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『真夜中のトラッカー』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)

*結末まで触れています。

 

『真夜中のトラッカー』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)


デイヴ・ブランドステッター、シリーズの7作目。
トラック運転手のポール・マイヤーズの死亡調査をするデイヴ。夜にも働いて
いた彼の秘密の仕事は何だったのか。
調べるうちに仕事を紹介してくれたオシー・ビショップも死亡していたことが
わかる。不審な病死。彼らを脅かしていた謎の人物。デイヴはさらに調査を進める。

前回暴発しまくる銃弾で重症を負ったセシルはまだすっかり回復してるわけじゃ
ないけど無事でよかった。自分は役立たずだ、って落ち込んだりしているのが
可愛い。セシルは何も悪くないよー。無鉄砲なデイヴが悪いんだよー。
今回も調査を進めるうちに不法投棄問題に突き当たって、ぐいぐい突っ走る。
無自覚な正義感っていうのかなあ。そこはもうほっといていいんじゃないの、
って言いたくなる。だって一緒に行くのは体調万全とはいえない弱ってる
セシルと、父の死、母の危機に怯える少年だったりするんだよ。雨のぬかるみで
車が動けなくなるとかもうハラハラするしそんな弱った体のセシルに無理させ
るんじゃないよもう馬鹿ーって思う。
デイヴ自身ももう年になってきてる、って自覚はあるみたいだけれど。50前
くらいな感じか? 危険な仕事を続けなくても生活に困るようなことはないのに
仕事始めると突き進んでいっちゃう。

 「やめ方がわからないのだと思う」デイヴが答えた。 (P165)

っていうのがあって、自分でもなんでこう危険とわかっても仕事を続けている
のか、困ってる感じではある。ほどほどで切り上げてセシルと幸せになれよ。
と思うけど、それじゃ話にならないか。

犯人、は、また意外なというか。不法投棄させてた本人が、妻が犠牲になって
しまったからって逆ギレみたいな感じ。んー。まあわりと仕方ないような。
ま、わりと毎回犯人に関してはどうでもいいような気になる。私はやはり
ミステリとしてより、デイヴの物語として読んでいる。

訳者あとがきで、このシリーズの重要なテーマは、<失われた女(母親)>
だという。デイヴの父は9人もの妻を持った男。デイヴの母については
ごくわずかな記述しかない。
がっつりゲイの物語だけれど女、母というテーマがあるっていうのは面白い。
母は敵のようだと思うけど、どうなんだろう。
続き読むのも楽しみ。

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