淡とつまらない毎日。夫や姑との会話も
あまりない。出入りの業者と鶏を追いかけたことから親しくなる。
四ノ宮は弁護士。ある日階段から突き落とされ足を骨折。だがその犯人は不明。
単なる事故か。同性愛者であることを身近な人にはオープンにしているが、長年の
親友が家庭を持ち、少しずつ距離をおくようになっている。

橋口亮輔監督、「二十歳の微熱」とか初期のは見ていて、最近のは見てないけど
なんだかこれは見過ごせない気がして18日に見に行ってきた。
日本の、どこにでもいそうで、ありそうで、平凡な。だけど特別な登場人物。
それぞれに愚かで、それぞれに悲しくて、それぞれにどうしようもなく、生きる。

この身近な、こわい、リアルな、痛い。痛みが、すごい痛くて、いたたまれなくて、
こういう映画見たくないって思う。私は現実からは全力で逃避する。
でも見過ごせなくて見てしまった、のも、やっぱりよかったとも思う。

もうちょっとうまくやれば。とか、もうちょっとスマートにやりすごせば、とか、
登場人物にも景色にもひしひしと突きつけられてくる感じがして辛い。
目を背けたい自分の姿のように感じる。
押しつけがましい映画じゃないのに、淡々と映し出される世界が、私には辛い。

特に主婦な瞳子さん。趣味で小説を書いてるの、イラストも。自分で。別に
誰が読んでくれるでもないんだけど、っていうのを、藤田さんに見られて、
やだちょっと、ヤメテ、やだやだ、とか言いつつ読んでもらって嬉しそうなの。
雅子さまとかテレビで見るのが大好き、とか。服装なんかも、お姫様願望ある
女の子な自分を恥じつつも自己愛どっぷり、な、おばさん、って感じでもう~~。
い、痛い。痛い。自分だこれ。違うけど。けど。ううわ~。ってダメージ受け
まくって辛かった。

それぞれ30前後くらいな年齢かなあ。もう若さの勢いみたいなのは衰えて、
でも達観するのは程遠くて。ままならない現実に無防備で辛い。
どんなに嘆いても考えても妻は生き返りはしない。
ずっとただただ想っていたけど、親友には妻子があり片思いが叶うことはない。
夢を語ってくれた男はただのろくでなしで騙されかけてて、それはどこかで
わかってたかもしれない。お姫様にはなれない。

それでも最後には、ほんの少しは、状況が変わって。だからって解決したとか
幸せに向かったとかでもないけれども。でも、見上げれば青空があった。

とても痛かったけどため息つくしかなかったけど、空を見上げて帰りました。

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