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『「女子」の誕生』(米澤泉/勁草書房)


『「女子」の誕生』(米澤泉/勁草書房)

「女子」ってゆーのが流行って、(笑)になって、なんだかんだの「女子」は
どういうものだろうな、というのがすきっとまとまって一冊になってて、
すごく読みやすくてわかりやすかったです。

この本で取り上げている「女子」は「腐女子」とか「文科系女子」とかではなく、
ファッション誌中心の「女子」。大人可愛いとか30代女子40代女子。
そもそもの始まりがファッション誌から流行り始めた「女子」ですね。

 本書は、二一世紀の初頭、ファッション誌というメディアによってようやく、
 「女子」を着て、「女子」を生きられるようになったことを解き明かすもの
 である。ファッション誌の「女子」たちが、装いによって「常識」を超え、
 年齢を超え、時には価値観や、規範を揺るがせていることが明白になるだろ
 う。ファッションや化粧が瑣末な日常の営みを超え、繭と鎧になり、「女子」
 を守る力となっていることも。 (はしがき ⅲ)

ファッション誌。私にはずっと縁遠いもの。美容院では読むけどわざわざ自分で
買うことはないもの。私は「女子」の現場に立つことはなく大体「女子」から
逃げて、「女子」には最初から負けて、距離をとってきた。腐女子だったり、
こじらせ女子だったりはすると思うけど、ファッションが大事!な「女子」で
あったことはないしこれからもないよなあ。

1999年、宝島の「Sweet」の登場。「大人かわいい」の流行を牽引してきた、
そうだ。JJ等の赤文字雑誌との対比で青文字雑誌って言われるものが雑誌の
勢力を塗り替えていく。
「愛されて男性に選ばれる女性」「妻」「母」。そういう女性の立場、役割を
とっぱらって、「女子」がうまれた。誰かのために何かのためにじゃなくて、
自分のために、というファッション。

この本読んで、「女子」な感じというのは徹底的に自己肯定な感じがした。
年代的にもフェミニズムブーム以降って感じ。誰かとか何かとかと戦うより
自分のために自分の好きな服やメイクを楽しむ!のが「女子」なんだなあと
思いました。

「女子力」っていうと、戦うためにとか対人という感じが出て、「女子」とは
またちょっと違う感じなのね。

 未婚既婚を不問にする大人ガールなファッション誌。全く母親に見えない母
 親のためのファッション誌。これらはすべて、従来の「常識」への挑戦なの
 だ。年相応。ミセスはミセスらしく。母親は母親らしく。上品に、控えめに。
 それはいったい何のためなのか。夫や子どもを支える妻、母として生きよ。
 主役ではなく、脇役として生きよ。表方ではなく、「裏方」として生きよ、
 ということではないのか。
  赤文字雑誌は、脇役人生こそ女の花道であると説いてきた。お嬢様ファッ
 ションで上昇婚を果たした後は、良妻賢母ファッションで「コマダム」にな
 ろうと。自分の好きな格好よりも人に好かれる格好をしようと。これに対し
 て『Sweet』に代表される青文字雑誌は、自分の好きな服を着て、好きに生
 きよと呼びかけた。それこそが「女子」なのだと主張した。それから一五年。
 ファッション誌の「女子」は、ファッションという極めて表層的な手段によ
 って、軽やかに「常識」を飛び越え、良妻賢母規範を脱ぎすてようとしてい
 るのである。 (P69-70)

「女子(笑)」みたいにされることがよくあるのは、自己肯定し、自分が主役に
なり、自分の好きな服を着て愉しんでいる「女子」に対して、女のくせに生意気な!
という部分がある男がそれなりにたくさんいるからなんだろうなーと思う。女の中
にももちろん、女のくせに生意気な!と思っている人もいる。
たぶん私の中にもある。自己肯定してる人に対する僻みやっかみ羨望嫉妬。
たいへん情けない。
ファッション誌はこんなにも自己肯定だったのか、と、改めて思った。
ファッション誌愛読してる人がすべて自己肯定的ってわけじゃないんだろうけど、
ファッション誌が送るライフステージのメッセージがこんなにも変化してきて
いるんだなあというのがすごく面白かった。
社会が変わっていくからなのか、社会を牽引せねばという使命感なのか。
もちろん今でも誰かに選ばれて結婚していくのが花道、というのもある。
良妻賢母でいたい人もいるだろう。でも、そうじゃなくて自分主役、っていう
生き方も当然あり、ということが目に見える形になってきている感じ。

昨日、美容院行ったので、女性誌を熟読しましたよ。
キラキラ輝く中にもゆるさとかぬけ感とか、こなれ感? エフォートレス?
さまざまな提言が溢れている重たい雑誌。「ぬけ」をわざわざ計算して作ら
なくてはならないのか。。。私には高すぎるハードル。ぬけぬけのゆるゆるで
しかない自分。
ファッション誌は無理、って人向けには大人のおしゃれみたいな雑誌もあるし、
丁寧な暮らしの雑誌もあるし。女性向け雑誌の細分化が進んでいるよねえ。

いろいろ考えさせられて面白かった。
書店員時代が、わりと赤文字雑誌凋落、青文字雑誌躍進、みたいな時期だった
かなあと思い当たることもあり、縁遠い雑誌タイトルの数々も名前はしってる、
表紙の感じとかもわかる、って思いながら読んだ。
「女子」の流れがよく見えて面白かったです。


 はしがき
 序章 ファッション誌的「女子」論
 第一章 「女子」の誕生
 第二章 「大人女子」という生き方
 第三章 『VERY』な主婦は「幸せ」か―「新専業主婦」の二〇年
 第四章 ファッション誌の「女子力」
 終章 仮想と武装―「女子」的蜷川実花論
 あとがき

 2014年7月20日発行

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