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『ハンニバル』上下(トマス・ハリス/新潮文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『ハンニバル』上下(トマス・ハリス/新潮文庫)


『羊たちの沈黙』の時から7年。クラリスは32歳。ベテラン、有能な捜査官と
して、様々な現場へ出向いていた。
麻薬取締捜査で、イヴェルダという悪女を捉える際、予想外の銃撃戦となり
捜査官側にも死者が出てイヴェルダをクラリスは射殺した。赤ん坊を抱える
彼女から赤ん坊を助けたが、ゴシップ紙に叩かれることになる。
FBI内部では因縁あるクレンドラーが何かと彼女の昇進の邪魔をし、今回もまた
彼女を追い落すチャンスと見ていた。
苦境に陥るクラリスに、見覚えのある手紙が届く。レクターからの手紙だった。

そんなこんなで、7年たってもクラリスに新聞広告で返事してよ、って言っちゃう
博士可愛い。執着。クラリスを励ましながらコントロールしようとしている。
博士はフィレンツェで学究生活を送り中世に思いをはせる優雅な逃亡生活中。
そのポストを得るために邪魔な前任者は、もちろんひっそり殺されてるんだよね。
博士の邪魔をするもの正体を知ったものは速やかに楽しげに殺す。

かつて博士の前で首絞め自慰を演じながら薬もらって自分の顔の皮をはいで
喰った、っていう強烈な大金持ち、メイスン・ヴァージャー。
レクターに恨みを持ち、彼を生きたまま豚に喰わせてやる、という妄執だけで
生きながらえている男。メイスンの復讐と執念が、レクターをイタリアの逃亡
生活からアメリカへ戻るきっかけとなる。
クラリスは結局メイスンから博士を助ける。
メイスンは妹のマーゴに復讐されて。ってことで、博士の存在によって自滅
しちゃって、なんかメイスンは最悪だけど愚かでどうしようもないなあ。
絶対的存在であるレクター博士に匹敵するものはいない、ってことか。
そして結局、彼を魅了したクラリスこそが並び立つ超越的存在になる、か。

メイスンのところから二人で逃げた後、ある程度薬使いながら? 催眠状態で
クラリスの心を暴き支配していったレクター博士。
ミーシャの存在、かつて目の前で死なせてしまった妹ミーシャを呼び戻す場所。
とかなんとか。ホーキング博士のなんとかかんとかとか、エントロピーがとか
時間を戻す、とか、そういう思いにとりつかれてる、のか、博士。
なんかクレイジー。
あー、変態紳士だった。そうだった。クラリスの車に忍び込んだら、クラリスが
いつも握っているだろうハンドルの場所をこっそり舐めちゃう変態紳士な博士
であった。つい紳士なほうに目を向けてしまうけど、変態だった。博士ーっ。

ちょいちょい出てくる趣味嗜好ががメジャーすぎて俗っぽいように思うけど、
書かれた当時としては知る人ぞ知るって感じなのかなあ。フェルメールだの
バルデュスが博士といとこってさらっと書いてたり。車はジャガー。
まあ正直私にはよくわからない世界だけれども。

落ちて割れるティーカップとか、クラリスの父へのこだわりとか、何かと
ドラマでのネタにすでにいろいろ使われているんだなと感じた。
私はまだS2も3も見てないからー、ちょこちょこTwitterなんかで垣間見る
程度だけど。メイスンに捕まってどーのこーのは3でやってるんだっけ。
フィレンツェでの逃亡とか。ベデリア先生との暮らしはこのラストのクラリス
との感じのイメージなのか。
ベデリア先生見た時には、クラリスの完成形、という感じがすごくした。
S1で最初に見た時には、彼女との関係があって、だから後に、クラリスと
出会った時にお気に入りになるのかな、って思ってたけど。ドラマではクラリス
の出番はなく(大人の事情的に版権がどーのこーのだったりするらしいけど)
博士とウィルとで世界の全てっていう計り知れない逃れられない愛っっ、
なんだよね。
S4がつくられるとしたら、クラリスなしで? クラリス出すのならウィルは?
物凄くわからなくてすごく見たくて、打ち切りなんかやだーって改めて思う。
見たいよ。。。その前に私早く2と3を見たいよー。

 「この先毎日のようにきみの姿を見ることになったとしても、いまの瞬間は
 忘れられんな」彼の黒い目はクラリスを呑み込もうとするかのように、見ひ
 らかれていた。               (下巻、P420)


クラリスにドレスをあげて、彼女がそれでドレスアップしてディナーに
現れた時の博士可愛い。でもこれ、ウィルに言うセリフなんじゃないかなあ。
やはり原作だとクラリスと博士と末永く幸せに暮らしました、というめでたし
めでたしで。
映画だとクラリスとは決別することになってたと思う。博士ラブとしては、
この本の感じでいてほしかった。ウィルと。。。
再読、面白かったです。

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