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『終焉の地』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)

*結末まで触れています。


『終焉の地』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)

ブランドステッターシリーズの12作目。シリーズの終り。

デイヴのところへ、学生時代の友人、ジャック・ヘルマスが訪ねてくる。今は作家
であるヘルマスは自分が死亡した、という噂に悩まされていた。デイヴにどうした
ものかと相談するが、どうしようもない。
そこへ、マッジからも相談が持ち込まれる。迷子の男の子を保護したという。
どうやらわけありの子供らしい、ということで、デイヴは事件に関わることになる。

もう引退するする、って言いつつ頼りにされちゃうと断れないデイヴ。
セシルがしきりに心配していたり、デイヴ自身も体調が悪い、すぐに疲れてしまう
という自覚がありつつも、家で大人しく寝ているなんてことはできない。

事件は、麻薬絡みの男が銃で殺された、その目撃者となった男の子、などなどで
本当は誰の銃が使われたのか、というのがなかなかはっきりしない。
デイヴが聞き込みにいったり、デイヴを訪ねてきたりの人物たちも、なんだか
年老いている人が多くて、ハードボイルドなシリーズで老境を語るってなかなか
不思議で面白かった。

しかしデイヴ、この作品では69歳なの? それでもハンサム青年に誘われて
しまうって、どんだけ素敵老人なんですか。ちゃんと誠実に断るのも、どんだけ
素敵老人なんだよ~。もちろんセシルが大事だもんね。

親切めかして引退した音楽家、ハイム・チェアノフの世話をかってでていた
アーサーが、昔の悪仲間で、仲間割れ的に殺した、ってことなんだけど。
老人を狙った詐欺っていうの、後味悪い。情がわいてて最後まで看取るつもり
になっていた、と、思わせるかのようで、すぐにセシルに財産を一人占めした
かったからだと言わせてて、甘くない作者だよなあ。

そしてデイヴの最期。心臓発作、かな。そういえばデイヴの父親もそうだった。
そして、物語は基本的にデイヴ視点なので、デイヴが意識を失っていく
ブラックアウトで終わり。
ヘルマスは大丈夫だったのか。セシルやアマンダがどんなにか哀しんだか。
全ては読者に委ねられて、そっけなく終わる。
一番最初の、献辞のページに、
「世界中のデイヴ・ブランドステッターの友人の皆様、 さようなら!  」
ってあったんだった。
これが最初で最後の挨拶だったのね。

訳者じゃなくて、柿沼瑛子さんがシリーズまとめの解説のようなのを書いて
あった。まとまってすんなりよくわかる解説だった。
この本は、本国では1991年に書かれたもの。ハヤカワのこの本は1993年発行。
1作目から約20年間で書かれた12作。物語の中の背景も時代も変わった。
そして今は2015年。また20年近くたっていて、また時代は変わってるかなあ。
おんなじような問題はやはりありつつも。世界は少しはよくなっていると、
思いたい。

結構時間かかったけど、シリーズ全部読んで満足。

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