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『007 カジノ・ロワイヤル』(イアン・フレミング/創元推理文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『007 カジノ・ロワイヤル』(イアン・フレミング/創元推理文庫)


秘密情報部員、ボンドはカジノで楽しんでいた。
ル・シッフルはソ連側のスパイ。地下会計責任者。だが金の流用をしてしまい、
密かに五千万フランばかりあけてしまった穴を、カジノで儲けて埋めようとして
いるところだ。その勝負を潰すべく、博打に強いと評判のボンドが送り込まれた。
ジャマイカからの道楽金持ちに成りすましたボンド。ヘマな爆発事件に会うが
無事だった。
ル・シッフルが親となったバカラでの高額勝負が行われる。


12月には「スペクター」楽しみだな~。と、その前に原作って読んだことが
ないと思って読んでみた。これが最初の作品で、ボンドはまだ若い感じ。
スパイものというよりは、がっつりカジノでの博打勝負が大半。爆発があったり
車でおっかけたりはあるけれども、アクションものではない。
けど、ダニエル・クレイグでの映画化は、すっごいアクションあり、カジノあり、
で、すっごくドラマチックに壮大に味付けされているけれど、物語はほんとに
原作に忠実に作ってたんだなあと感心した。ル・シッフルはもうソ連がないので
テロリストの資金預かりみたいに現代風設定にはしてたけど、凄い。

キャラとしても、ボンドは女とのセックスはそれなりに楽しむけど付き合う
とかいうのは論外でむしろストイックで女嫌いなくらいなんじゃないかと
思うほど、女は邪魔にならない道具でいてくれ、って感じ。でもヴェスパーには
惚れてしまうんだね~~~。
キャラ、というところでいえばやっぱり時代を感じる気はするけど。
原作が発表されたのは1953年だそう。
この文庫は1963年初版、2006年新版、てやつ。新訳、ってわけじゃないのかな?
新版ってどういうのだろ。わかんないけど、読むのは全く問題なく読み易かった。

ヴェスパーが攫われて、ル・シッフルにボンドは捕まって、拷問されるシーンは、
ほんと、全裸で座面切り取った椅子に座らされて。大事なところ殴られまくりで
男性的危機! なのも原作だった。そっか~。

シッフルを殺しにくるのがスメルシュ、という、謎の、というかなんていうか、
スパイの不始末の後始末つけにくるよーな組織? ぷすっとやられて、やはり
ル・シッフルは中盤で殺されて終り。ああ。
映画でもマッツをもっと見ていたいよ~って思うのに、なんか、中ボスくらいで
もったいないと思ったんだったよ。せっかくなんかいろいろ素敵設定盛られて
いるのにね。復活しないかなー。まあそれは無理かな~。

ボンドは助かったあとなんだか厭世的になり、仕事やめるとか言い出す。
何が悪かわからない。って。最初からこんなこと言ったりしてたのね。
冷戦後の複雑な社会とかの前から、やはり国のために、っていっても、何が
悪なのかわからない、って思いは、やっぱり単純なものじゃないんだよなあ。

なんとなく、ダニクレ前までの映画は、たぶんちょっとは見たことあったけど
なんか単純にスパイが大活躍の、美女とラブシーンの、ガチヘテロなアクション
能天気映画みたいなイメージを、私が勝手に持っていてあんまり007にハマる
気がしてなかったんだけれども、そんな単純なわけなかった。反省。

そしてヴェスパーを愛して、結婚したいってなって、でもヴェスパーの方は
様子がおかしくなる。彼女の秘密。彼女の裏切り。追手が迫った、と思って
彼女は告白の手紙を残して自殺した。
その手紙を読んで、ボンドは驚くほど冷徹にヴェスパーへの思いが冷めるように
描かれていて、裏切り者がいたことで組織が受けたダメージを心配する。
映画とは違うな~~と一番思ったのはここだけど。でも猛烈にスメルシュという
敵を追いつめてやる、という風になるのは、わざわざ描写しないだけで、この
運命への深い怒りみたいなことにも読める。映画の脚色って素晴らしい。

今読んでよかった。脳内でダニクレにマッツでくっきり見えて楽しかった。

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