『トラブルメイカー』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)
*ネタバレしてます。
『トラブルメイカー』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)
リック・ウェンデルが銃で死んだ。殺されたのか事故なのか自殺なのか。
死亡した彼を見つけたのは母親。その時裸でそばに立っていたのがラリー・ジョンズ。
容疑者として捕まったジョンズ。デイヴはリックの死の真相を調査し始めた。
翻訳で出た第二弾。だけど、シリーズは3作目ですね。ややこしい。
ダグとデイヴは新しい家で二人暮らしを始めていた。仲良くやってるようで
なにより。ギャラリーを始めたダグ。陶器作家のコヴァクスって子が二人の
仲に割り込みたい、とか、ダグの母親の状態がよくないとか、細々と波風は
あるなあというところだけど、そうか付き合い続いているのか、と、ちょっと
安心。なんとなくダグが不安そうな気がして大丈夫かなーと心配。デイヴは
ハードボイルドにがしがし事件捜査にかかりっきりになっちゃうもんなあ。
なんだかいつにもまして登場人物の名前が憶えづらくて参った。最後の最後
まで誰だよ犯人、て悩んだ。まったく重要そうじゃなくちらっと登場する人物
が犯人なんだな。ヴァーン・テイラーなんて覚えてられなかった。えーと、
建築家で今は両足骨折のトム・オーウェンズが狙われていたのが、いろいろ
な偶然や人の思惑絡まって関係ないリックが死ぬはめになったのね。気の毒。
狙われていた本人にまったく自覚がなくて、大怪我はしてるものの、相手の
憎悪に全然気づきいてないところが残酷だった。思われてるものは残酷さに
自覚もなにもないのね。もう昔のことだ終わったことだなんとも思ってない、
ということの残酷。まーまったく身勝手な思い込み逆恨みで犯人に同情する
気は全然ないけどさ。
ゲイ・バーとか、ゲイ・バー対抗のミスタ・マーヴェラスコンテストとか
華やかで見栄えしそうなシーンよかった。映画になったらどうだろう~と
妄想。デイヴは相当ハンサムっぽいし今回登場人物綺麗な子が多そうでいい。
訳者あとがきにもあるように、舞台はカリフォルニアだけど、イメージする
ような明るさはあんまり感じない。デイヴは陽気なアメリカンてタイプじゃ
ないからなあ。ダグもフランスが長かったってことだし。
この翻訳本の発行は1980年だけど、書かれたのは70年代。じっとり重い同性愛
差別の空気がある。デイヴたちは堂々と生きてるけど、周りはそれを許さない
し目をそらしてないものとしている感じ。
シリーズ続くごとに変化があるだろうか。どうなんだろう。そういう方面でも
読んでいくのが楽しみ。面白い。
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