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映画「チャイルド44  森に消えた子供たち」

*結末まで触れています。


映画「チャイルド44  森に消えた子供たち」


レオは戦争の英雄だった。戦後は秘密警察の一員として反逆者の検挙にあたっている。
ある時、同僚の子どもが殺された。
だが、楽園であるスターリン政権下では殺人事件など容易に認められない。連続殺人
など西側の堕落した犯罪でしかありえなかった。
互いを密告しあうような社会の中で、妻を庇ったレオは地方に左遷される。
そこでも子供たちが次々に消えていることに気づいたレオは、上官である
ネステロフ将軍とともに、事件を捜査し始める。


この前の水曜日に見に行ってたんだけど日記書きそびれてた。
原作はこのミスで評判だった時に読んだ。面白かったけど、大好き!ってほど
のったわけじゃなくて、続編にはなんとなく手がでないまま。
映画はトム・ハーディ主演、将軍にゲイリー・オールドマンで、わくわくして
見に行った。
原作からして、ソ連、なんか物凄く大変そう。。。という権力争いとか密告に
怯えまくるとかの感じが凄くて、大変な連続殺人事件がおざなりにされている
怖さががかなりあったんだけど、映画はそれががっつり視覚に訴えてくるので
重苦しさが凄かった。
ワシーリーっていう部下ね。戦争の時も臆病者扱いされてて、戦後もレオの
部下でありながらもレオにじっとり恨み持って反逆を密かに狙ってる感じが
実に嫌なやつで凄かった。
反逆者を匿っているとして農場へ捜査に行った時、レオの不在の隙に農場の人
をあっさり殺させる。幼い少女たちの両親。彼らは即座に射殺されるようなこと
は何もしてないのに。そのことでワシーリーを殴りとばすレオ。
しかしそんなこんなで余計な恨みをさらに買うことになり、左遷になり。

妻も自分を怖がっていた、とか、どうにも純情で要領がよくないレオ。これが
トム・ハーディがやっててすごく可愛げがあって、英雄だけどなんかダメだ、
っていう感じがすごくよかった。
んで、妻。凄い強いんだけど。びっくり。たくましい。
殺人事件を追う、ということと、ソ連社会で生きるっていうことと、ぎゅぎゅっと
詰め込んで描いてて、なんか、え? それでいいのか?? と思うことも多々。
レオ、わりと気軽に敵とみれば戦って殺したりしてるみたいなんだけど。いいの?
単純な正義感じゃやってけない。ってことだろうか。
妻も協力してガツガツ戦うんだよねー。凄い夫婦だった。

なんとか犯人は捕まり、工場の人ってことでわりとあっさり見つかってた。
原作だと鉄道修理の人とかじゃなかったっけ。あんまりちゃんと覚えてないけど。
連続殺人しちゃうわりに、子ども時代の飢えの記憶があって、みたいなことで、
あれこれハンニバルライジングみたいなことか? こんなだっけ。
あんまり病んだ犯人って感じでもなくて、なんか、ちょっと、物足りない。
怖さと凄味に欠けるというか。
被害に遭う男の子たちが素晴らしく可愛い子たちで、嗚呼、と気の毒だった。

事件解決を経て、レオはしたたかにたくましくなり。これから殺人事件を
許さないぞ、というところで終わり。

昔の東側、という貧しさや重厚さを映画で見られてよかった。鉄道路線が重要な
舞台なんだけど、機関車とかすっごくかっこよくって、見応えあった。
あんな世界で生活できないよなあ、と思うけど、(もちろん映画はフィクション
だけど)たぶんそれはそれで、人はたくましく生きていくんだろうなあ。
見逃さなくてよかった。

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