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映画「リトル・ダンサー」

*結末まで触れています。

 
映画「リトル・ダンサー」


午前10時の映画祭でやってたので見に行ってきました。
先日「パレードへようこそ」見たばかりだけど、舞台は同じく1984年。炭鉱ストって
大変なことだったんだなあと改めて。
公開当時に見て、すごく感動して。思い出すだけでもじわっと涙が、って感じです。
2001年公開か。その後特に見返した覚えもないけれど、シーンのいくつかは
くっきり覚えている。

改めて見てもビリーくんほんと美少年だなあ。そんでちゃんと育ったその年頃の
男の子!って感じがすっごく素晴らしい。
そして踊るシーンがほんっとにほんとにほんっとーーーーに素敵!
まだ原石段階だからね。完成された踊りじゃない。けど、実際うまい子らしい
ので、演技でこーやってるのか~と思うとほんと凄い。
ジェイミー・ベルって、ちゃんと育って俳優やってるのね。しかもかっこよさそう。
凄い。

がちゃがちゃしたりめんどくさがったり、兄と父とに全然かなわない家の中の
一人の子ども。
母は亡くなっていて、それはしばらく前のことなのかなあ。
お婆ちゃんはちょっと痴呆が出つつあるくらいな感じ。そのお婆ちゃんの世話を
するのはビリーの役目。
父と兄は炭鉱ストの真っ最中。今一家には収入がない状態みたい。
父の勧めで週一でボクシングレッスン?に通っている。
バレエレッスンのクラスと場所を共有することになって、ビリーはその練習に
興味をひかれて参加するようになる。
女の子ばかりの中、ランニングとショートパンツでレッスンを続けるビリー。
少しずつ踊れるようになってきて、楽しんでいるのが父にバレて、やめることに。
だけど、先生から才能があると認められてこっそり個人レッスンを続け、
ロイヤル・バレエスクールのオーディションを受けようとしていた。

そんなこんなで、バレエなんて女の子のやるもんだ。と頑固な父との対立とか、
兄にはバカにされてとか。
喧嘩したり怒ったりしてそれで踊っちゃうんだよねー。すっごく可愛い。
男の子なんだよー。
ほんっと男の子なんだよねー。
こんなにも普通に元気な男の子が男の子してるのが映画であってダンスであって、
ほんと凄い。

炭鉱しか知らない父と兄。ストの最中、仕事もなく警察との対立や仲間内での
分裂など、苛立ちとやるせなさで家の中の空気最悪。
母の残したピアノ。おそらくお母さんは音楽が大好きで一家のムードメーカー
だったのだろう。
ビリーが大事なものとして、母が18歳の僕へって残した手紙を先生に見せる
シーンがある。ビリーは11歳だけどもう読んじゃったの。中身もすっかり暗記
してるほどに。先生はその手紙を読んで、素晴らしいお母さんだったのね、
みたいに言う。ビリーは、別に、普通の母親だよ、って答える。
別に普通の。
ほんとにたぶんただ普通の。
でもかけがえのない母という存在をこんなにさらっと言うセリフ。

階級差、というのもくっきり見える。ビリーの家は労働者階級。先生は中流。
オーデション受けに行くロンドンの学校にいる人たちは上流?中の上みたいな
感じなのかな? まあほんと、そういう社会なんだなーというのがわかる。
それでも、才能あれば、階級を超えることもできる、っていうのもわかる。
社会とか文化の成熟度なのかなあ。
その小さな炭坑の町にも、そうして子どもたちを集めて習い事のボクシング
だのバレエだのやる慣習がある。
「ブラス」でもそうだよね。町のブラスバンド部がある。
何か楽しみを持って息抜きしなくちゃ、ってことなのかなあ。
なんにせよ、貧しいささやかな暮らしの中にも人はそれぞれに生きていて、
それぞれに大事なものがあって、胸を張って頑張るんだね。誇りがある。
その姿が本当にうつくしくて素晴らしい。

ご近所のマイケルくん。姉の服を着てみたり口紅ぬってみたりするビリーの
仲良し。彼のような子もいるなあとか。
先生の娘のデビーも、おませちゃんで可愛い。
きみたち11歳、だよね。小学生ってことだよね。いい子たちだなあ。
大人にとっての都合のいい子じゃなくて、それぞれにちゃんと子どもでちゃんと
一人のいい子たちなんだよなあ。

怖い父親、だけど、ビリーはちゃんとわかってて、先生に「父のせいじゃない」
ってちゃんと父親をかばったりするんだよね。
怖い父親だけど、ほんとに暴力ふるったりはしない。兄がバカなことしでかそう
とした時には殴ってとめてたけど。
みんな根底に善良さがある。
バレエなんてって言ってたけど、目の前でビリーが躍る姿を見たら、その力を
見たら、ビリーのためになんでもするって決意しちゃう父親なんだよねー。
スト破り、って炭坑に行こうとしたり。
ビリーのためにほんとになんでもするんだよね。あの行動がどれだけ苦しい選択
だったかと思うと、もー、涙がとまらない。
子どもの才能を夢をかなえてやりたい、っていう、まっとうな大人がいてよかった。
おにーちゃんが、ビリーを送り出す時、聞こえないのにアイミスユーって
言ったのにも泣いた。

オーディションでは緊張してて不安そうで、不機嫌そうなビリーがめっちゃめちゃ
可愛くってたまんなかった~。
そして結果の手紙が届いて、それを前に一家そろって緊張してるのも可愛かった~。
一人で手紙を見て、合格だってわかっても、わーいやったー!って感じになら
なかったビリーがすっごいよかった。
一人でロンドンへ行ってどうなるかわからない世界へ飛び込むんだもん。
怖いよね不安だよね。寂しいよね。その始まり。

ラスト。
たぶん二度目のロンドンなんだろうねー。父と兄とが劇場へ向かう。
父のなんだかぼーっとした様子が可愛い。
友達だったマイケルもきていて。
ビリーの舞台。あれは、白鳥の湖の黒鳥、なのか。たぶん大役をやる初めて、
ってことなんだろう。家族がきてる、って伝えられて、一瞬少しだけ口元で
わらったのがかっこいい。
そして光の舞台へ。
鳥になって力強く、でも重力なんか関係ないみたいに跳んだ姿のうつくしさったら
もーーーーーーっ最高!

話はわかっているけど、二度目はビリー本人はもちろん、周りの大人のことも
よく見えて、ほんとにほんとに、涙がいくらでも出てしまって困る。
だって踊るのが好きだから! ずっとこの素晴らしい楽しさがあって、そんな
中での苦しさや切なさがあって、も~~、なんて素敵な映画なんだろう。
大好き。
やっぱり大好きだった。
見に行ってよかった。

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