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『ヴァイオリン職人の探求と推理』(ポール・アダム/創元推理文庫)

*結末まで触れています。


『ヴァイオリン職人の探求と推理』(ポール・アダム/創元推理文庫)

イタリア、クレモナ。ジャンニは腕のいいヴァイオリン職人。仕事のあと、
ワインを飲みながら仲間4人で四重奏を楽しんだりする60代悠悠自適の
暮らしをしていた。
ある晩、いつものように演奏を楽しんだ後、帰ったはずのトマソが家に
帰ってこないと妻から電話があった。まだ残っていたグァスタフェステと
一緒にトマソの工房へ様子を見に行ってみると、そこで彼は死んでいた。
グァスタフェステは警官。トマソは幻をヴァイオリンを追っていたらしいと
わかると、ジャンニの専門知識が必要となり協力して捜査と推理をしていく。

イタリア、イギリスなど移動しながら、ストラディヴァリの幻のヴァイオリン
を探し求める。殺人事件の推理と宝探しと組み合わさっていて面白かった。
基本丁寧語な会話の感じがすごく素敵で読みやすくてもえる~。陽気なイタリア
人というイメージよりはずっとしっとり落ち着いている。人生を楽しむ余裕と
職人の専門的な感じと親しみやすさと。ジャンニがとっても魅力的で、これは
惚れるわ~モテるわ~と納得です。

私は以前大人になってから憧れてヴァイオリン習っていたことがあり、何度か
ヴァイオリンコンサートにいってたこともあり、ヴァイオリン素敵~という
イメージがあって余計面白かったかも。でも別に何の専門知識があるわけじゃ
ないし、もっと何も知らなくても丁寧に描かれているので全然問題ない。
登場人物の魅力も話の展開の広がりもまとまりも、すごくよかった。

途中、ジャンニがかつては贋作づくりに関わっていた、というのがわかって
グァスタフェステがショックを受けてたりするのが可愛かった。その意外性。
ヴァイオリン、ディーラーやコレクターの世界は凄そう、とか、職人の世界も
単純なわけないとか、面白い。
最後には幻のヴァイオリンを手にして、そして、ジャンニは最もふさわしい
演奏家の手に渡す。音楽の才能とか、めぐりあわせの奇跡とか、そういう
音楽的なうつくしさも存分に描かれていて素敵だった。

かつて富士見シリーズにもえもえし、のだめを楽しんだそういう感じを味わう
ことができました。

ジャンニは63才で、グァスタフェステは40はじめ、くらい。この二人に
もえもえで凄く楽しかった。いい。すごくいい。ジャンニは妻と6年前死別。
もちろんジャンニは素敵なふさわしい彼女にこの物語の中で出会ってて、
あーまあそっちですよねと納得なんですけど。私の脳内ではグァスタフェステ
の片思い物語が熱かった。グァスタフェステがジャンニを凄く尊敬し慕ってる
感じがよかったし、ジャンニも息子同然に可愛がっててー。そして協力して
事件にあたる相棒でもある。すごくいい組み合わせだった~。
シリーズとして次の作品も日本での刊行も決まっているらしい。また読みたい。
楽しみです。

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