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映画「チャイルド44  森に消えた子供たち」

*結末まで触れています。


映画「チャイルド44  森に消えた子供たち」


レオは戦争の英雄だった。戦後は秘密警察の一員として反逆者の検挙にあたっている。
ある時、同僚の子どもが殺された。
だが、楽園であるスターリン政権下では殺人事件など容易に認められない。連続殺人
など西側の堕落した犯罪でしかありえなかった。
互いを密告しあうような社会の中で、妻を庇ったレオは地方に左遷される。
そこでも子供たちが次々に消えていることに気づいたレオは、上官である
ネステロフ将軍とともに、事件を捜査し始める。


この前の水曜日に見に行ってたんだけど日記書きそびれてた。
原作はこのミスで評判だった時に読んだ。面白かったけど、大好き!ってほど
のったわけじゃなくて、続編にはなんとなく手がでないまま。
映画はトム・ハーディ主演、将軍にゲイリー・オールドマンで、わくわくして
見に行った。
原作からして、ソ連、なんか物凄く大変そう。。。という権力争いとか密告に
怯えまくるとかの感じが凄くて、大変な連続殺人事件がおざなりにされている
怖さががかなりあったんだけど、映画はそれががっつり視覚に訴えてくるので
重苦しさが凄かった。
ワシーリーっていう部下ね。戦争の時も臆病者扱いされてて、戦後もレオの
部下でありながらもレオにじっとり恨み持って反逆を密かに狙ってる感じが
実に嫌なやつで凄かった。
反逆者を匿っているとして農場へ捜査に行った時、レオの不在の隙に農場の人
をあっさり殺させる。幼い少女たちの両親。彼らは即座に射殺されるようなこと
は何もしてないのに。そのことでワシーリーを殴りとばすレオ。
しかしそんなこんなで余計な恨みをさらに買うことになり、左遷になり。

妻も自分を怖がっていた、とか、どうにも純情で要領がよくないレオ。これが
トム・ハーディがやっててすごく可愛げがあって、英雄だけどなんかダメだ、
っていう感じがすごくよかった。
んで、妻。凄い強いんだけど。びっくり。たくましい。
殺人事件を追う、ということと、ソ連社会で生きるっていうことと、ぎゅぎゅっと
詰め込んで描いてて、なんか、え? それでいいのか?? と思うことも多々。
レオ、わりと気軽に敵とみれば戦って殺したりしてるみたいなんだけど。いいの?
単純な正義感じゃやってけない。ってことだろうか。
妻も協力してガツガツ戦うんだよねー。凄い夫婦だった。

なんとか犯人は捕まり、工場の人ってことでわりとあっさり見つかってた。
原作だと鉄道修理の人とかじゃなかったっけ。あんまりちゃんと覚えてないけど。
連続殺人しちゃうわりに、子ども時代の飢えの記憶があって、みたいなことで、
あれこれハンニバルライジングみたいなことか? こんなだっけ。
あんまり病んだ犯人って感じでもなくて、なんか、ちょっと、物足りない。
怖さと凄味に欠けるというか。
被害に遭う男の子たちが素晴らしく可愛い子たちで、嗚呼、と気の毒だった。

事件解決を経て、レオはしたたかにたくましくなり。これから殺人事件を
許さないぞ、というところで終わり。

昔の東側、という貧しさや重厚さを映画で見られてよかった。鉄道路線が重要な
舞台なんだけど、機関車とかすっごくかっこよくって、見応えあった。
あんな世界で生活できないよなあ、と思うけど、(もちろん映画はフィクション
だけど)たぶんそれはそれで、人はたくましく生きていくんだろうなあ。
見逃さなくてよかった。

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『レッド・ドラゴン』上下(トマス・ハリス/ハヤカワ文庫)

*ネタバレしてます。(ちょっとドラマの話もしてる)


『レッド・ドラゴン』上下(トマス・ハリス/ハヤカワ文庫)

「決定版」
「ハンニバル誕生秘話を記す著者序文を付した決定版ついに登場」
だそうで、2002年刊のもの。新訳なのかな? これももう10年以上前って
ことだけど、たぶん20年近く昔に読んだことはある。けど忘れてて訳が
どうなのかとか全然覚えてないなあ。
著者が小説の構想を練っている時ウィル・グレアムは助けを求めに行かねば
ならない、てことでレクター博士に会いに行った。
みたいな序文があった。トマス・ハリスは自分が考えたというより、キャラに
出会う、って感じで書く人なのかなあ。こういう劇的な感じにサービスで
書いてくれたってことなのかな。まーなんかやっぱり、レクター博士はスペシャル
なのだ、という感じだ。ウィルが主役なのに博士の人気凄すぎるからか。

これは、レクター博士デビュー作、です。が、主役はウィル。そしてダラハイド。
<噛みつき魔>と呼ばれる殺人犯を追うため、ジャック・クロフォードはかつて
ハンニバル・レクターという異常殺人者を捕まえた、今は引退しているウィルに
協力を求める。
二つの家族が殺されていた。
現場を見て、家族を知り、犯人がどう行動したか探るウィル。
レクターとの対面で、以前の自分の勘を取り戻そうとした。


 「君がここへきたのは、ただわたしを見るためだ。以前の勘を取り戻す
  ためだろう? なぜ自分で勘を取り戻そうとしないんだ?」
 「あんたの意見を聞きたかったのさ」
 「今は意見なんかないよ」
 「いつになったらまとまる?……ぼくはそれが聞きたいんだ」

ウィルはレクターからの手紙に手を触れるのも嫌がるくせに。

 「君はどうしてわたしが捕まえられたか、わかってるのかね?」
 「君はどうしてわたしが捕まえられたか、わかってるのか?」
 「君がわたしを捕まえたわけは、わたしたちが瓜二つだからさ」


登場の時から囚われの身であるハンニバル・レクター。ウィルへの執着。

ドラマの「ハンニバル」に私は今どっぷりはまってて、今読み返したのも
ドラマのせいで。この原作のこんな感じから、あんなドラマを作り出して
いるなんて、天才すぎる。と、改めて戦いた次第です。ハンニバルと出会った
ことで人生狂わされたウィル。ウィルが捕まえて、ハンニバルは囚人なのに、
ハンニバルの圧倒的な強さはどういうことなんだ。凄い。

タトラー紙の記者、ラウンズ。うざいことこの上ない。ああ。
登場人物とか出来事とか、ドラマでうまく取り入れられているんだなあと
よくわかりました。凄い。面白い。

ハンニバルに崇拝の念を抱く<噛みつき魔>はハンニバルに手紙を出す。
赤き竜になろうとする男、フランシス・ダラハイド。
で、ダライハイドを使ってウィルを襲わせるハンニバル。なんでよなんでだよ。
こわい。
こういうのドラマではどうなっていくのかなあ。すごい楽しみ。

ダラハイドは自分の中にウィリアム・ブレイクの赤い竜の絵から得た力、
竜を持ち、これは、二重人格になろうといしてる? 宇宙からの電波系な感じ?
人を殺して力を得る。
でも、目の見えない女性、レバとのつきあいが出来て、竜から逃れ、殺人を
やめようとする。だが、そこにウィルたち捜査の手が伸びる。
レバを使ってのトリックがこわかった。忘れてて、あれ? あれ? って思った。
ウィル、ほんと可哀想。気の毒すぎる。ハンニバルに人生壊されてる。
モリーがたくましく、結局ダラハイドを射殺したのは彼女。母は強し、なのか?

ウィルへ届くレクターからの手紙。藤色の封筒。ぬけぬけと、ウィルの容体を
気遣う。でもクロフォードが燃やしてしまう。えー。ジャックってば。
まあこの小説の中では当然かもしれないけど。ウィルに届けてあげてよ。。。


 「君が一日も早く快くなってくれればいいと願っているし、あまり醜くなら
 なければいいと思っている。
  君のことはたびたび思い出しているよ。
                       ハンニバル・レクター 」


ハンニバルの登場は、ウィルとの対面といくつかの手紙、それだけで、ほんと
脇役なんだよね。でも最強ラスボス感は凄い。大好き。
「羊たちの沈黙」の映画でのインパクトから虜になったけど、今またドラマで
死ぬほどかっこよくってたまんない。天才だなー。最強だなー。かっこいいー。

あーでもドラマだとこういうのどうなるの~。
そしてドラマ打ち切りはー。どうなるの。シーズン4、5くらいまでは構想
あるはずなんだよね。作られてほしい。見たい。うう。大好きです。

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映画「ターミネーター:新起動 ジェニシス」

*ネタバレしてます。


映画「ターミネーター:新起動 ジェニシス」


審判の日以来、人類とスカイネットとの戦いの終止符がついにうたれようとしていた。
人類の抵抗軍のリーダー、ジョン・コナーは、スカイネットが過去へターミネーター
を送り込んだことを知っており、志願してきたカイル・リースに、過去へ行って
母、サラ・コナーを守るよう頼む。
カイルが過去へ行くその時、ジョンは何者かに襲われていた。
カイルが着いたのは1984年。しかしそこで出会ったサラは、すでにカイルの
ことを知っている戦士としての力を持つ女性だった。

リブート、っていうんでしょうか。過去作品の続きというよりリメイク的な、
もう一度、という感じ。これまでの続編との違い、何が新しいのかなあと思って
見に行ってきた。シュワちゃんの老いたターミネーター姿も気になるところだし。
そしてハイテクにより? 若き日のシュワ型ターミネーターとの戦い。
液体金属も出るよ。ってことで、1、2へのオマージュっつーか、同じモチーフ
たっぷりでした。1,2のやり直しってことか。

タイムトラベラーということは平行世界なのだ! というわけで、1の時のサラ
はもういないわ、ということでした。過去が変わる、未来が変わる。変えられる、
というお話なのね。だからこれはまた別の平行世界の話、ってことで、何も知ら
ないか弱きウエウトレスなサラ・コナーじゃないのです、て感じだった。
というか、サラが9歳の時に、T-800型がきた、ってことなんだけど。
私、見落とした? 結局その最初のターミネーターは誰が送ってきたんだか
わかんなかった。ジョンなのかな? 別の世界のジョン?? あ、今この世界の
ジョン? でもこの作品の中でスカイネット壊滅させたはずだからターミネーター
はないのでは。でもエンドロールのあとに、意味深に実はまだスカイネットが
生きてるか? て感じでもあったから、うーん~。

未来は決まってない。と終わったように、タイムトラベルによって平行世界に
どんどん変わっていっちゃうよ、ってことなら、また続編もいかようにも
作れる感じかなあ。でもなあ。

今回はついにジョンまで改変となって、ジョンが敵だった。今度は粒つぶ金属。
液体金属もきたーと思ったら最初の方でわりとあっさり片付けられてたもんね。
ジャンプの法則と同じかな。前に倒した敵は次に出てきてももう弱い、て感じ。

この世界の感じだと、サラとカイルは二人とも仲良く生きていきそうだし、
液体金属に自分を複製したのか? 古いけれどポンコツではない味方シュワ型
はバージョンアップしてこれからも二人を守ってくれそうだし。
なんかめでたしめでたしだった。うーん。まあいいけど。
なんか、大迫力のパロディみたいな気がする。。。まあ、ありえたかもしれない
しあわせな結末、かなあ。

自分はタイムトラベルできないから、って2017年まで一人で待つ
ターミネーターおじさん。武器を集めサイバーダイン社へ建築作業員として
入り込み下見をして。あの強面無口なおじさんが人間界でなんとかやって
サラとカイルを迎える2017年まで一人で生きてる姿を想像すると、可愛い。
そう。
シュワ型ターミネーターは可愛いおじさんとして萌えキャラみたいだなあと
思った。んー。まあー、いいけど。
9歳のサラを守り育ててきてるんだなあ。2で、ジョンと泣きながら別れを
しなくてすんだといたら、というifでもあるんだろう。うーん。まあいいけど。

今作も、もちろん大迫力だし車はどっかんどっかんいって大変だし、粒つぶ金属
な新たな敵も凄かった。
けども、やっぱり、ターミネーターは1と2、特に2が最高傑作すぎて、
その後のは格落ちなパロディめいていてどうにも私にとっては、一応見るけど、
やっぱのりきれないのだ。。。
いくらシュワちゃんが登場して活躍してくれていても。
やっぱりなー。越えられない作品というのはあるんだと思う。

そー思うと、同じく長年の時を経て今新作公開して、やっぱり2の鮮烈な
イメージがありながらも新作がすっげー最高!!!!! ってなった
マッドマックス はとんでもないな、と、改めて思ったりでした。

ターミネーター、これもエンドロールのあとにわざわざ、それに未来は決まって
ないっていったりだったりしてあわよくばまた続編、というところなんだろう
けれども、やっぱり難しいと思うなあ。そろそろ終わっておけばいい。
大好きだから。

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『カウントダウン・シティ』(ベン・H・ウィンタース/ハヤカワポケットミステリ)

*結末まで触れています。


『カウントダウン・シティ』(ベン・H・ウィンタース/ハヤカワポケットミステリ)

地球に小惑星がぶつかる。確率は100%とされ、世界が終わる時まであと三ヶ月。

三部作の二作目。前作『地上最後の刑事』からさらに時間が進んで7月。
小惑星マイアがぶつかるとされているのが10月3日らしい。前作では刑事と
して事件捜査にあたっていたヘンリー・パレス。今作では無職。もう刑事じゃない。
だけど、かつて自分たちのベビーシッターをしてくれていたマーサに、夫を
探して欲しいと頼まれて、引き受ける。
世界が終わるという今、誰もが死ぬまでにやりたいことリストを抱えて失踪する
ことなど珍しくもなんともない今。それでも消えた夫、元州警察ブレット・
カバトーンを探して、パレスは自転車を走らせる。

前作読んだなーと思うものの、あんまり覚えてない。けどまあ大丈夫。
世界が終わるという時に、何を正しいとして何をなすのか。何を信じるのか。
人それぞれで、それぞれでいいんだけど、でも、やっぱり暴動は起きるし
怖い。
ヘンリーからしたらバカげた陰謀論を信じ込んでいるたった一人の大事な妹を
守りたいと思いながらもその盲信にはとてもついていけないし。
でも、でも、密かにインターネットが繋がっているとか大学での自由な自治と
混乱とか、警察は機能しなくなりそれぞれがそれぞれに自分を守るしかない、
っていうのはしみじみ怖い。

ブレットは自分が信じる正しいことをするために去った。逃げてくる難民を
沿岸で撃ち殺すアメリカの選択は、陰謀論なのか自国を守るための苦渋の選択
なのか。
ヘンリーはバカみたいにマーサの依頼を引き受け生真面目にブレットを見つけ出す。
犬をつれて。

警察だけで小さなコミュニティをつくり、世界の終りに備えても、これ、ヘンリー
は結局妹を探しに出ていくのかなあ。そう思わせる感じで終わってた。
大事な家族。大事な妹、ニコ。
次はどうするのかな。どうなるのかな。ニコが関わっているらしいことが
描かれるのかなあ。世界は終わるのか。続き読みたい。翻訳されるよね?早く~。

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『BL進化論』(溝口彰子/太田出版)


『BL進化論』(溝口彰子/太田出版)

ボーイズラブが社会を動かす

「いまBLに何が起きているのか 女性たちを虜にする快楽装置=BLの歴史
と本質に迫る画期的評論」

という帯のとおり、BLの歴史から今について、とてもわかりやすくて読み
やすくて、なるほど~と思わせられる評論でした。

著者はレズビアンでありBL愛好家。「美少年マンガ」の数々、特に
『摩利と新吾』に思い入れありそうな感じとか、たぶん私は年齢近いのだろう
と思う。BLの始祖を森茉莉の『恋人たちの森』とする、から始まるBL概史
の流れも無理なくすんなりわかるーと思える感じ。

JUNEあたりではまだまだホモフォビアでミソジニーを書き手が無意識に
なぞって無自覚な差別があったとか、やおい論争とは、とかがよくわかるように
書かれていてそういうことか、と腑に落ちる感じが多々あった。
やおい論争、というか、ゲイの人からゲイ差別だといわれたことがあったらしい、
というようなことをなんかうっすらどこかで知ったことがあったかもしれない
けど、実際には知らないしわからない、って思ってたところがわかってよかった。

BLであれなんであれ、社会にまったく無関係な作品というのはないのだ。

そして近年、2000年代以降の作品は、BLにとってゲイにとって同性愛者
にとって、マイノリティにとって、現実よりはよりよい世界、を書き手が自覚的
に主体的に想像して描く作品が増えてきている、というのも、わかる。

私はずーっとBLを読み続けてきてはなくて、ジュネから離れて暫くBL的な
ものからも離れて、まー個人的妄想趣味はずーーっと変わらないにせよ、
商業出版なところや同人な世界から離れていた時期が、たぶんそのBLが
変化していった2000年代以降というところ。ここ数年はまた商業BLに
手を出すようになったり、ほんとごく最近pixiv登録して、同人っぽい
ところにすこーーしだけは触れるようになった。けど、なんか、やっぱり
全体的に見るなんてとてもとても出来ないし、なんかよくわかんないなって
ことの方が多い。
もちろん個人的にただ読んで面白いかつまんないかだけでいいんだけど。

たぶん世界がよりよい方へ、向かおうとしている、という流れがBLにも
少し先進的にとりいれられているというのは面白いなあ。
BLが好き、っていうのはたんなる好き嫌いでありながら、差別やマイノリティ
として生きることについて、敏感にならざるをえないところがある。
そこでほんの少しだけでも、立ち止まって世の中の当たり前みたいなことって
ほんとに当たり前? と考えるか考えないかじゃ全然違う。
エンタメとして楽しむものとして作品でありながら、世界を変える視点への
問いかけのきっかけになる。
できるだけ自由に。できるだけフラットに。できるだけ幸せに、なるといいなあ。

で、面白く読んだんだけど、活動家な感じのところには多少違和感を感じたり
もあった。
あとBL愛好家たちのテキスト交換を「ヴァーチャル・レズビアン」と表記
するのはどうしてなのか、どうも納得がいかない。作り手や読み手の大部分が
女性だから女性同士としてセックスの快楽を分かち合う、のはそうかもしれない
けど、それってわざわざ「レズビアン」と表記することなのか?? どうも
これは著者の飛躍のように思える。

補遺としてある映画の読み解き。
私は「御法度」好きなんだ。でもこれが悪しき類例としての作品、という
のは、読んで納得できた。それにこういう分析かあ、というすっきりした感じが
あって面白かった。でも好きだけど。
感想ってことじゃなくて評論だからだとしても、映画だけじゃなくていろいろ
紹介されてる小説やマンガ、私が読んだことあるのもいくつもあったけれど、
著者と自分じゃ随分見方が違う、と知ったところがいっぱいで、面白かった。


 プロローグ BL進化論
 第一章 「BL進化論」にとってのBL概史
 第二章 ホモフォビックなホモと愛ゆえのレイプ? ―一九九〇年代のBL
     テキストの定型―
 第三章 ゲイの目線? ―まぼろしの(ような)「やおい論争」を中心に―
 第四章 BL進化形
 第五章 BLを読む/生きる ―女性同士が「まぐわう」フォーラムとして
     のBL―
 結論
 対談 溝口彰子×ブルボンヌ「“気持ちいいこと”で社会を変える」
 補遺一 理論編「BL進化論」の理論的文脈
 補遺二 応用編「BL進化論」と映画における男性同性愛

 謝辞 本文注 引用・参考文献

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『最重要容疑者』上下(リー・チャイルド/講談社文庫)

*結末まで触れています


『最重要容疑者』上下(リー・チャイルド/講談社文庫)


冬のネブラスカの夜。リーチャーはヒッチハイクに止まってくれる車を待っていた。
93分。一台の車に男二人、女一人が乗っている車が止まってくれた。
四人で車を走らせるうちにリーチャーはこの車のチームの緊張感に気づく。

そんなこんなの、シリーズ17作目らしい。でも日本で翻訳されているのは
全部じゃなくて6作品らしい。この本でも、リーチャーは鼻が折れてて最初は
酷い顔だったようで、前作で何かあったってことなのかな?? と思うけど、
まあそれはわからないし関係ないしで鼻が折れてて大変だなーということで
気にしなくて大丈夫。

田舎で起きた殺人事件、という発端から、FBIが、CIAが、テロが、と
どんどん謎の巨大陰謀があるらしい? という広がりになってきていて面白い。
上巻のあたりは状況がどうなのか全然わからなくてもどかしい。
FBI捜査官がテロ組織に潜入捜査してて、ってことらしい、というのを説明
してもらってからも、でもそのテロ組織って何なんだよとかははっきりとは
しない。基本リーチャーの動きだからなあ。あくまで一匹狼リーチャー。
FBI捜査官と成り行き上コンビになったり。そして一人で乗りこんでいくのも
かっこいい。
かっこいい、けども、いや待てよ、とも思う。強いよーリーチャー。
FBIの応援を待つ余裕はない、って、結局3人でテロ組織に突っ込んで、
潜入捜査官を助け出し、ソレンソンは死んだけどリーチャーとデルフエンソは
無事。一応は成功、ってことか。
真のボスは逃がしたっぽいので、もしかして次作でなんかあるのかな?
どーなんだろ。そこまでリーチャーが関わっていく必然性つくれるかな。
ソレンソンの死?うーん。わかんないけど、ひとまずはこれはこれで
一件落着。

アメリカは広いな、と、このシリーズを読むといつも思う。ヒッチハイクで
行くとか長距離バスとか。事件に巻き込まれるからそれなりに街中でうろうろ
もあるけれども、なんかとにかく車だよなって感じがする。アクセル踏み
続けてる感じ。リーチャーは通りすがりでさすらい人で、広いアメリカを
ずっと、ずっと、それこそ何年もさすらい続けている。それだけふらふらできる
のがアメリカかー。と、なんとなく。
シリーズも長いから、リーチャーは最初30代だったのが今は50代になって
いるみたい。でもやっぱタフだよねー。

トム・クルーズが第二弾映画化するらしい。シリーズの18作目だったと思う。
翻訳されるのかな? どんなのか気になる。映画は映画で別物だけど前回の
かなり面白くて好きだったからまた楽しみだ。

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映画「悪党に粛清を」 (二回目)

*ネタバレあり

映画「悪党に粛清を」


二回目を、見に行ってきました。映画の日だし。
初回見た時から、まあ展開はすんなりわかるわけだけど、二回目はとにかくもう
ああジョンがーピーターお兄ちゃんが~マデリンが~。次どんなにか酷い目にあうか
ひしひしとわかってるわけで、辛い。

最初、駅で妻と息子を待ってる時にひそかにそわそわしてるジョンが可愛い。
落ち着けよ、ってな感じでお兄ちゃんがジョンの側についててやるのが可愛い。
ジョンてば弟なんだなーと思う。お兄ちゃんはお兄ちゃんだなーと思う。
そしてピーターは町に泊まって帰る、ってことで別れるんだけど、それは
家族水いらずにしてやろうみたいなことだったのかなあと想像する。
なのに。
ピーターがジョンの家の静まり返った様子に不審に思いながら入っていくと、
ベッドに妻子の死体を寝かせて妻の手を握って無言で泣いているジョンの姿を
見るのです。
その時の、俺がついててやれば、というピーターの後悔はどれほどかと思う。
胸が潰れる。。。
またこのシーン。ジョンの家の簡素な貧しさ、テーブルにパンと蕪、かな、
わずかな野菜がある画面、それから妻子を寝かせているベッドルームの画面、
絵画のようなうつくしさで、いっそう辛くてたまらない。本当なら、ここに
妻と息子の笑顔があり、少しのパンでも分け合って暮らしが営まれるはずだった。
そこが静寂につつまれている。絶望感凄い。
ピーターが墓穴を掘ってやるし。
話し合って二人で別の土地へ行こう、ってなったんだよね。映ってないところも
二人兄弟な絆をしっかり感じられて素晴らしかった。

捕まったジョンを助け出し、ボロボロのジョンを岩陰に隠して、ピーターは行く。
どうしても弟を助ける、という感じが切なかった。絶望なんだよ。味方は誰も
いなくてたった一人でどうにかできるわけないのに、それでも弟を助けるの。
負け戦はしない、っていってたはずのピーターが。
そして、馬にロープで繋がれ地を引きずられていくピーターの姿を見るジョン。
あの絶望感凄い。
またしても、大事な大事な家族を、奪われるジョン。
その場で叫び出すことも駆け出すこともできずじっと身をひそめるしかないジョン。
絶望しかないんだよ。

なんとか回復して、デラルー一味へ、町長が裏切り者とわかって復讐開始。

マデリンもまたボロボロにされても生きるのを諦めてなかった。

何もかも失って、復讐して、でも救いなんかなかった。
それでも生き延びて、旅立つ二人。生きていれば、希望はあるだろうか。
辛かったよ。。。

それでも場面ごとが、実に美しく絵画的に見せられていて、広大な荒野も、
そこにたたずむ人の姿も、顔も、素晴らしくてスクリーンの大きさに耐える
見事さだった。かっこいいよう。
セリフではなく目で語るような静かな微かな演技で、引き込むんだから凄い。
マッツかっこいいよー。

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