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『死はつぐないを求める』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)

*ネタバレしてます。


『死はつぐないを求める』(ジョゼフ・ハンセン/ハヤカワポケットミステリ)


デイヴ・ブランドステッター、保険調査員。ジョン・オウツが海で死亡した事故
の調査をしている。警察は事故と判断したが、保険の受取人を変更しようとして
いた直後だったことから、受取人から外された息子ピーター・オウツに会って話
を聞こうとしていた。
だが、ピーターは行方不明。オウツのことを聞いて回るうちに、彼がモルヒネの
中毒者であったことがわかる。オウツは薬を買う金が必要だった。脅迫まがいの
ことをしていた。オウツを殺す動機を持つものが次次と浮かび上がる。

ブランドステッターのシリーズとしては2作目だけれども、日本で最初に翻訳
されて出たのはこれなんですね。裏表紙には「いまもっとも注目される
ホモセクシャル探偵ブランドステッター登場!」と書いてある。1980年初版発行。
何故なんだ。別に時間さかのぼるでもなく、時系列としては『闇に消える』の
続きですね。あれからダグとつきあったのね。お互い恋人の死の寂しさを抱えて。
って、それいきなりここから読んでいいのか? まあ単発でも読める感じだけど。
しかし二人の間には死んだ恋人の影があって、ふたりとしての関係がぎくしゃく
してしまう。
すごく素敵な家だけど、ロッドとデイヴの家だから、ロッドとデイヴのベッド
だから、あの家は嫌だ、っていうダグの言い分もわかる。なかなか切ない。
お互い大人だけど、大人だから、割り切れるってことはないよなあ。
とりあえず家は出て、仲直りはしたみたいだけど、どうなっていくんだろう。

事件は。
ピーターは実は心優しく自分を犠牲にしちゃうような子で。恋人をかばって
自首してくる。けれど、それはスターであるウェイド・コクランをかばってる
んだ、ってデイヴは思ったんだけど。でも実はほんとはオウツの共同経営者
だったノーウッドが真犯人だった。長い長い長い片思いと、経営破綻の末。
ノーウッドとオウツの二人の歳月は本当はなんだったんだろう。全くのすれ違い
なのか、ひっそり二人だけの時には優しかったのか。ノーウッドの思い込みだけ
だったのか。オウツは完全にストレートってことなので、ノーウッドがかなり
不憫な気がするけど、けど、可愛さ余って憎さ百倍な殺人は酷い。ピーターも
コクランも、酷い巻き添え。
実は、実は、実は、と、次々容疑者が現れて、違う、違う、ってなっていく
終盤の勢いはとても面白かった。
わりと気軽にデイヴは人んちに入り込んで手がかりとっていったりしてるなー。
不法侵入。。。まー探偵ってそういうグレイゾーンなことやらかすくらいじゃ
ないと、人の隠し事は暴けないかな。

この本が出たのは1973年。
病気で苦しむ人が出ても、まだ全然エイズじゃないんだよな。最初ロッドが
亡くなったのはエイズかととっさに思ったけど、癌みたいだし。
オウツは酷い火傷に苦しんでいた。(オウツはストレートだけど)
そういう時代背景もちょっと考えたいなあ。

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