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『弔いの森』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)

*結末まで触れています。


『弔いの森』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)

ブランドステッターシリーズの11作目。

ペイントボール・ゲーム。森の中で行う戦闘訓練ゲーム。
その最中、一人の青年が死んだ。ヴォーン・トーマス、彼はセシルと同じく
チャンネル3で働いていたので、セシルがその死について調べるよう、デイヴに
頼んだ。単なる狩猟の銃による流れ弾なのか、ゲームで使う実弾ではない銃が
何らかの意図で本物であったのか。
最初は乗り気ではなかったものの、ヴォーンが一緒に暮らしていた女性、ジェミー
が姿を消したことがわかり、彼女に危険が迫っていると感じたデイヴは彼女を
見つけ出し、守らねばと動き始める。

あとがきによるとデイヴは69歳になってるようだ。一作目から22年か。
もう引退、もう年だ、って言い続けてるけど、今回もがんばってた。
ショックだったのはマックス・ロマノが亡くなったということ。
デイヴがいつも食事に言ってた素敵なお店。ロマノももちろん年をとっていて、
まあそりゃ亡くなるかなあとは思う。デイヴがショックでご飯も食べないような
状態になっているのをセシルが元気づけるために、事件捜査へ気を逸らせた、
という始まりだった。
セシルよ、そんな方法でいいのか。危ないでしょーデイヴを事件にのめり込
ませたら。でもまあそれでなくちゃ話にならないし、元気になったのはなった
のでよかったのか。でも危ないでしょー。

黒人差別の根深さ、根強さみたいなことがあるところをまた淡淡と描かれて
いた。デイヴ自身は、ホモセクシャルであるとはいえ、社会的強者なんだよね。
ハンサムで金持ちで名声あって。だからこそフラットでいられる。
結局ジェミーは助けられず。
ヴォーンを殺したのは彼が強請ろうとしていた前の会社にいた男、オニール。
継母の会社なのね。なんか偽装して金をくすねていたのを分け前よこせって
強請ってみたけど殺された、って感じ。デイヴがいろいろ嗅ぎまわったこと
の中でも大したことなさそうなところが真相だったという。いろいろあった
けど結局金ね。金だよね。

今回はロマノの死とかその店がなくなるショックが印象に残る。跡継ぎの
はずの息子は店を改装してどうでもいい安っぽい店にしてしまおうとする。
ロマノのレシピを受け継いでいた大事なシェフは辞めて田舎へ帰るという。
最後。なんとデイヴがロマノの店を買ってオーナーになることになり、
シェフを呼び戻してめでたしめでたし、だった。めでたし、ってわけでも
ないかなあ。どっちにせよシェフもデイヴもすっかり年をとった、という
状況には変わりないんだし。でもだからこそ、馴染みの場所を失うことに
耐えられない、という辛さかな。もう少し、終りを延長させた一安心。
次でシリーズ終りらしい。
どうなるかなー。楽しみ。

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