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『暗黒寓話集』(島田雅彦/文藝春秋)

『暗黒寓話集』(島田雅彦/文藝春秋)


8つのお話が入った短編集。「はじめに」が、「いいたいことがいいにくく
なる世の中に暮らしたいなどと思う人はおそらくいない。なのになぜ社会は
そちらの方向へ向かってしまうのか?」という一文で始まっていて、今の日本
とか世の中のことだと思うど、昨日のフランスでの新聞社へのテロ襲撃なんか
が起こったばかりだったりしてこの文章がこわい。
多様が必要なんだよ。

 アイアン・ファミリー
 死都東京
 夢眠谷の秘密
 透明人間の夢
 名誉死民
 南武すたいる
 神の見えざる手
 CAの受難

東京郊外、多摩川沿いのニュータウン。中年、初老の男。島田さんの作品を
読み続けていてすっかりおなじみ気分の舞台。秦氏の一族の歴史だったり、
新興開発地の闇だったり、行き詰まった若者だったり。リアルな日本と地続き
のようでいて不可思議な世界。
「神の見えざる手」は雨男が年を取ってそれほど雨男でもなくなった、って、
他愛のない話。貧乏神に憑かれていた人とか。短編の中でさらに短いエピソード
が連なって、エッセイみたいでもあり、ちょっと不思議で面白かった。

暗黒寓話、っていうほど暗黒でもないと思う。でも大仰さはないのにストン、と
落ちてしまうからこわいんだろうか。
するするーと読み終わり。
多様な妄想していこう。

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