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『機龍警察 暗黒市場』(月村了衛/早川書房)

*ネタバレしてます。


『機龍警察 暗黒市場』(月村了衛/早川書房)

機龍警察のシリーズ3作目。
ユーリの物語。

警視庁との契約を破棄されたユーリは幼馴染のティエーニを訪ねた。ロシアの
ヴォル。独特の掟を持つロシアマフィアで武器商人をしている彼の本名はゾロトフ。
惨めな犯罪者の息子と警官の息子として、子どもの頃からの因縁があった。

読むのに結構間があいてしまったけれど、読んでいるうちにまあまあ思い出して
わりと大丈夫だった。今回はロシア時代のユーリの話で、少年時代、警官になりたて
の青年時代とロシアの暮らしとかロシア人の名前とかいっぱい。でも説明がそれ
なりにうまくいれられてるし人物もわかりやすかった。
警官としての父を尊敬し、警官としての先輩たちを尊敬し、自身も警察官として
誇りをもって働こうとしていたところ裏切りにあって一転追われる身になった
ユーリ。
過去をなぞるかのように、契約破棄されたと見せかけて犯罪組織への潜入捜査に
あたるユーリ。
絶望と虚無なのかと思いきや、ユーリ凄い熱い刑事魂だった。結構泣いちゃったり
するのが可愛い。
何故嵌められたのか、何故裏切られたのか。その謎がずうっとあるので、途中
よくわからないよーなんなんだよーとじれったく思いながら読み進む。
それだけに、耐え抜いての終盤。機龍での戦い、逃亡、決戦、て感じの派手な
アクションシーンは盛り上がる。かっこいい。渋い。
途中また謎の警察政府内部の<敵>の邪魔らしきものが入って、警察の現場と
上層部での動きとの齟齬とかじれったさとかもハラハラドキドキで面白かった。

ゾロトフは影<ティエーニ>でユーリは灯火<アガニョーク>。幼馴染の因縁
とかなかなかもえる。ティエーニが刺青させたユーリの手の黒い犬。それを
見られることを恥辱に感じて泣くユーリとかえろくてステキだった。
いいよねー潜入捜査。ドキドキして。

映画「スタンド・バイ・ミー」が印象的な思い出の映画みたいに出てきて、
あー、こういうのに引用される映画が自分もよく知ってて好きなものである
なんて、なんか自分自身の年を感じる気がした。作者の人は私より年上だけど。
広くわかりやすくという心遣いなんだろーか。というか、あの映画もこういう
扱われ方をする古典的なものになりつつあるのか、と感慨深い。

今回の話が今の所一番面白かったな。

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