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映画「パレードへようこそ」

*結末まで触れています。

 
映画「パレードへようこそ」

「PRIDE」がタイトルですね。
1984年。ロンドンでのゲイ・プライドの日。二十歳の誕生日だった、
ジョーはカメラを両親からのプレゼントにもらう。たまたまパレードに紛れて
勢いで参加すると、炭坑夫たちのストライキに感銘をうけたマークたちと共に、
彼らを支援する募金活動に参加することになった。
LGSM。レズビアンゲイサポートマイナー。支援しようしても、ゲイ&レズビアン
の団体だというと断られてしまう。
たまたまウェールズのディライス炭坑に電話すると、電話に出たお婆ちゃんが
了解してしまった。ゲイ&レズビアンと、炭坑ストとの共闘と友情が始まる。

異文化の出会いのコメディ、かな。
生きる権利を求めて戦うところは同じだ、とマークは勢いで活動を始めて、
なんかわかんないけど支援してくれるっていうんなら受けようかな、っていう
田舎町へ出向く。寄付のお礼に、と招かれたパーティで、ゲイなんて、っていう
偏見もたっぷりの人たち、素直に受け入れようとする人たち、町での対立も
見えてくる。
音楽たっぷりで、すごく楽しかった。
楽しくて、可笑しくて、可愛くて、でもしっかり切なくて苦しくもあって。

「ブラス!」とか「リトル・ダンサー」もだけど、イギリスの炭坑のストと
いう大変な出来事を、こうして映画作品に昇華するうまさは一体何なんだ。
凄い。
これもほんとに、素晴らしい名作だった。

ゲイ・プライドの物語であり、青春群像であり、老人群像であり。
つまり生きるということ。
若者も中年も老年も、男も女も何者でもなくても、生きるということ。
誰だって幸せを求めて声を上げて生きる権利があるということ。

でも声高にただ理念を叫ぶようなことはなくて、素敵に脚色はされている
だろうし、面白おかしくもなっているんだろうし、コメディだし音楽だし
こんなテーマなのに押しつけがましさがないのが素晴らしい。
どの立場の人間にもできる限り誠実にフェアであろうとしている感じがした。
このバランス感覚の上手さ。英国らしさなのかなあ。凄くいいなあ。

で、いちいち細々と可愛くてきゅんとする。
ジェフが金髪王子様みたいで、町の女の子たちにお人形さん扱いされて髪とか
弄られてたり。プレゼントに持ってくるのも綺麗な色の手袋でね~。可愛いでしょ、
って感じなの。
ジョーは、お菓子学校に行くことになってる、両親に可愛がられてきた子だけど
活動に参加するうちに目覚めていく。ビアンのステフと仲良しになる。
マークは情熱のままに動き出してみんなを巻き込む力があるし、マイクは
やれやれって感じで彼をサポートする。
ゲシンはゲイ書店やってて、みんなの活動拠点みたいになる場所提供。
アンドリュー・スコットがもうほんっと繊細で可愛くてめちゃくちゃよかった!
ジョナサンつーあんまり売れない俳優とカップルで、この中年カップルがもう
可愛くて可愛くて。ゲシンは故里を出たっきり帰れない16年があって、でも
この活動きっかけで母親と仲直り。ジョナサンはエイズになるけど今も元気
らしい。
マークが26歳の若さで亡くなったらしい。

本当にあった物語、というので感動を誘うっていうのはベタなんだけど、
映画なんだからうまくまとめているんだろうけど。けど、彼らのような、
普通の人がそれぞれになんとかがんばって、戦ったり楽しんだりしながら
生活があって生きていて、そういうのが本当に大切で素晴らしいと素直に
思えた。

最後の、最初とは一年後のゲイ・プライド。炭坑のみんなと一緒にパレードの
先頭を歩くみんなは本当に楽しそうで、この出来事は素晴らしい歴史の一つで、
とてもとても素敵だった。
いい映画だなー。切なくて、楽しかった。
たっぷり泣きました。

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