『ブライトン・ロック』(グレアム・グリーン/早川書房)
*結末まで触れています。
『ブライトン・ロック』(グレアム・グリーン/早川書房)
ヘイルは殺された。町の不良少年に。
その死を疑問に思ったアイダ。不審な人物を目撃したかもしれないローズ。
ローズの口を塞いでおきたい少年はローズが何を知り、何を知らないか探り
始めた。
これは、えーと、訳者あとがきによると「ノヴェル」であり「エンターテインメント」
であるお話。丸谷才一訳だ。1938年刊行の本。かつての邦題は『不良少年』
だったそうで、ピンキーという童貞少年がはずみのように犯してしまった殺人を
なんとかしようとジタバタする話、かなあ。
グレアム・グリーン全集の6で、1982年刊。でも訳者あとがきは1959年みたい。
全集に採録ってことなのか。ともかく、読み始めてはいってくるのに時間が
かかった。中盤すぎてくるとかなり面白く感じてきて読み切った。
童貞少年くんがなんかいろいろがんばってて、なかなかに切なく悲しい感じが
ある。ローズと結婚しちゃえば不利な証言をされない、とかいう、この英国の
法律だかなんだかの感覚がよくわからなくて、もうローズ殺しちゃえよ?
と何度も私は思ってしまったんだよごめん。少年も殺すことを考えないでも
ないけど、結婚して、なんとかやりとげる、酒も飲む、って感じに。
少年時代の終り、ってことかな。
処女喪失みたいなことはよく言われるようにおもうけど、童貞喪失もやはり
それなりに大変な葛藤のあることでもあるんだろうなあ。
そのじれったいぐにゃぐにゃした感じが延々続くのが不思議な感触だった。
そして最後には心中を誘って、でもローズが死に踏み切れないうちに
少年のほうが、えーと、巡査に撃たれた? よくわかんない。よろよろとその
まま崖下に落ちて、消えてしまった。
独りになったローズはきっと妊娠してると確信して歩き出す。
女は強し、なのか??
そもそもアイダがヘイルの死にそこまで疑問抱いて執着してるのがあんまり
ピンとこなかったし。わりとヘイルの死そのものについてはどうでもよさそうな。
でもその死のせいで起きるこのどうにもままならない感じ。
何度も眠くなりつつ、読み終えました。
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